第72号 介護・医療・福祉へ、性的マイノリティを伝えます!

 

 ●セクマイは「子なし・ひとり」の老後、HIVや性別移行の場合も

東京はようやく春めいてきました。二丁目名物(?)、新宿御苑の「オカマの花見」の呼びかけもちらほら聞こえます。私は花粉症で、鼻水と涙がだだ漏れ状態、野外でお花見なんて滅相もない感じなんですが……。

さて、きょうは性的マイノリティの老後を考えるNPO「パープル・ハンズ」で、3月20日に開催予定の「講演とシンポジウムのつどい」をご紹介します。

今夏で50歳になる私も、ゲイの老後がひたひたと足元に打ち寄せ、不安を感じる日々です。
性的マイノリティの高齢期の不安としては、「老けた」「腹出た」「シワ増えた」「はげた」「上も下も白髪」のほかに(河岸かえて、それが売りになるとこへ行ってください)、つぎのような点が考えられます。

・性的マイノリティの人は子なし/独居で高齢期を迎える人が多いと予想され、他人の手(介護力)の持ち合わせが少ない。孤独死の予備軍ともなる。一人暮らしで認知症になったらどうしたらいいのか。 

世は“同性婚ブーム”だけど、実際はどうでしょうね。短期の出会いと別れを繰り返しながら、気づいたらひとりの高齢期かなあ? まあ、ノンケも非婚のすえに高齢おひとりさまは珍しくもないし、たとえふたりでも死別すればシングルですが。

・介護では家族/身元引受け人を要請される場面が多いが、親族と疎遠で頼める人がいなかったり、逆にまだ家族と認められていない同性パートナーがかかわれるのか不明。

・病室やホームの居室で、同性パートナーと会うことができるのか。本人に意識がない場合、病状や状態についてパートナーが説明を受けたり署名を代行したり、臨終にも立ち合うことができるのか。

人にかならず訪れる「生老病死」。高齢期とはまさに老病死の場面ですが、うちらにはうちらなりの悩みの深さもあるようです。

・ゲイにはHIV陽性者も少なくないが、介護事業者や町の高齢期クリニック等がHIV陽性者にも対応してくれるか不明。HIV陽性者には近年、認知症の発生が高いことも報告されている。

・トランスジェンダーには身体に処置をしていたり、見かけと書類上の性別が異なるなどの場合がある。医療や看護、介護の場でどう対応されるのか怖い。

自分で動けなくなる場合、他人に身体を見られる場面は気になりますね。HIVへの対応も心配。

・デイサービス等で通常の人のように孫の話などできないので、なじめるのか不安。プライバシーを聞かれたくない。

「航くんのビデオには世話になったのお」「ジーメンもおもしろかったのお」、そんな会話のできるデイサービス、ないかしら?

・うつ病などのメンタル不調、アルコールや薬物等への依存症を抱えている人もいる。

・性的マイノリティに職場の理解や対応が乏しいため正社員に定着できず、非正規や離転職が多かった場合、老後のための資産形成ができず、高齢貧困(老後破産や下流老人)の危険性がある。

・シングルで親族がいない場合、亡くなったあとどうなるのか、「無縁死」が心配。逆に、パートナーにきちんと遺産を引き継げるのか。パートナーと親族間で争いが起こったときどうしたらいいのか。

一般にいう「おひとりさま」にも共通する問題があるかもしれませんが、自分が性的マイノリティであることがネックとなって、行政や福祉に相談したり援助を求めることが難しい場合があるかもしれません。

 ●介護や医療へ講演会を開催

私たちパープルでも、こういう状況をどう迎えるかに当事者として細々と取り組んでいるわけですが、より多くの人と課題を共有し、今後のネットワークの始まりとするために、このたびつぎのようなつどいを開催することになりました。


  介護や医療、福祉関係者のための
高齢期の性的マイノリティ 課題を知るつどい
〜〜講演とシンポジウム〜〜

と き:3月20日(日)午後2時~4時半(開場1時半)
ところ:中野区産業振興センター大会議室(中野駅南口5分)
後 援:中野区、中野区社会福祉協議会

入場無料、申し込み不要


最初に基調講演として、「ゲイの高齢期を生きる〜独居、HIV、障害、そして仲間」と題し、ゲイ・63歳・HIV陽性・独居・身体障がい・腎臓透析……などの当事者でもあるAさん(当日は本名でご紹介します)のお話をうかがいます。身体障がいや透析は、体重が3ケタあった若いときからの糖尿病によるものですが(下肢切断も)、ガチむちを誇る人が多いゲイ業界には他人事でないかもしれません(さらにHIVだと糖尿病が促進する面もあるようです)。
いろいろ大変な面もありますが、とはいえ同時にゲイコミュニティならではのサポートの輪がAさんの周りに築かれていることも、ぜひ聞いてみてください。

後半は、Aさんのお話をもとに、
  石崎祐子(施設勤務ケアマネージャー)
  浅沼智也(看護師、LGBTナースコーチング)
  北村 浩(内科医師、パープル・ハンズ代表理事)
  永易至文(行政書士、パープル・ハンズ事務局長)*

といったメンバーで話し合います。浅沼さんはトランスジェンダーであることを公表しています。もちろん、フロアからの質問にもいっぱい答えたいと思います。

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セクマイコミュニティは介護・福祉分野で働く人も多い印象があります。ぜひ、お誘いあわせてご参加くださいね!
もちろん「介護や医療、福祉関係者のための」とうたってはいますが、職種やセクシュアリティ不問(ノンケさん=一般のかたも)で、どなたでもご参加いただけます

あ、大事なことを。
このイベントは、生活協同組合パルシステム東京の市民活動助成基金さまから助成を受けて、入場無料で開催されます。パープルとしては、昨年の「区内介護事業者向け性的マイノリティ研修会」につづき、2度目の助成となりました。

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 ●新しい冊子もできますよ!

今年パルシステム東京さんからは、このシンポジウムと同時に、冊子の作成にも助成をいただいています。

介護や医療、福祉関係者のための
 高齢期の性的マイノリティ
理解と支援ハンドブック

ひとり暮らし、同性ふたり暮らし、医療面会、HIV、性別移行

がそれです(A5判、24ページ)。
性的マイノリティと福祉や医療、介護については、語ればいくらでも話題がある、切りがないテーマです。ただパープルは「高齢期サポート」に絞り、現場でまずは知ってほしい、そして今後に応用のきく情報を整理しました。
「性の多様性」「高齢期の性的マイノリティ」「トランスジェンダー」「医療面会・医療説明」「HIV感染症」「成年後見制度」の6つのテーマに絞り、上記のAさんの取材記事や昨年の介護者向け研修会の報告などを含む4つのストーリーで補足した、見やすいパンフレットです。

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この冊子は、20日のつどいで配布を開始するとともに、在庫のあるかぎりご要望に応じて無料送付をします(郵送料も一部助成をいただきました)。また、パープルのウェブサイトにもPDFでアップし、ダウンロードしてもらえるようにする予定です。
現在、印刷中ですので、こちらもどうぞお楽しみにお待ちください!

 

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