Vol.21女装ニューハーフイベント「プロパガンダ」最終回レポート

 

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3月12日(土)、新宿二丁目ArcHにで女装ニューハーフイベント「プロパガンダ」の最終回が開催されました。当日は開場間もなくから来場者が引きもきらず、常に満員状態。

目玉企画となる創設者モカさんと現主宰さつきさんの裏話暴露トークショーでは、まさにすし詰めとなっていました。

●付きまとった会場問題

トークショーの冒頭は、会場写真を紹介しながら創設時からの思い出を語りました。当初の小さい会場から、来場者の増加に合わせてやどかりのように会場を引っ越し続けました。

「クラブはよく閉店になるから、いつも次の会場を探さなきゃいけないのが大変だった」とモカさんは当時を振り返ります。プロパの歴史を代表する会場・風林会館は、元キャバレーで内見時は物置小屋状態だったとのこと。

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モカ「風林会館は大きいから、なんか空いてるスペースあるかなって思って電話したら見つかったの」

さつき「ネットとかに載ってたんじゃなくて? じゃあ地道に探したんだ」

モカ「そう! かなり探したよ」

3、4年くらいは風林会館時代はすごく人がきていて、最高で450人ほどの来場者がいました。立地、雰囲気、レンタル料など理想的な会場で、まさにこの時がプロパガンダの黄金期といえるでしょう。

さつき「でも何でキリストンカフェ(新宿三丁目のテーマパークレストラン)に移らないといけなかったんだっけ」

モカ「風林会館はテナント待ちの場所だったから、次のテナントが見つかるまでは好きに使っていいよって言われてたんだけど、お店が入るのが決まっちゃったから」

さつき「風林会館なくなったの大変だったよね」

モカ「大変でしょ! いつもそう!」

風林会館から会場移転せざるを得なかったプロパガンダは、会場に合わせて様々な企画を取り入れて試行錯誤を繰り返し、最終的には新宿2丁目・ArcHで最終回を迎えることとなりました。

●創設者・主宰それぞれの思い

さつき「ところでさ、何でわたしに代表を譲ろうって思ったの?」

モカ「わたし作るほうが向いてるから、作って、運営する人を任せたかったんだよね。さつきちゃんと仲よかったし、見た目もきれいだし、ちゃんとしっかりしてるから運営できるかなって」

さつき「わたしが2年前の就任式した時、女装やニューハーフや性同一性障害ってまだ社会でそんなに認知されていなかったのよ。今よりもっとアングラな人に言えない趣味で、そんな社会を変えたいよねって話を二人でしてたよね。それでたまたまプロパガンダがあって、これを使って変えていきたいなって。わたし自身もプロパガンダがすごく好きだったしね」

ちなみに出会いは3年前。モカさんが女の子クラブというお店を作る時にスタッフを探していて、女装専門SNS「T’sLOVE」で当時名古屋に住んでいたさつきさんをダメ元で誘ったところからだとか。今では週に2、3回会う、自他共に認める親友とのことです。

●暴露!イベント売り上げ事情

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さつき「利益を上げるのに、目安の客数ってあるの?」

モカ「イベントはそんなに利益にならないんだけど、200人超えれば。それまでは大きくした分だけハコ代がかかってくるから」

さつき「ちょうど200人規模だった風林会館の前の時はどうだったの?」

モカ「スタッフとかにお給料払って残るのは10万くらいかな」

さつき「ちょっとしたお小遣い稼ぎみたいな感じだね。風林会館の時はどうだったの?」

モカ「お客さんが多かったっていうのもあるけど、クラブとして成り立ってない会場だったから、ハコ代は安かったし、ドリンクの売上げは全部自分たちのにできたからヤバかった!」

さつき「300~400人集まってて、いくらになった?」

モカ「100万から150万くらいは利益になったよ」

さつき「え、それが一夜で?」

モカ「ドリンク代が大きかったんだよね。ドリンク代が全部主催者側に落ちるハコなんてない! しかも協賛とかが入ってきて、シンハービールはタダでもらってた。他のお酒に影響が出るから、普通の値段で売ってたけど」

さつき「それ、何に使ったの?」

モカ「女の子クラブ(新宿2丁目の女装バー)作った」

さつき「堅実(笑)」

●お客さんとのトラブル

さつき「変わったお客さんってどんなだった?」

モカ「水着で外出ちゃって、警察に連れてかれる人とか、協賛でTENGAが配られた時に会場で使っちゃう人とか!」

さつき「わたしは……お尻いつも触ってくる男の人とかかな。すぐにつまみ出してもらったけど。出入り禁止のお客さんとかいたの?」

モカ「相当しないんだけど、唯一1人だけいる」

さつき「名前出せる?」

モカ「なんとも思ってないから大丈夫。⚪︎⚪︎の**!(こちらは会場限定)」

会場「(笑)」

モカ「あいつはスカウト禁止のプロパで自分の店のキャストのスカウトしたし、わたしがやってる女の子クラブのキャストを引き抜いたんだよね」

さつき「それで相手はどんな反応だったの」

モカ「話し合おう、話し合おうって。でもなんかもう面倒くさくって」

●イベントから得られるものは?

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モカ「ビジネスとしては不安定だしやることは多いけど、得られるものは多いって実感した。文化の中心にいることでいろんな人とつながれるし、テレビクルーやジャーナリストさんとかの外の人と話すことで、日本の女装文化を外から客観的に見られてよかったな」

さつき「すごい広告になるよね。とにかく人脈が増える! 普通の友達と会う時と違って、1日に何百人って会えるから、人脈だけで仕事をしてる自分みたいな人には役に立ったな。熱い気持ちを持った人に毎月会えて刺激になったし。イベントをするのに、必要なものって何?」

モカ「ウェブサイトかな。人に任せると高いから、自分でできた方がいいよね。あとは問題がよく起こるから、問題解決能力が高くないと。あとは調べる能力。ハコを探したり、宣伝先を考えるのに必要」

さつき「問題はよく起こるよね」

モカ「イベントってライブ感があるんだよね。オープン数時間前にないもの、壊れたもの、いつもあったりする」

さつき「毎月やっててトラブルない月ってあんまりないよね」

モカ「でもいつも解決してくから、多少のトラブルはなんとかなるって思えるようになる!」

さつき「他にはある?」

モカ「主宰はしっかりしてた方がいい。みんなではできないよ。意見がバラバラになっちゃうし、スピード感が大事だから一人でやって一人で決める」

さつき「みんなで仲良くやっていこうねって形だと」

モカ「コンセプトがぶれぶれになっちゃう。だからさつきちゃんに任せた時は自分が口出ししないようにしてた」

●人の意見は関係ない!?

さつき「イベントを主催する上で覚悟することは?」

モカ「立ち上げ時とか、うまくいってない時はあーだこーだ言われるんだよね。でも、自分が正しいと思ったことをやった方がいい。そうでないと、ブレちゃう。マイナスな意見聞いてやる気がなくなっちゃったらダメだし」

さつき「プロパはどんなスタイルを突き通してきたの?」

モカ「これが正しいって自分が思ったことだけをやるようにしてた。さつきちゃんは?」

さつき「人の意見にいちいち左右されないこと」

モカ「うまくいくとすごい褒められるんだけど(笑)」

さつき「こういうことしてると、離れる人もいるのよ。プライベートの友達もいたんだけど、調子乗ってるとか言われて離れていっちゃった。でも自分の陰口をいう人は自分を幸せにしてくれないし、自分の人生に責任をとってくれるわけじゃない。だからいちいち聞かないようにした。あとはブスとか言われても気にしないこと! 2ちゃんねるとか見ちゃだめだよみんな(笑)」

モカ「2ちゃんねるはマーケティングとして参考にしてるよ。みんな正直な意見書いてくれるし。最初にプロパガンダのスレッド立てたのはわたし」

さつき「え、何で!?」

モカ「意見とか聞きたいじゃない? 早かれ遅かれ立つんだし」

●お互いの人物像

さつき「モカさんは集中力があって、一つのことを突き通すのが得意なのがいいなって思う。欠点は基本的に不真面目で人に冷たいところ(笑)」

モカ「いじわるはしないよ。興味がないだけ」

さつき「あとは良くも悪くもエキセントリックなんだよね」

モカ「刺激が欲しいの(笑)」

さつき「ここで言えないこととかしちゃうよね。去年の10月とか」

モカ「なんでも言えるよ。12階から飛び降りた! 怖いから助走をつけて飛んだら、車のボンネットがクッションになって生きてた! 左腕とか背中を複雑骨折して2ヶ月車椅子だったんだけど、回復力が異常にあって、今はちょっと後遺症はあるけど元気」

さつき「わたしのいいところって?」

モカ「面倒見がいいよね。最先端ガールズ(女装地下アイドル)とか、レッスンにいつも付き合ったりして………」

さつき「打ち合わせしたじゃん!『継続力がある』!」

モカ「そうそう! 継続力がある。悪いところは、おっちょこちょい。あと行き当たりばったり」

さつき「人生なんてね、行き当たりばったりなのよ。みんな10年前想像してみて? 10年前想像したようになれてる? わたしは10年前に今の自分が女性の格好して人前に出て喋ってるなんて、ただの一度も思わなかった。そんな時代じゃなかったし、女の子の格好して外に出られるなんて思ってなかった。ホルモン治療をして13〜14年くらいなんだけど、10年前の自分は家に引きこもって外に出ずに気持ち悪い感じの生き方をして一生を終えるんだと思ってた。人生ってあまり計画通りにいかないよね。だからもう、行き当たりばったりになるよ! 良くも悪くも。日々目の前にあることを一生懸命こなしていけば、まあ悪い方向にはいかないかな」

モカ「すごい壮大な言い訳だよね(笑)。わたしが言ったのは2週間後とかの計画っていう話」

さつき「ああ、それは反省します(笑)。わたしたち二人はさ、正反対なんだよね。わたしはゆっくりで」

モカ「わたしはせっかち」

さつき「わたしはやさしい」

モカ「ちょっと!(笑)」

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深夜2時45分から始まったおよそ1時間のトークショーでは、主催の2人の言葉からそれぞれの人生観が垣間見えました。様々な思いがありながら、一つの理念のもとに活動を続けたからこそ言える重みがあり、言葉の端々に自立した女性としての矜持を感じました。

この2人が日本の新たな女装文化の屋台骨を作り、アングラからポップカルチャーへ社会的地位を押し上げていく役目を果たしたのは間違いないでしょう。8年を超える期間をかけて、女装とトランスジェンダーを社会に開かれた存在になしえたことや、多くの人の人生をポジティブに変えたことを、わたしは心から尊敬します。

女装ニューハーフイベント「プロパガンダ」は、女装、ニューハーフ、性同一性障害の社会へのプロパガンダという役目を果たし、長い歴史の幕引きを迎えました。今後しばらくは様々なイベントが雨後の筍のように林立し、そして新しい流れができていくことでしょう。

文化を作るのはイベントでもありますが、その主役は間違いなく参加者一人一人です。どんな世の中になってほしいか、何を伝えていきたいか、それをいつも胸に、前を見て歩みを進めていきたいですね。

個人的な話になりますが、モカさんはTwitter上で生きづらい心中を吐露することがしばしばありましたが、今回のトークショー中、12階から飛び降りたあとの心境についてモカさんがこぼした言葉が印象的でした。

「生きることは楽しい。気分が変わるんだよ。今は仕事が楽しい」

 


取材協力:女装&ニューハーフイベント「プロパガンダ」
写真撮影:Baku (https://twitter.com/BakuHou)

【告知】
3月27日  さつきさん BSスカパー「プリティ・ウーMEN」出演
http://www.bs-sptv.com/prettywo-men/

4月1日 バー「女の子クラブ」御徒町店オープン
http://girls-club.jp

4月9日 女装&純女オンリー「カマレズないと」@新宿2丁目ArcH
http://kamarezu.uni-web.jp

 

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