第34回 女装ゲイ息子が母と語るカミングアウト(前編)

Oops!… I Dit It Again.

あうぅ。アタシまたやっちゃった。
先週も休載しちゃったお詫びに、
いつぞやのブリちゃんばりに丸坊主にしてガチムチ化しようと思いましたが、
それじゃタダのイカホモ野郎なのでやめときます。
女装だもの(みつを)。

ほんに忙しかったのぉ。

ミュージカル『RENT』プライドウィークから、
3回目の開催となったLGBT授賞式『Tokyo Super Star Awards 2012』
まで、毛穴からドーランが消えることのない日々を送ってたのです。

TSSAでは、野宮真貴さん、中村中さんのステッキなライブにくわえて、
ラストは、RENTフルキャストの皆さんが壇上に上がり、
『Seasons Of Love』を披露してくださるサプライズ。泣くわー。

しかも、そこからの~、
田中ロウマちゃんのさらりカミングアウト!

実は『RENT』の舞台袖で、アメリカ在住のロウマちゃんから見て、
日本は国民性的にいろいろ難しいよね、といった会話をした後だったので、
彼が投じてくれた一石は、きっと良い意味での波紋を生んでくれると信じております。

ロウマちゃんはじめキャストの皆さんも、
新しいステージを切り開こうとしているTSSAスタッフの皆さんも、
本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございます。
(アタシは、今年は一段とやさぐれたMCですみませんでした)

さて、それではいよいよ、
当連載カミングアウトシリーズのラストネタ、親編です。

東京在住41歳の女装ゲイ息子が
実家の岐阜の63歳の母ユキママに
カミングアウトにまつわるインタビューをしてまいりました。

※ユキママのキャラについては、こちらの回をご覧ください。

かなり長いインタビューだっし、新幹線代もかかったし、
前中後編3回に分けて、ちびちび原稿料をいただこうと思います!(セコい)

ブルボンヌ(以下、ブル) 自分が最初にカミングアウトしたのは、34歳の頃だったよね。

ユキママ(以下、ユキ) うん、タイにまこと(ブルボンヌの23年の同居人ゲイ。現在52歳)と三人で行った時よ。

ブル それ以前は自分がゲイだとかは…

ユキ じゃ、ないかなぁ~とは思ってたよ。

ブル ひぃっ。どれくらいの時から?

ユキ 大学に行ってからかな。(岐阜のスナックママだった頃、店の)お客さんと「東京行った息子から彼女は紹介された?」なんてあんたの話がでると、「うちの子オカマかもしれんでー」なんてしゃべってたわよ。

ブル バレてたんだ…。

ユキ あ、でもそれがさ、きちんとカミングアウトされてから、美容院の子とかとの雑談でそういうことは言えんくなったの。前は自分からゲイ疑惑を話して、「まさかー」「ほんとやてぇ」なんて冗談っぽく会話してたのに。なんでかなー、恥ずかしいとかそんな風には思わへんのに…って自分で考えてみたら、マジメに言ったら相手が答えにくいからやと思うわ。

ブル なるほどね。岐阜の美容院で、お客さんに急に言われたら、確かに、ちょっと戸惑う人もいるかもね。

ユキ そうそう。向こうもマジバナで言われたら返しにくいやろうしね。

ブル 自分からは、大学進学で上京して、まことと同居始めて10数年間は何も言ってなかったわけだけど。

ユキ でもぼんやりおかしいなーとは思ってたから、一回あんたがうちに帰ってきてご飯食べた時に、聞いたよ、お母さん。

ブル えっ。なんて?

ユキ 彼女がどうのって話題になったとき、「あんたってひょっとしてオカマなの?」って聞いたわよ。

ブル オカマって聞いたんだ?

ユキ ゲイとは言わんかったね。半分チャラけて言ったから。その頃はオネエなんて言葉なかったし、ゲイなんて言ったら真剣っぽくなるやん、お母さんからしたら。

ブル 自分なんて答えてた?

ユキ あんた「はははは…」って笑うだけでさー。覚えてない?

ブル はははは…。

ユキ でも、「違う」とは言わずに笑ってごまかしたんやて。

ブル 正直ぃ。てか、じゃあ、すごい黒っぽいじゃん!

ユキ そうそう。だから八割がたはそうなんかなーとも思ったけど、そう深くも考えんかったわ。もしそういう子やったらどうしようとかは、別に。ふーんって。その後、お客さんとかにも、「オカマやないのって聞いたら笑ってごまかしたで、絶対そうやぞアイツ!」って話してたし。

ブル やだ、人をネタにして…。

ユキ でもあんた、仕事とか会社のこととかも言わんかったやんね。当時はあんまり接点なかったやん。だから、お母さんはオカマかどうかより、ちゃんと大学行ってるかとかのほうが心配やったし。

ブル 行ってなかったけどね…。(7年生で除籍) まあ、うちは厳格な家庭とかじゃないから、お母さんが悩む心配はしてなかったんだけど、多分自分のほうがまだ言えるプライドを持ってなかった時期なんだろうなー。

ユキ ほかの親はみんな、そんな風にキーッてなったりするんやろか。

ブル えっとね、友だちの女装は、お母さんに知られて関係がうまくいかなかったってよ。愛されて期待されてたからこそ、そんな生き方認めたくないってかんじだったみたいだけど。あと、ゲイ雑誌とかエロ現場とか、ほぼ決定的な証拠が見つかったとしても、なるべくその件には触れようとしないってパターンもよく聞く。

ユキ ああ、知りたくないってこと? そうかもしれんねぇ。

ブル きちっと伝えることはないけど、漠然と分かられてそうな対応をされてるって子も多いね。自分はそれが仕事になっちゃってたから、日常的な会話をするにしても避けられないけど、一般的には、恋愛や結婚について語らない限りは避けていられるのかもね。

ユキ そうやね、普通の会社に行ってれば、仕事の話とかもできるやろうし。じゃあお母さんはあんたに対してどういう反応すると思って言ったの?

ブル 世間体がどうとか言うタイプじゃないのは分かってたの。問題なのは、遠く離れてるから、言うだけ言うんじゃ、もしユキママがいろいろ考えちゃったりした時にケアができないから、それを心配してた。

ユキ ああ、それでタイ旅行に連れてってくれたんか。

ブル そうそう。帰省なんて、1年に1泊もしなかったでしょ。昼間寄るだけで、夜は名古屋に遊びに行ってたもんね。東京出てまことと住んで15年近くたってたから、一週間くらいの旅行の早いうちに言っておけば、動揺されても二人でケアできるかなと思ったわけ。

ユキ けっこう綿密に計画たててたんやねー。

ブル ふふふ。あと、南国の雰囲気が、きっとおおらかにさせる、とかねぇ。

ユキ でも聞いた時は、あんたがそんな風にビビってたほど何も思わなかったよ。ふーん、って思った程度。

ブル アンナズカフェって、ゲイだらけのお店でね。

 

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カミングアウト直前、2005年、タイのレストランでの記念写真です。

ブル 「はい、前から言われてた名刺」って当時勤めてたゲイ雑誌『バディ』のテラ出版の名刺を渡したんだよね。そしたら「ガ、ガイライフ、マガジン?」とか言うから「ゲイって読むの!」って突っ込んだわさ。

ユキ 覚えてるわ。で、あんたが言い終わってから、トイレに立ったら、まことが「あの子は、この業界では有名なんやよー」って言ったのよ。その時はどう有名かは分からんかったけど。

ブル 女装とお笑いライターで有名だったの。

ユキ でもほんと、帰国してからも真剣に悩んだりとかはなかったよ。ただ、その後名古屋のイベント(NLGR)に誘ってもらった時にあんたに話したと思うけど、育て方とか環境とかのせいでそうなったんかなーって疑問はちょっと思ったけどね。

ブル ああ、それは母子家庭って環境とかでなったとしたら、自分の責任を感じちゃうって意味?

ユキ そうそう。それはチラッと思ったけどね。「なんでなるんやろう?」って思うやんね。

ブル 世の中的にもそこを心配しちゃう親御さんは多いし、そう思わせるのがイヤだから言いづらいって当事者も多いみたいよ。自分は多分、種があるかどうかは、誰のせいでもなくその人の本質だと思うの。ただ、それが発芽したりどれくらい成長するかは、気づくきっかけがあったり、出しやすい環境で育った子は伸びやすいって面はあるだろうね。

ユキ でもまぁ、あんたがそういう風なほうが良かったかもね。隠されとったら、全然会話もせずにそのまんまだったかもしれんやん。

ブル たしかに自分はとくに、仕事の話しても友だちの話してもそこが関わってくるから、それ以前は会話自体が、嘘をつくとか話題をはぐらかすとか、めんどくさくなっちゃってたからね。

ユキ うちの場合は、結果は良かったんじゃない。

ブル 言ってからのほうがコミュニケーションとるようになったもんね。

(中編に続く)

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