第130回 「ベッキーは日本の性差別の犠牲者」!?フランスでの報道5社ぶんまとめ

 

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まきむらよ。

毎週金曜、世界のニュースから性を考える時事コラム「まきむぅの虹色NEWSサテライト」をお送りしております。

今回のテーマは、「フランスで報じられたベッキー不倫騒動のまとめ」です。

★ ベッキー不倫騒動、そもそも何があったの?
★ 「日の出ずる国の性差別」! フランスでの報道5社ぶん読み比べ
★  ベッキーだけが下ろされるのは“性差別”か、否か?

以上の流れで見ていきましょう!


★ ベッキー不倫騒動、そもそも何があったの?

今年はじめから、タレントのベッキーさんと、『ゲスの極み乙女』ヴォーカル・川谷絵音さんの不倫騒動が話題です。

もういいよ

ってなっしゃる方もいらっしゃるかとは思うんですが、一応、時系列でまとめますね。敬称略、手短に行きます。

2015年? 川谷絵音、一般女性と結婚 公表はせず

2016年1月4日 ベッキー、川谷の実家を訪れたところを週刊文春に撮られる

1月6日 ベッキー謝罪会見、「食事はしたが友人関係」と説明

1月7日 「週刊文春」で不倫報道

1月9日 CM等、ベッキー出演作品の差し替えが続く

1月21日 「週刊文春」、川谷とベッキーのLINE内容を報じる(いわゆる「センテンススプリング」事件)

2月5日 ベッキー所属事務所より休業発表 川谷の所属バンド・ゲスの極み乙女は休業せず
……要するにこれ、こういう状況ですよね。

「既婚男性と独身女性の不倫で、独身女性のほうだけ休業に追い込まれている」

このことをフランスのマスメディアは、確認できるだけで5社が「日本の性差別の事例」として報じています。これが性差別かどうかは最後にとっておくとして、まずはさっそく、それらの記事を読み比べてみましょうか。

 


★ 「日の出ずる国の性差別」! フランスでの報道5社ぶん読み比べ

今回の件は、ベッキーの父親の出身地・イギリスの新聞で取り上げられたことをきっかけにフランスにも飛び火したものです。フランスのメディアがいつも日本の芸能界に注目しているわけではない、ということを前もって申し上げたうえで、5社ぶんの報道を続けてご紹介しますね。

▼創刊30年の社会批評誌「レザンロック(Les inrocks)」の報道

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スクリーンショット、2月11日閲覧)

「“男がいるからクビ”――日本の芸能界における女性の地位を明らかにしたスキャンダル」

これは、日本の芸能界の掟である。スターたちは芸能界にとって、大衆の人気を集められるということ以外に価値がない。多くは、見た目が良く、明るく、道徳的に問題がない若い女性である。不倫は日本の大衆には歓迎されない。

それだけでは終わらない。いくらかの芸能事務所は、女性芸能人に恋愛を禁じる契約への署名をさせる。彼女たちのファンのほとんどが若い男性であり、手が届く存在だと思われる必要があるため、成功するためには恋人や夫がいてはならないのだ。

▼フランスのオレンジページみたいな雑誌「ル・ジャーナル・ドゥ・ファム(Le journal des femmes)」の報道

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スクリーンショット、2月11日閲覧)

「ベッキー、日の出ずる国の性差別犠牲者」

不倫は、少なくとも二人の人物が愛のダークサイドに落ちていることを暗示する。だが不幸にも、レベッカ・英里・レイボーン――日本のテレビで広く知られる芸能人のベッキーは、世間の怒りと業界の制裁を一身に受けるただ一人の存在となってしまった。(中略)

2016年1月まで、日本のガールズバンドのシンガーたちには恋愛の権利が認められていなかった

(※訳注:元アイドルの女性が恋愛禁止の契約に違反したとして、マネジメント会社に損害賠償を求められ、「恋愛禁止は不当」との判決で終結した2016年1月の事件のことを指しています。ちなみに、フランスにはアイドルというジャンルが存在しないため、ガールズバンドのシンガーという表現になっていると考えられます)

恋人も夫もいないことを保証し、男性の妄想を満足させるため、彼女たちは(恋愛禁止の)契約書にサインをしなければならなかったのだ。

▼女性向けWEBメディア「メトロポリテーヌ(Metropolitaine)」の報道
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スクリーンショット、2月11日閲覧)

「ベッキーの物語 日本のテレビの性差別」

おはなしは、おしまい。不倫を責められベッキーは、ラジオの仕事を失ってしまいました。所属事務所のサンミュージックは、彼女の契約書すら撤回してしまいました。彼女の恋人と噂される、ポップシンガーの川谷絵音のほうは、問題なく活動を続けているというのに

▼週刊女性誌「マダムフィガロ(Madame Figaro)」の報道

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スクリーンショット、2月11日閲覧)

「ベッキーの転落 日本のテレビのスター、性差別の犠牲者に」

日本の女性アーティストたちは、性差別の影のもとに置かれています。大人気だったレベッカ・英里・レイボーンが、今となってはテレビ業界にとって“不適切な人物”に。彼女の落ち度とは? 既婚の男性歌手とお付き合いをしたことでした……その歌手のほうのイメージは、傷ついてはいないのですが。(中略)

日本の文化やメディアに詳しい、フィリップ・ブレイザー氏はこう語ります。日本において、ベッキーは他の芸能人たちと同じように、「いい子で、明るく、好ましい若い女性だというイメージによってスターの座を得ていた。そのイメージが傷ついてしまえば、彼女にはもう価値がないのだ。そのイメージを使っていた人々にとっては」と。(中略)

2013年には、有名グループAKB48の峯岸みなみが、交際相手の男性の家を出るところを写真に撮られました。彼女は謝罪をYouTubeにアップロードし、「メンバーの一員として若い世代の手本になるのは私の責任だと思います」と語りました。カメラの前で涙を流し、事前に髪を剃り落として。

▼ラジオ局「フランスアンテール(France Inter)」の報道
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スクリーンショット、2月11日閲覧)

「日本、とあるテレビスターの悲劇」

特徴的なのは、彼女が≪hâfu(ハーフ)≫だったということ。つまり、母親が日本人で、父親がイギリス人。こういうエキゾチックさというのは、日本人が大好きなものです。(中略)

ええ、日本では、そのような(恋愛禁止の)契約書は珍しくないんですよ……そして、女性だけに強いられているものなんですよ!(中略)

最新の例を挙げましょう:何日か前、日本のあるテレビ局が、スキャンダル前に作られたベッキーのPVを流しました。放送から10分で、テレビ局は1000件以上の苦情を受け取ったんですよ! それでは、応援の気持ちを込めて。こちらがベッキーです!(※続けて、ベッキーの歌う「風のしらべ」PVのYouTube動画が貼られている)

(以上、筆者抄訳/太字強調は訳者によるものです)

おわかりいただけましたでしょうか。

ベッキーめっちゃ同情されてる件

さすがは大統領が不倫しても「政治さえやってくれれば別に……」ってことで下ろされないどころか出会い系サイトの広告に使われたりする国・おフランス!!!!!!

まあでもマジレスすると、日本ヤバい国~! おフランスを見習うべき~!! みたいな話で終わるのはちょっといただけないでしょうねって思うので、最後に論点を整理してみたいと思います。


 

★  ベッキーだけが下ろされるのは“性差別”か、否か?

まず、フランス人にも日本人にもそれぞれいろんな意見の人がいるよねっていうことは大前提ですね。

その上で今回の件について、日本的な見方とフランス的な見方とをちょっと比べてみましょうか。

著名人の不倫騒動、日本的な見方まとめ

・不倫はよくない。みんなで吊るし上げるべきだ。
・アイドル(女性芸能人)に彼氏がいたら夢が壊れる。恋愛禁止は仕事のうち。
・芸能人はイメージを売っている。なので、不倫で仕事を下ろされても当然。

著名人の不倫騒動、フランス的な見方まとめ

・不倫はよくない。あくまでプライベートの問題ではあるが。
・アイドル(女性芸能人)に彼氏がいても本人の自由。恋愛禁止なんて人権侵害。
・芸能人は歌や演技や話術などの技能を売っている。なので、不倫でクビとか意味不明。
そのうえでフランスの一部マスメディアは、「既婚男性と独身女性の不倫が報じられ、女性だけが代償を支払わされている」っていうこの状況を性差別だと指摘しているわけですね。

さて、あなたは、どう思われますか?

芸能人が芸能に、政治家が政治に、ちゃんと集中できる世の中になることを私は願ってやみません。もちろん、性別や性のあり方を問わずにね。

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……ということで、読んでくださってありがとうございました。また来週金曜日にね! まきむぅでした◎

 

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