第139回 アール・ブリュットを知っていますか?

先日、佐賀県立美術館にて開催された「アール・ブリュット展 想像を超える創造」のギャラリートークに出演させていただきました。
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「アール・ブリュット」という言葉を聞いたことがありますか?
アール・ブリュット(Art Brut)とは、フランス語で「生(き)の芸術」という意味で、正規の美術教育を受けていない人たちが創り出す芸術のことです。障害を持っている作家さんの作品が多く含まれますが、アール・ブリュットという言葉は「障害がある人の作品」という意味にとどまりません。私はアール・ブリュットの作品を拝見していて、生き抜くために、魂の底から生み出された作品が多いのではないかと感じます。
私はアール・ブリュットに、水族館で出会いました。
昨年10月にしながわ水族館で開催されたアール・ブリュット展で、ブルボンヌさんがトークイベントに出演されていました。そちらにうかがって、展示を見たのが私とアール・ブリュットの出会いです。
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佐賀県立美術館のギャラリートークでは、アートディレクターの小林瑞恵さんと作品を観てまわり、「多様性」をテーマにお話しさせていただきました。
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アール・ブリュットというカテゴリーは、本当は必要ないかもしれないという点。
「アウトサイダー・アート」と呼ぶのか「アール・ブリュット」と呼ぶのか。
これまで差別されてきた人たちの地位向上。
このような点が、LGBTともつながっているように思います。
本来なら、カミングアウトの必要がない社会が望ましい。
「LGBT」と呼ぶのか、「セクシュアル・マイノリティ」と呼ぶのか。
LGBTは、これまで差別や偏見を受けてきた人たちを肯定的に捉え直そうという概念。
もちろん、アール・ブリュットの作家さんの中にも多様な人たちがいて、その中にはLGBTの作家さんもいらっしゃると思います。
よく「LGBTの人には、クリエイティブな人が多いですよね」と言われることがあります。
私はずっと考えていました「ゲイには特別な遺伝子(?)があって、クリエイティブになるんだろうか……???」と。
でも、それは違っていました。
人は元々それぞれにとてもクリエイティブな存在なんです。
ところが、「男らしくしなければならない」「女らしくしなければならない」「結婚しなければならない」「ありのままの自分でいてはいけない」「普通でいなければいけない」などと、社会の鋳型に自分をはめようとすることで、本来備わっているクリエイティビティを発揮できなくなってしまっているのではないかと思うのです。
LGBTの人たちは、自分自身のセクシュアリティに気がついたときから、社会の「普通」の枠にはまることができません。そのためにものすごく傷つく経験もしますが、ひとたび「自分らしくていいんだ」「ありのままの自分でいいんだ」ということに気がつけると、その人が本来持っているクリエイティブな才能を発揮できるのではないかと思いいたりました。
だれでも人は、「男らしく」「女らしく」ではなく「自分らしく」、自由に生きていいんです。自分らしさに気づき、それを大切にして自由に生きようとする。そこから人はクリエイティブになっていくのではないかと思います。
さて、東京都にアール・ブリュット美術館を作ろうという動きがあることが報じられています。
多様性の推進を掲げている渋谷区に、アール・ブリュット美術館ができたら! 本当に素敵だなぁと思っています。
佐賀ではとても素敵な出会いもあり、私にとって記憶に残る大切なお仕事になりました。
さて、3/27まで、中野でアール・ブリュット展が開催中です。
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2/11(木・祝)にはこちらのフォーラムも!(入場無料・要予約)
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お近くにお住まいの方、ぜひ足を運んでみてください。
《アール・ブリュットをより知りたい方のために》
★アール・ブリュットの本ではありませんが、「アートは難しい!」と思っている方に楽しく読んでほしい2冊

 

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