第1回 アラサー男子の徒然なる同性結婚 inスペイン

 

はじめまして、こちらでコラムを書かせて頂きますコンチータです。このフザけた横文字ペンネームは、敬愛するカラオケクイーンのお義母様から無承諾で頂戴致しました。まずは軽く自己紹介。

 

大学卒業後に新宿二丁目で働き始め、そこから人生の歯車がおかしなベクトルに……。その後紆余曲折ありながら、海外の大学に留学。エスコート慣れした外国人の魅力にドップリはまった典型的な外専ゲイ? 気づいたらイベリア半島の片田舎で、スペイン男子と同性結婚。人様に褒められる生き方なんか出来ない、生き急いだアラサーゲイのリアルな今と、LGBTのアレコレをマイペースに呟きます。

 

記念すべき第1回目は私の同性結婚がテーマ! 需要があるかないかは別として、「フーン」と思ってくれたら幸いです。これが最初で最後の結婚になるとは思いますが、日々貯まるストレスで時々不安になります。夫婦喧嘩(夫夫)は犬も喰わぬと言いますが、うちの場合は二匹のウサギがムシャムシャと食べるのでまあ安心かな。

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遡ること2年前、私コンチータとパートナーのホセは約1年の交際を経て結婚致しました。悲しきかな日本の家族、友人皆に祝福されることなく、私の両親は渡西拒否。結局彼のお義父さん、お義母さん、叔父さんそして御年95歳の大伯母さんに、お互いの友人達でささやかな結婚式を挙げることに。

 

昨今は世界中でセクシャルマイノリティに関してのニュースを耳にしますが、ここスペインのLGBT事情もなかなかのもの。2005年にオランダ、ベルギーに次ぎ、同性結婚を合法化。カトリック教徒が90%を超える保守的な国と思いきや、政教分離が進んだLGBT先進国のスペインです。しかし同性結婚を利用した偽装結婚が横行したり、保守派政党やカトリック教会による抗議の声も少なくありません。何はともあれ、私達はスペインの緩やかな同性結婚制度に便乗しゴールインした訳ですが、やっぱり結婚って大変なんです。

 

友人の力を借りながら必要書類をかき集め、認証を受けてから翻訳作業。バルセロナ在住の日本人妻友のアドバイスを参考に、ペーパーワークの毎日。その後はいつ徴集されるか? な“結婚の為の”面接があります。「何で結婚するのに他人の許可を得なきゃならんのだ!」と、ブーたれたのは言うまでもなく。しかし殺到する不法移民や偽装結婚対策に、結婚時の面接はゲイ、ストレート関わらず必須だそうです。

 

当時トロントで働いていた私に、ホセから突然メールが来たのが2013年の6月。「来週面接決まったから、航空券買って。あとセーラームーンのお菓子も買ってきて」とのこと。唐突でいい加減なお役所仕事と、男らしさの微塵もない彼の趣味にイライラ。ブツブツ文句を言いながらも、チケットを購入しスペインにレッツゴー。

 

面接当日気合を入れて新調したスーツに身を包む横で、AKB48の「RIVER」を口ずさみ“東京ホリデー”と書かれた斬新なシャツを着こなす彼。カルチャーショックで言葉を失う私に、彼が今日の晩ご飯は豚汁とタコ焼きがいいとリクエスト。そして何もかも噛み合わない二人の前に面接官が現れたのは、予約時間の1時間後のことでした……。

 

後頭部が怪しく光る、清潔感のないオッサンに部屋に連れられ、“結婚の為の”面接という決戦の火蓋が切って落とされました。望むは童顔アラサー九州男子と、イマイチ気だるそうな雰囲気を隠しきれない金髪翻訳士。「こんなメンツで大丈夫なのだろうか?」一抹の不安をよそに、意外とサクサク質疑応答が進みます。時間にして90分長い戦いの後、朝食を兼ねカフェで反省会。優雅なモーニングの席で、彼がこの質問なんて答えた? とあくびをしながら尋ねます。

 

面接官A「彼の家には、テレビが何台ある?」

 

私「ハイ、3台です」

 

—————壁の向こう

 

ホセ(バカ)「2台です。キラーン」

 

向かいの部屋で彼。違う部屋で両者同じ質問を受け、衝撃的なミスを犯したことに気づく。“不合格”の3文字に怯えながら飲んだレモンティーは、無糖の如く味がしない。「だって家にはテレビが3台。リビング、客室とベッドルームにあるじゃん!」苛立ちながら声を荒げると、彼は「ベッドルームのは壊れているから2台が正解だよ」と腑に落ちない答えが返ってきました。もういいや。

 

それから数ヵ月後、テレビ台数相違という徹底的ミスを犯しながらも、無事に結婚許可が降り、そっと胸を撫でおろします。それと同時に初めての結婚しかも年下乙女(自分はネコ)、経済絶不調のこの国で果たしてやっていけるのだろうか? 今更色んな不安や葛藤が浮かんでは消えていきました。

 

なんやかんやで迎えた式の当日、切りすぎた前髪のセットに苦戦しながら舌打ち。強すぎる向かい風で望む式は、まるで今後待ち構える試練を暗示しているかのよう。二人の間に緊張感は漂えど、式は巷のソープドラマと同じ展開で滞りなく進みます。

 

市役所の偉い人「汝はホセを夫とし、生涯愛することを誓いますか? ゴニョゴニョ」

 

私「まあ、はい」

 

とこんな感じ。その後ライスシャワーの洗礼を受け、これでもかと言う位のシャッター攻撃。作り笑顔で臨む自分にとって、一番困惑した瞬間でした。その後レストランでこれまた派手に盛り上がり、私達はシャンパンの甘味に酔いながら、人生で最高の門出を祝ったのでした。

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淡々と佇む私に対し、永遠と泣きじゃくる乙女すぎる彼。表現の仕方は異なれど、異性愛者の夫婦が描く未来と同じ幸せの形を見つけようと、誓った瞬間でした。月明かりに照らされた石畳の帰路、千鳥足の二人の影がそっと重なります。だけど初夜などと呼ばれるロマンティックな夜を過ごすには、ちょっと泥酔し過ぎました。「洗顔もせずに就寝なんて、お肌に悪いわ」と頭の中で分かっていても、結局は着替えもせずにベッドにダイブ! 長い長い夢の国へと旅立つのでした。

 

翌夕眠い目を擦りながら、お待ちかねのご祝儀チェックです。待ってました!と言わんばかりに、見慣れないユーロ札を数える。彼はプレゼントのチェック係。「ヒー、フー、ミー……ムムム、少ない、少なすぎるぞ!(平均一人頭1万弱)」自分の中の悪魔が不平を垂らす度、輪っかをぶら下げた天使が「額じゃなくて、気持ちが大切よ!」と自らの頬を叩く。そして気になるプレゼント係の彼が重い口を開きます。中身は以下の通り。

 

①スペインの大地を感じさせる根菜(?)柄のお揃いマグカップ(泣)

 

②プレイステーション4本体(招待客20人でお金を合わせて買った、自分ゲーム興味なし)

 

Made in PRC(最初っから中国製と書け!)のパスタ製造機

 

ご祝儀を新婚旅行の足しにしようと企んだ浅はかなプランは、豪華客船カリブ海クルーズから、国内旅行アンダルシア~イスラムを香る旅路~へと変更になったそうな。

 

今日のつぶやき パスタ製造機はまだ日の目を見ていません。どこに閉まったっけ?

 

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