第40回 相性抜群な人と恋に落ちる必要があるのか

 

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自分がどんな人と恋に落ちるのかなんて想像もつかなかった。理想の相手なら毎晩寝る前に妄想していたが、実際にどんな人が自分とピッタリとマッチングするのかは未知の領域だった。星占いや血液型占いに頼って自分と相性のいい人を探してみるも、曖昧な答えにどうも納得できなかった。周りに相談すれば、お互いの足りないところを補える人を勧められたり、同じ分野で仕事をしている人はダメと忠告されたり、話を聞けば聞くほど混乱した。

いざ今の彼氏と出会ってみると、それまでに培ってきた恋愛の相性に関する知識が全然役に立たないとわかった。社交的で友達付き合いの広い自分と比べて、彼氏は内向的で人見知りが激しい。しかし、二人きりになると立場は逆転して、静かに過ごしたいあたしの横で彼氏のマシンガントークが止まらない。大胆な決断を勢いに任せてしまう自分を止めるのはいつも慎重な彼氏で、それで喧嘩することも少なくない。一方で、お互いに細かいところにこだわりがあって、そこは何があっても譲らないからリビングルームに飾る絵が決まらずに2年が経つ。様々な顔を持つ人間同士の相性の良し悪しなんてそう簡単に分析できるものじゃない。今でも自分と彼氏の相性が良いのかどうかなんてわからない。

周りにいるカップルを観察してみると、みんな良い具合に変で、妙にバランスが取れている。お互いにワーカホリックで忙しいにも関わらず、せっかくの週末のデートにビジネスアイデアのプランニングに励んじゃうカップル。節約が大好きで、引き出しいっぱいにクーポンを集めて、セールや割引の話を聞けば待ったなしに駆けつけるカップル。セックスが大好きで、常に斬新なプレイにチャレンジしてはセックスショップへ新しいおもちゃを買いに行くカップル。一見相性抜群の彼らから話を聞いてみれば、どのカップルも相性ピッタリというわけではないらしい。

「恋愛も、セックスも、日常生活も、それ以外も全部相性ピッタリな人を探すくらいなら、一生独身で暮らしたほうがずっと楽」

これはある友達の口癖で、今ではすっかり自分の口癖になった。世界のどこかにいるピッタリはまるパズルのピースを探している人を止めるつもりはないが、自分はもうとっくにあきらめている。たとえそんな人が存在したとして、もう探す気力も体力もあたしには残っていない。うちの玄関まで来てくれるなら別だが、今のままならもうそんな人はいないと考えた方が潔い。ピッタリはまらなくてギャップだらけでも、今目の前にいる人とお互いに歩み寄る努力をすればいい。二人だけのバランスを見つけることに真剣になってくれる人なら、チームワークでなんとかなるはず。そう考えるのは楽観的だろうか。

日曜日の午後、まだ掃除も終わってないのに、彼氏がソファーでいびきをかきながら昼寝していた。頭に来たので叩き起こそうかと思ったが、せっかくの休みだしと一緒になって昼寝することにした。手を握って、肩に寄りかかって、彼の温もりを感じながらすぐに眠りに落ちた。こんなシンプルな瞬間こそが今の自分にとっては大切で、表面的な相性なんてすっかり忘れていた。

 

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