第21回【実録】ソニー生命の同性パートナー受取人保険に加入してみた(後編)

 

こんにちわ。LGBTフレンドリーな会計事務所、税理士の上村大輔です。

昨年末ごろから同性パートナーを保険金受取人にできるようになってきた生命保険業界。その中のひとつ「ソニー生命」に加入したゲイカップルの実録…後編をお届します!

▶︎前編はこちら

※プライバシーの関係で若干ぼやぼやした報告になる点、あらかじめご了承ください……。

1.任意後見契約の締結、そしてお宅訪問…!
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任意後見契約の締結は、AさんとBさん二人で近所の公証役場へ行きました。Bさんが急いで持参した印鑑(認印で可)が少し欠けていたというハプニングはありつつも、無事に締結が済みました。第三者(公証人さん)立会いのもと任意後見契約の文面が読み上げられる様子は少し厳粛な雰囲気で、さながら結婚式(そのイメージ内では公証人さんが神父さん……笑)のようでふたりは感激したようです。

こうしてできた任意後見契約の公正証書の写しと住民票をソニー生命代理店のSさんに出してホッとしたのも束の間、次は保険会社の委託する「確認委託会社」のお宅訪問があるとのこと。これは、独立した第三者機関である確認委託会社の方が、契約内容や告知内容に関する誤解が生じていないかヒアリングをするもので、保険金額が大きい契約や前例がないような申込の際などに行われるようです。

スケジュール調整の結果、仕事の関係で平日夜に、二人の家まで来ていただくことになりました。そして迎えた調査日当日。少しお年を召した男性の方がおひとりでいらっしゃいました。合計20分くらいの面談では、AさんとBさん両方に、今回の申込動機、健康状態、仕事内容、職場の建物の構造(!?)、収入などについてのヒアリングが行われました。調査員の方はとても穏やかな方で、終始和やかな雰囲気で進んだのですが、時々目が鋭かったそうです(笑)。

2.加入後の心境の変化とは
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そして数日後、無事に加入ができたという連絡と、保険証券がご自宅に届きました。一連の手続きが無事に終わり、結果的にですが、任意後見契約まで整備することになり、将来お互いに何かあった時の不安が、生前(任意後見)&死亡後(生命保険)のダブルで取り除かれた気がしたそうです。一方で、もう別れられないね……という(良くも悪くも)縛りができたとおっしゃっていました。

※実際には、任意後見契約の解除や生命保険金受取人の変更はできるようですが。(笑)

3.加入にあたっての注意点は
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今回の加入、トントン拍子で進んでいるように見えましたが、同時にいろいろな点で気付きもあったようです。今後加入される方に向けての注意点を伺いました。

(1)健康診断は万全の体調で
加入にあたり必要になる健康状態の告知。まだ年齢が若い方Bさんは健康状態の申告のみで進むことができましたが、年上のAさんは直近の健康診断結果2年分を出しました。もともと生命保険加入を全く意識していなかったAさん。健康診断も油断していました。例えば血圧や血糖値などは、健康診断を受ける時の状況で、場合によっては平常時より高く出てしまうこともあります。Aさんの場合は坂の上にある病院まで自転車で行って健康診断を受けていたらしく、血圧もいつもより高く出てしまっていたようです。とはいえ、高い数値が出たことも事実。さかのぼって数値を直すことはできないのです。告知と健康診断の結果をもとに査定がされ、月々の保険料に加えて、割増しの保険料も加算されてしまったそうです。

(2)加入時の年齢で大きく変わる保険料
死亡保険金等は同じ額でも加入時の年齢により大きく変わる保険料。加入を検討している方は、是非「若いうち」のご加入がオススメです。とはいえ、若いうちだとあまり生命保険に意識が向かないことが多いと思いますが……。あるいは、既に加入している生命保険契約があれば「受取人の変更」という方法を検討することで、新規加入に比べ月々の保険料を抑えることができるかもしれません。

(3)やはり生命保険料控除がないのは悲しい…
保険料を支払うことになり、もともと聞いていたとはいえ、所得税の「生命保険料控除」を受けられないのは、残念がっていました。支払期間が長いスパンなので、その間の節税効果は結構になります(ぜひ、認めてもらいたいものですね……)。その他にも税務上はいろいろ、婚姻カップルに比べて不利になる点は、あらかじめ知っておきたいところ。詳しくは当コラムの過去の記事もご参照ください。

▶︎第16回 同性パートナーの生命保険金にかかる税金を改めて整理してみた

いかがでしたでしょうか。今回と前回は特別編でお届けしました。保険加入を検討している同性カップルさんに少しでも参考になれば、という思いで、ご本人の許可をいただき可能な範囲の情報を掲載させていただきました。同性婚をはじめ、同性カップルの法的な整備が進みそうな中で新たに始まった保険業界の動き。まだまだ過渡期かもしれないので、しばらく様子をみることも一つかもしれません。一方、何かあったときの安心感という意味では、とても意味深いものだと思います。少なくとも、せっかく入った方には、いつか「保険に入っていて良かった」といえる日が来ることを、お祈りしています(でもよく考えたらそれってどちらかが死んだ時だから嬉しいことではないですね……)。

※保険加入手続きは、個々人の状況によってケースバイケースなので、今回はある一例ということでご参考まで。今後加入を検討されている皆さんが必ずしも同じ手続きになる訳ではない点、予めご了承ください。

 

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