第140回 同性が好きで悩んでいる10代のあなたへ Part.1

こちらは先日朝日新聞に掲載された、佐藤かよさんの記事です。とても素敵な記事だったので、ぜひ読んでみてください。
▶︎「女の子になりたい」母と悩んだ モデル・佐藤かよさん
佐藤さんのお母さんの言葉「本当のことを伝えて離れていく人とは、そこまでの関係。それでも仲間だと思ってくれる人を大事にするの」にとても共感しました。
佐藤さんはMTF、私はレズビアンなので違う部分もありますが、カミングアウトの壁や悩みなど共通する部分も多くあります。
同性が好きな自分は、人と違う。
こんなことは、親に認めてもらえないのではないか。
友達に嫌われてしまうのではないか。
同性が好きだということで悩んでいる人、とくに若い人に知ってもらいたいことがあります。

もし、今の環境や人間関係の中でカミングアウトできないとしても、それが一生続くわけではありません。とくに学生の頃には、今いる場所が世界の全てのように感じているかもしれませんが、全くそんなことはありません。世界はあなたが思っているよりはるかに広い! 世の中にはいろんな人がいます。必ず自分に合う場所、合う人たちを見つけることができます。本当です。

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とは言っても、親に認めてもらえないということがどんなに辛いことか、よくわかります。
でもね、親に認められないとしても、いいんです。あなたはあなた。あなたの人生を生きられるのはあなたしかいません。あなたは、絶対にあなたのままで、そのままでいいんです。他の人に、たとえば異性愛者になろうとしなくていいんです。
私が同性が好きだと気がついた16歳の頃、「こんなに苦しいなら、異性愛者になったらラクなんじゃないか」と考えたことがありました。今思えば、なんとも異性愛者に失礼な考えですね。でも、まだ16歳でなんの知識も経験もなく、まわりに相談できる大人もいなかった私は、「普通になれば」「少数派にならなければ」幸せになれるのではないかと思ってしまったのです。これは全く間違った考え方です。なぜならば、「自分でないものになろうとすると、決して幸せになることなどできない」からです。
レズビアンであることは、変なことではありません。数は少ないかもしれませんが、男の人が好きでも、女の人が好きでも、好きにならなくても、まったくおかしなことではありません。ただ全体の人数の中で数が少ないだけです。それに差別されてきた歴史があって、今の社会がまだ成熟したものでないから、使えない制度があるなどの不利益はあります。それは数が少ない人も困らないように変えていく・作っていく必要があることです。そしてそれは少数派の人のためだけではなくて、そうしていくことで、少数派の人も多数派の人も、だれもが生きやすくなるからそうしていく必要があることです。
少数派でいることで不便なことや不利益はあっても、それは不幸なことではありません。私はレズビアンです。同性のパートナーと結婚しています。結婚しているのに婚姻制度が使えないために、ふうふのお金のことや、将来生まれてきてくれるかもしれない子どもの親権のことなどで、不便なことを抱えています。それでも、私はとっても幸せです。レズビアンで本当によかったと思っています。
私が私だったからひろこさんと出会えたし、少数派の生きづらさがわかったことで、社会の中で見落とされがちなことにも気がつくことができるようになりました。私は16歳のときに、私が私でいることをやめないで、本当によかったと思っています。
10代の皆さんは、今いるお友だちが離れていってしまう(かもしれない)ことが、ものすごく怖いかもしれません。でも、永遠に続く人間関係なんて、そうそうありません。10代の友だちが長く続くことも素敵ですが、社会に出て多様な価値観に触れて、人は変わっていきます。新しい出会いもたくさんあります。カミングアウトして失ってしまうのではないかと手をギュッと握ったままでは、新しいものも入ってきません。本当のことを話して、本当のあなたを知って離れていく人がいたら、それはそれまでのことです。そのときはとても辛いかもしれませんが、それは「とても残念だった」、それだけのことです。必ずまた新しい出会いが、人間関係ができていきます。不思議ですが、人の縁というのは、どうもそういうふうになっているようなのです。何百人と関係を続けていくことはできません。自分にとって本当に大切なことを知って、お互いに大切にし合える仲間は、そんなにたくさんはいないかもしれません。でも、それでいいと私は思っています。
親の話に戻りたいと思います。カミングアウトするなどして、あなたが親の希望通りの子どもでないとわかったときに、「ひどい娘(息子)だ」「あんなにお金をかけて育ててやったのに」などと言う親がいます。私の親がそうでした。これにはひどく傷つきました。そのとき私は、「こんなひどいことは、自分だけに起こった特有の悲劇だ。なんてことだ!」と思いました。でもね、それは違いました。同じように親に傷つけられている人が、山のようにいたのです。もうほんと、山のようにです。
カミングアウトに限らず、親の希望通りではない子を否定して支配しようとする親が、残念なことに本当にたくさんいます。「自分の親がそんな人だった」という事実に向き合うにはエネルギーがいるし、とても辛いことですが、あなたの人生はあなたしか生きられません。そして何年かすれば、経済的にも精神的にも、親がいなくても(場合によっては親がいない方が)生きていけるようになります。なりたい! なろう! と思えば、必ずそうなっていきます。
親に認められない自分はダメな自分だなどと、絶対に思わないでください。
親が、ありのままのあなたを受け入れる力がなかった(あるいは未だない)だけです。
これからは日本でも同性婚が認められるようになっていくでしょうし、子どもも持てるようになっていくと思います。でもね、社会制度が変わっていくことも重要ですが、本当の差別は心の中にあると思っています。このお話はまた次回にしたいと思います。
(つづく)

 

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