Vol.22 解散を決めた全員男性のガールズバンド「美女♂MEN Z」インタビュー

皆さんは覚えているはずです、スケバン恐子というキャラクターで大ブレイクした桜塚やっくんを。

彼は2010年、TBS系音楽番組「Music Birth」の企画の中で全員が男でありながら「ガールズバンド」を名乗る異色のバンド、のちの「美女♂MEN Z」を結成します。

以降、精力的な活動を続けていましたが2013年の10月、交通事故によりその活動は絶たれ、メンバーが遺志を継いでバンド活動を行っていました。国内外で活躍した「美女♂MEN Z」ですが、2016年3月22日、6年間の活動に終止符が打たれることが発表されました。

全員女装でありつつ本格的なサウンドと力強いステージングを行ってきたこのバンドの解散の裏にどのような思いがあるのか、メンバーの皆さんにお話を伺ってきました。

●解散の真相とは?
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写真左から 透ch(シンセサイザー)、伊織(ベース)、如月なつき(ギター)、翼(ボーカル)。

たちばなさん:それにしても、皆さん……カワイイ!美女♂MEN Zさんは、衣装もセンスも素晴らしいと思います。その上で、お客さんをしっかりノセるパフォーマンスもしていますよね。オーディエンスをしっかり掴む力があって、女の子を中心にファンがあれだけいてなぜ今解散なのでしょうか?

透ch:女装を極めるだけではダメっていうのがあったのですが、うちらがライブでやっていたことっていうのは女装ではなかったというか……ライブで盛り上げようって自分たちが経験したことを活かそうとした結果普通のバンドマンが女装しただけになってるんですよね。私きれいでしょって言いたくて女装しているのではなくてこの世界観を作るために女装していたのが女の子にも受け入れられていたのかな、と思います。

:そういう女装なんですよね。(僕たちは)ゲイではないから、衣装の一部としての(女装)みたいなのはあるかもしれない。

なつき:最初、美女♂MEN Zのコンセプトは、もっと普通の女装寄りだったんですよ。私服の。そこはやっくんと話してもっと世界観重視のものにどんどんなっていきました。

:かつ、アーティストとファンが楽しむ、みたいなバンドを目指していました。

なつき:もともとやっくんがお客さんいじりがうまかったんですよ。そういうのに長けていたので、それに合わせた曲も増えていきました。

透ch:世界観といっても、「女装した私きれいでしょ」が見えては趣味で女装をしている人と一緒になってしまうので気をつけてました。

伊織殿:解散の話自体は結構前から進んでいました。みんなずっと一緒にいるからケンカとかもしますけど、それぞれがもともとやっていたことがあったしもう少し自分のやりたいことを見直したときにもしかしたら別々にやった方がいいのかな、と。

なつき:可能性を探すための解散だと。で、みんな翼が嫌い……。

一同:(笑)

たちばなさん:こんなジョークが通用するくらいだからめちゃくちゃ仲いいじゃないですか!(笑)

透ch:もともとやっくんの頭の中で始まったものだからそれを他人が映し出していくのは無理があったんですよね。いろいろ考えたり、自分らは自分らでやっくんのビジョンを伝えようと美女♂MEN Zを応援してくれるファンに対して活動してきたけどまとめていくのは大変でした。

たちばなさん:そうすると、桜塚さんが亡くなった後もずっと彼のやりたかったことを引き継いでいたんですね。

透ch:思いは引き継いだんだけど人の思いを具現化していくのは難しいっていうのがあったので自分たちに恥ずかしくないようになんとかいろいろ試行錯誤はしていました。

伊織殿:でも、色は変わったよな。

一同:うん。

透ch:当時思っていたことをそのままやっていたのではなくいろいろ自分たちが上にいく上で試行錯誤したりとか。亡くなってからもやっくんの知り合いの方からいろんな話を聞くので自分たちが別のことをしたいと思っても少なからず影響を受けてしまうのはありました。

たちばなさん:そもそもの始まりがやっくんのバンドでしたものね。

なつき:自分を見つめ直して、新しい道を探すための解散というか…そんな感じもあります。

たちばなさん:くくりとしては、ビジュアル系になるんでしょうか? 前に見たライブでは、若い女性が多かったのでそう感じたのですが。

なつき:やっくんは「美女アル系」って言ってました。

伊織殿:ただのダジャレですね。

透ch:でも結構老若男女いらっしゃって、幼女までいる。

:僕たちがわりと(お客さんの心を)掴んだって思う時、ライブハウスよりショッピングモールとかのほうなんですよ。インパクトでは全然つかみやすい。

伊織殿:小さい子供や、「目エ見えへんのや」っていうおじいさんまで!

たちばなさん:見た目も結構重要なバンドに!

一同:すごいありがたいよね。

●女装の文脈で語る「美女♂MEN Z」
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たちばなさん:そういえば、さっき男の娘文化が終わった理由に気づいたと雑談の中で出ていましたが。

透ch:これ、三代目女装の山田屋さん(※女装用品通販サイトの代表)がぽろっとこぼしていて自分の中ですごく腑に落ちた話なんですけど。女装をしている人って、女装をしている自分自身が好きなんですよ。女装をしているすごい人が出てもなんとも思わないんです。女装をしてかわいいだけだと需要がない!

:それは実証できてる、女装のファンがすごく少ないから。美女♂MEN Zのファンは女性ばかりなので。多分、元が男っていうのが前提にあるから。

たちばなさん:最初、ライブを見に行く前は女装のファンがいるのかなって思ってたんですよ。美女♂MENの皆さんを見て「こうなりたい」っていう憧れを持っている人が。でも、実際見に行ってみたら全然違って、女性ばかりでびっくりしました。

なつき:結局はライブにくる層と違うんですよね。(女装の方からも)Twitter上で応援してますみたいなコメントはもらうけど。

透ch:恋はしないってことですよね。

伊織殿:そう考えたらその話はそうやな。

透ch:山田屋さんが言うのは、「結局みんな自分がカワイイと思われたいだけっすよ!まあ自分もそうっすけどね!」って。

一同:(笑)

透ch:あ、それでそういうことか!と。女装を流行らせたりとか人を与えるには女装を使って新しいことをしなければならないんです。女装を極めるだけではゴールがないんだな、と。

たちばなさん:女装を目的とするのではなく、女装をツールとして活用しないと届かない、と。

伊織殿:俺ら女装のプラスαにバンドっていうものがあるやんな。一人で女装して歩いてもキッショって思われるところはあるかもだけど俺ら四人で集まった時のインパクトって半端ないよな。

透ch:いや、あいつらキショってなるだけだよ。(笑)

一同 :(笑)

伊織殿:でも、人だかりができるやろ?何かあるって思わせるんやろなって感じはあるよな。

:毎回ハロウィンなんですよね。

伊織殿:フライヤー配ってるだけでも人集まってくるんだから、やっぱりインパクトはある。

たちばなさん:バンドとしてまとまった人数がいるっていうのはやっぱり強いと思いますよ。そしてみんなカワイイっていうのはすごい!

●海外での活動について
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たちばなさん:女装と美女アル系というコンセプトは今なら海外でウケるんじゃないかと思いましたが実は2014年にすでにパリや台灣などで海外遠征をしているんですよね。

透ch:当時ついていたマネージャーさんが海外に強い方で、海外を攻めようってなっていたんですよね。事故があって当時のマネージャーが亡くなってしまい、海外の話もたち消えに。それから今は残念ながら海外の部分をサポートしてくれる方がいないのですが。

たちばなさん:日本の女装やヴィジュアル系はアジアやヨーロッパのコアな人に熱狂的に受け入れられているので、美女♂MENZさんの解散は勿体無いと感じてしまいます。

透ch:ウケている度合いと実際にかかる予算が違うんですよね。イベントに呼んでもらってもメンバー全員の経費とギャラがでることはなくて。

たちばなさん:厳しいのはわかります……でも勿体無い! 今までで一番思い出深いのは、やはり海外遠征ですか?

:台湾でのライブですね。言葉の壁が……。

伊織殿:それうちらだから! そっちは繋がってたけど!(笑)
(※透chは台湾出身)

:俺ら「盛り上がったらこの言葉を言え」ってだけ教えられて透chが何をお客さんに向けて煽ってるのかわからなかった。透chが「ワーワワー」って言って、俺たちも「ワーワワー」って(笑)しかできなかったよね

たちばなさん:お客さんが盛り上がりやすいように、バックスクリーンに中国語の歌詞をだしていたのが印象的でした。

透ch:僕一人だけが話せてもバンドだから意味がないんですよね。バンド全体を好きになってもらうには、言葉の壁をなくす必要がありました。ライブ中振返ってもメンバーみんなポカーンとしてたりもあったけど。(笑)

:でも現地の子は日本語の歌詞で口ずさんでくれて、歌が海を渡ってるんだなって実感があった。確か台湾に行ったのは9月で、僕はその時バンドに加入してまだ1ヶ月で。3人とも仲良くなりきれていないみたいな中でバンドの偉大さみたいなのは感じました。すげえな〜、曲知ってんだ外人が、くらいだったんですけど。

●来月の解散ライブへ向けて
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たちばなさん:では、解散ライブへ向けて意気込みをお一人ずつお願いします。

:やっぱり、赤坂ブリッツの追悼を超えたいです。あとはパリのTokyoCrazyKawaiiはお客さんの熱量がすごかったので2つの盛り上がりを超えていきたいです。僕はやっくんが作ったバンドにやっくんがいなくなってから入った人間なので、ちょっと内容に触れちゃうけど、僕がいなかった美女♂MENZも当日僕の目で見たいと思っています。ファンの方々と一緒に走り続けてきた6年間をたった1日でできる限り再現しようと思っているので余すことなく感じてほしいです。

伊織殿:やっくんが亡くなって3人になったときはまだ(オリジナルの)ファンはいらしたんですね。翼が加入した途端にがらりとファン層が変わったんですね。やっくんがいての美女♂MENが好きだったファンから今のメンバーが好きというファンに入れ替わりました。解散ライブのタイトルは「6年の軌跡」っていうんですけど6年間やっくんとやってきた間、やっくんがいた時期、やっくんがいなくなって3人だけの時期、翼が入って4人になった時期。この3つを物語として忠実にライブとして再現できたらと思っています。当日はやっくんと繋がりのあった関係者の皆さんやゲストさんも含め、みんなで盛大にラストライブを終わらせてみせます。最後くらいは翼がいての美女♂MEN Zのステージを昔のファンにも見届けてほしいです。全員が集まって最後を迎える絵にしたい。

なつき:6年間やってきた成長の全てをステージで出していけたらいいと思っています。やっくんにもマネージャーにも向けていいライブにするためにメンバー一同頑張ります。(以前ファンだった方にも)翼が入った美女♂MEN Zを観にぜひお越しいただきたいです。

透ch:僕は6年間の美女♂MEN Zでのバンド活動を通して、バンド活動でできないことのほうが少なくなるくらい勉強させてもらってきました。いろんなことをやっくんに負けたくない根性でやってきました。最後は勝つんで、勝つとこ見に来てください!

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美女♂men Last Stage〜六年の軌跡〜
日時:2016年5月21日(土) OPEN15:00 / START16:00(ロビー開放14:00)
会場:渋谷club asia
価格:前売4000/当日4500
主催:美女♂men事務局
出演:美女♂men

【チケット詳細】
■プレイガイド
・イープラス
購入ページはこちら(パソコン/スマートフォン/携帯共通)

【一般発売日】
2016/4/23(土)〜

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