第127回 “同性愛の疑い”での逮捕者に対し、世界各国で行われる「恥の検査」とは

 

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まきむらよ。

毎週金曜、世界のニュースから性を考える時事コラム「まきむぅの虹色NEWSサテライト」をお送りしております。

今回は、「恥の検査」がテーマです。同性愛を犯罪とする国々で、2016年1月現在も行われ続ける「恥の検査」とは?

★ 19歳の学生に強制された「恥の検査」とは
★ 強制されていたのは、実は……?
★ 実際、アナルセックス経験って検査でわかるものなの?

以上の流れでお伝えします。


★ 19歳の学生に強制された「恥の検査」とは

「医者は私に言いました。『祈るようにひれ伏せ』と――」

2016年1月13日。フランスの有名メディアにおいて、ある学生の経験が紹介されました。同性愛や性別移行が犯罪とされるチュニジアで、19歳の男子学生・ジヘドさん(仮名)が受けさせられた、「恥の検査」についてです。

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(画像:チュニジアで同性愛非犯罪化を訴えるNGO「Shams」による)

ジヘドさんはチュニジア警察に、“同性愛の疑い”をかけられました。そして捜査の一環として、「恥の検査」……男性同士のアナルセックス経験があるかどうかを見分けるためと称した、強制的な肛門検査を行われたのです。

「診察室に連れて行かれ、私は肛門検査を拒否しました。するとひどく殴られ、肉体的にも精神的にも虐待されました。もはや従わざるをえませんでした」

「毛布もマットレスもなく、私は床で寝かされました。(中略)私は他の逮捕者たちと共に床屋に連れて行かれ、頭髪を全て剃られました。その間ずっと、暴言・暴行が続いていました」

L’EXPRESSより筆者抄訳)

ひどい話です。こう聞くと、強制肛門検査をした医者もひどいなって思いますけど……実はこの「恥の検査」、こんな裏事情があるんです。


★ 強制されていたのは、実は……?
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(写真:PAKUTASO

同性愛を犯罪とする国々において、このような強制的肛門検査が行われている例は珍しくありません。

この検査は、反対する人々に「恥の検査(Test of Shame)」と呼ばれており、冒頭でご紹介したチュニジアの他にも次のような例があります。

「恥の検査」問題が報じられた国々の例

・2012年レバノンにて、同性間性交渉をしたとされる男性への「恥の検査」と、婚外交渉などの疑いがかけられた女性に対する「処女検査」の廃止を求めるデモが行われる

・2014年エジプトにて、男性同士の結婚式に出席したとされる人々が逮捕され「恥の検査」を受けさせられる

・2015年ケニアにて、「恥の検査」を強要された男性二人が政府を提訴
この「恥の検査」には、少なくとも現代西洋医学で言えば根拠がないと考えられています。また、1993年のWHOの宣言以降、同性愛は国際的に「病気ではない」と考えられていますので、医学概念でない同性愛を診断するということ自体がおかしいのです。

「恥の検査」は、2011年に国連高等人権弁務官が問題提起するなど、以前から国際的な非難を浴びています。しかし、2016年になってもいまだに廃止されていない状況です。

それなのになぜ医師たちは、こんな検査を続けるのでしょうか。BBCが報じたところによると、どうやら医師たちもまた脅されているようです。以下、トルコ軍の病院で働いていた外科医の証言です。

「医師たちは、軍司令部より『同性愛を診断しろ』という強い圧力をかけられています。それに屈してしまうのです。本当は、性的指向を診断する方法なんてないのに」

「(“恥の検査”による同性愛診断は)医学的に不可能であり、まったく倫理的とは言えません」

(筆者抄訳)
しかし……ここまでいろんな国に「恥の検査」を自信満々にやられると、こう聞いてみたくもなるわよね。

★ 実際、アナルセックス経験って検査でわかるものなの?
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少なくとも私のリサーチ力では、肛門検査で肛門性交経験の有無が見分けられると主張する近現代の論文というのは見つかりませんでした。

そらそうよね。鼻の形が十人十色であるように、アナルの形もそれぞれが世界に一つだけの花。百歩譲って「なにか挿入された経験があるかどうか」ならわかるでしょうが、何か挿入された形跡があるアナルだからといって「ここに挿入されたのはペニスに違いない」とか「この人はゲイに違いない」と断じてしまうのは早とちりよね。あんまり名探偵じゃない感じよね。

じゃあ、そもそもこの「肛門を検査しよう」みたいな流れはどこからなのか。イギリスのメディアによるとこれは、

1857年のフランスで出た本が元ネタ

なんだそうです。いい加減160年位経ってますし、ゲイは肛門でわかるみたいなこと書いたフランス人医師のオーギュスト・アンブロワーズ・タルデュー氏もとっくに亡くなっているんですが、エジプトではいまだに「アナルセックスをするとアナルがヴァギナの形になる(キリッ)」って言ってる現役医師とかいるみたいで、もう、それなんてエロゲ? と言うしかないですね。こうした国々での、一刻も早い同性愛非犯罪化、そして「恥の検査」の廃止を私は願うばかりです。

ということで、読んでくださってありがとうございました! また来週金曜日にね。まきむぅでした◎


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