第5回 ちんこの生えた女の子を求めて

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男性と女性を分ける記号とは何でしょうか。大島薫です。

例えば髪が長いから女性であるとか、筋肉質だから男性だというのも記号としては正解なのかもしれません。近年ファッションも多様化してきて、必ずしも「スカートを履いているから女性だ」とは言い切れない時代になってきました。かくいうボクも女物を身に纏いながら性別を訊ねられれば「男性です」と答える人種です。

ところで、性的趣向性自認は別問題というのは言わずもがなですが、ボクの性趣向となると一言でいえばパンセクシャルです。過去にニューハーフ(ホルモン投与・豊胸・未去勢)の方とお付き合いしていた経験もあり、我ながら結構ややこしい人間だなぁと苦笑するばかり。今日はそんなボクの性癖のようなそんなお話。

|ちんこの生えた子が好き
結構あちこちのコラムやらインタビューやらで書いていることですが、ボクが女装を始めたきっかけはアニメや漫画の男の娘キャラでした。それもボクがなりたいというわけではまったくなく、そういう子とえっちがしてみたいというトラニーチェイサーとしての視点からです。

それがなぜこうなってしまったのかは自分でもよくわかりませんが(笑)、要するに現実にあまりそういう子がいない時代だったので、自分がなってしまおうと考えたというのがいまこうなっている一つの要因です。「男の娘」や「女装男子」、「ニューハーフ」、「ふたなり」……と、一般の方や興味のない方からすると一緒のような違うようなこのジャンル。今日はその一つ一つを解説しつつ、その魅力に迫ってみましょう。

男の娘

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©椿サク/BOYS FAN

第4回のコラム少し触れましたが、男の娘という言葉の定義といわれるとこれが非常に曖昧で説明の難しいところです。ひとまずここは女装男子と区別するべく「男性の格好をしていても女の子のようにしか見えない美少年」を指す言葉として話を進めます。

つまり、この場合本人としては≪女性≫であるという認識はおろか≪女装≫という意識もないということです。そうなると一人称としては「僕」や「俺」が妥当だということがわかってきます。そういったかわいい子が自分のかわいさに気付いていない無邪気さも男の娘の魅力の一つでしょう。

仮にあなたをノンケの男性だとして、身近にそういった男の娘的な男友だちがいたとするとどうでしょう。向こうはあなたをただの男友だちだと思って接しているので、気軽に部屋で2人っきりになったり、スキンシップをとろうとしてきます。しかし、あなたからすると男性だとわかっていても女の子にしか見えないわけですから、条件反射的に異性として意識してしまったりするわけです。

ましてや何かの間違いでそういう空気にでもなってみましょう。あなたの中で「こいつは男なのに……俺はホモなのか!?」という戸惑いと背徳感が襲ってくるはずです。そのホモであってホモでないという感覚こそが男の娘の醍醐味かもしれませんね。ニーチェよろしく「男の娘をのぞく時、男の娘もまたこちらをのぞいているのだ」というわけです。

女装男子
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©新多奏日/BOYS FAN

男の娘を「男性の格好をしていても女の子のようにしか見えない美少年」と定義付けたので、ここでは女装男子は自らの意志で女性の格好をいている男性として考えてみましょう。最近トランスセクシャル界隈で徐々に常識になりつつあるものとして「MtFの方に対して女装と呼ぶのはやめよう」というものがあります。一般の方からするとこれもなかなか理解されないところですが、要するに彼女らは女性(精神的)で女性の服を着ることは当たり前のことだから女装ではないということですね。これは周りが騒いでいるというよりかは、MtF当事者の方々がそう呼ばれることに憤りを感じるケースも多々あったため、認知され始めた考え方といえるでしょう。

ですので、女装男子はMtFとも違うとします。つまるところ、彼らからすれば男性である意識はあるわけです。男性なのに女性の服を着たい。オートガイネフィリア(自己女性化愛好症)との区別が付きにくいですが、女性の格好をしているけれども女性として認識されたいというわけではないという点で少し異なるかなというのがボクの見解です。

以前、他社様のコラムで「この世から女装男子を消す方法」という内容についてコラムを寄稿させていただいたことがあります。ざっと簡単にまとめていえば要はこの世に男は男物を着、女は女物を着るという前提があるからこそ≪女装≫という言葉は成立するというような内容です。例えば世界に男物・女物という概念がなくなれば≪女装≫という言葉時代が破たんしてしまいますからね。そう考えると女装男子というのは究極の男女二元論者なのかもしれません。(「男なのにかわいい」という言葉の裏には「本来男は醜いはずだ」という前提が隠れています。男性だけど女性のように綺麗になりたい。かわいいと思ってもらいたい。女装男子の魅力というのはそのあざとさにこそあります。

「男なのにお前……俺見て興奮してんの?(笑)」なんて嘲笑いながら言い寄ってくる女装男子に、悔しいけれども勃起が収まらない……! 男役側の視点からすれば、男の娘が「あんなにかわいいんだから興奮しても俺はホモじゃない!」という背徳感とのせめぎ合いの快楽であることに対して、女装男子は「もう俺、ホモでいいや!」と達観し、その背徳感に足のつま先から頭のてっぺんまでズブズブに浸かってしまう快感といえるのではないでしょうか。

ニューハーフ
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©十はやみ/フューチャーコミックス

ニューハーフという言葉はかなり俗っぽくてあまりこちらのサイトでは適さないかもしれませんが、まあ、あくまでこれはそういった方を好きな人側の視点ですのでご容赦いただきたい。ちなみにWikipediaで「ニューハーフ」と検索すると以下のように説明されています。

引用:ニューハーフ(和製英語: new-half、英: transgender)とは、男性として生を受けた者が人為的に女性として生きたり、そうした風貌をして、かつそのことを公にして水商売や風俗店に従事する者の呼び名であり、現代日本における造語である。

仮にこれを正しいとすると、オカマバーなどで、普段は男性の方がお店でだけ女装をして働いていてもニューハーフということになります。こういった方を(職業オカマと呼んだりもしますね。ですので、ここでは女装男子と分けて考えるため、生物学上男性ではあるが性自認は女性であり、女性化に向けて何らかの行動をとっている人ということにしましょうか。MtFがやはり一番しっくりきますね(苦笑)。ただまあ、最近は必ずしも性別適合手術までを目標にしている人ばかりではないので、そういった方は含まないものとして考えていきます。

ニューハーフヘルスなどにハマる男性というのは色々なパターンがあります。最近はノンケ男性の間でもアナル開発をする方が増えてきて、(本物のおちんちんを挿れてみたいけど屈強な男に掘られるのはイヤだ! そうだ、ニューハーフヘルスに行こう!という発想で足を踏み入れる男性も多いのだとか。もしくはただただ性癖として女性的な見た目に男性器が付いているギャップが好きという方や、知人のニューハーフ好きの男性だと「背の高い女性が好きすぎてニューハーフにたどり着いた」というちょっと変わったパターンの方もいます。ただニューハーフさんと付き合っていたボクとしては、いまは少し彼女らへの見方が変わってきました。

以前そのニューハーフの彼女とセックスをしたときのことです。ボクは割と前戯に時間をかけるタイプなのですが、そのときも普通に女性とセックスをするような感覚でキスをして乳首を舐めてとよくある愛撫をしていました。そうして下に下がっていくうちにごく自然に彼女のペニスを口に含もうとしたんですが、止められました。彼女のほうを見ると「そこは……触って欲しくない」と、恥ずかしさと悲しみの入り混じったような顔で呟くように言います。彼女にとってそこにあるのは本来望むべき≪モノ≫ではなく、それを使って快楽を得るという行為自体屈辱以外の何物でもなかったのです。

振り返ってみれば彼女はボクの前で一度も足を崩したことがありませんでした。部屋にいるときくらい楽にすればいいのにと思い、そう告げると「女の子だから……」というのです。ボクも一般的な女性の彼女がいた時期もありましたから、別に女の子でもあぐらとかかくのになと不思議に思ったものです。しかし、それら全ては彼女らが≪本来の女性≫というよりかは≪概念としての女性≫を追い求めているということではないでしょうか。女性でありたいというその強い意志に突き動かされ、自らの身体を変えていく。その危うげな儚さのようなものが彼女らの最大の魅力だというようにいまは感じています。

というような話をしたら、最近仕事関係でお世話になったMtFの方から「あぐらをかくと高確率で『やっぱり男なんだね』とかいう奴がいるのが腹立たしいから女ぶってるのよ!」という厳しいお言葉をいただきました。自分も似たようなことをいわれた経験があるので、「それもそれでわかるなあ」と思わず苦笑したものです。ボクの場合は女装男子に近いので「だって男だから当たり前じゃん」と思うのですが、彼女らにとっては屈辱的な一言でしょう。そういったことがもしかすると本来女装男子とMtFを決定的に分けつ違いなのかもしれません。

ふたなり
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©十はやみ/フューチャーコミックス

ニューハーフに続き、ふたなりとはさらに俗っぽい言葉ですが、好きなんだからしょうがないじゃん!(笑)。こういった世界に詳しい方からすると「ふたなりってなんだよ! 両性具有っていえよ!」という意見と、「おいおい、まさか両性具有をふたなりとか言うつもりじゃないよな……?」という真逆の意見が頭に浮かんでいることと思います。ちなみにボクの言っているのは創作物のジャンルのほうのふたなりです。

創作物におけるふたなりと現実の両性具有(半陰陽)は、男性と女性の特徴を兼ね備えているという意味では同じですが、その実態は全く異なっています。ふたなりを扱った作品などを見ると、その多くが女性の身体に男性器と女性器の両方が完全な状態で存在していて、どちらでも性行為ができるように描かれるのが一般的です。しかし、実際に男性器と女性器を併せ持つ半陰陽の方の多くは、どちらかが不完全な状態であったり、見た目もどっちつかずで中性的な場合がほとんどです。ですからイラストなどでよく見る爆乳に巨根のふたなりっ娘はフィクションというわけですね。

ふたなりの魅力というのは、ズバリわかりやすさです。おっぱいもま〇こもちんこもあったら最高じゃん! という全部乗せ感。エビフライハンバーグ寿司バーガーとでもいうような性的な物の詰め合わせは、普通のエロに飽きた人々の胸と股間をそれはそれは熱く滾らせました。そして、特にそのわかりやすさは視覚にこそ訴えかけてきます。

男性が女性とセックスをする際、本当にその女性が感じているかを男性が知るのは非常に困難です。筋肉のこわばり、痙攣、汗の出方などつぶさに観察すればわかってくることですが、それも確実ではない。ふたなりはそこにちんこを生やすことで女性の興奮の度合いを一目瞭然にしているわけですね。「お前さっきイけた?」「うん、イッたよ」「本当に?」なんてお決まりのピロートークも必要ありません。ふたなりっ娘が射精してればイッてるし、射精してなければイケてない。これほどわかりやすいものもないのではないでしょうか。自分と同じものが付いているだけに男性も責めやすいし、その快楽を共有しやすい。そういうミラーニューロンで感じる共感のしやすさは、ちんこの生えた女の子でしか味わえませんね。

ところで、ボクはよく2ちゃんねるに名前を書き込まれるんですが、あるとき偶然「大島薫はフリーメーソンじゃないかと思う」で始まる怪文章のような長文レスを見かけました。苦笑しながらも面白いので読み続けてみると、意外にこれが的を得た内容で、その中でも一番目を引いたのは「大島薫は女装男子とかニューハーフとか実は全然興味なくて、本当に好きなのはふたなり。法的、医学的に可能なら迷わず自分自身ふたなりになっていたはず」という文章でした。そういわれてみると、たしかにボクは男の娘系の漫画にハマる前はふたなりの二次絵ばかり見ていた記憶があります。乳首にピアスを開けたのも、じんじんさんという同人作家さんのふたなりイラストを見たことがきっかけでした。ボクが女装を何年も続けてきて、女性ホルモンに一度も手を出さなかったのもひとえに勃起力が落ちることがイヤだったというその一点に尽きるので、もしそれを維持したまま女体化できる方法があれば迷わず実行していたかもしれませんね(笑)。

男装女子
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©だいごろう/乙女チック

ちんこ生えてないじゃん!というツッコミが聞こえてきそうですが、ボクはもはやこの段階に来ているんだと主張したいので書いてみることにしました。たしかにふたなりや男の娘に目覚めたころのボクは、多くのトラニーチェイサーと同じく「ちんこが生えてなきゃ意味ないんだよ! ちんこちんこちんこぉぉぉおおお!!」と目を血走らせて主張していたのですが、最近になってこのジャンルは精神性にこそ意味があると考えるようになってきたのです。

ボクは女装男子モノのAVをよく観るのですが、結構最近まで女装男子のフェラシーンが大嫌いでした。「こっちは女装男子のちんこが観たいのに、フェラとかどうやっても顔のアップでちんこ映らねぇじゃん」と思っていたんですね。しかし、近頃フェラシーンでその子のちんこが見えるようになってきたのです(幻覚ではない)。もう少し詳しく言うと、つまりこの子は男であるとボクは知っているという事実が重要だということです。例えば女の子の写真を一枚見せられたとして、その場では「あんまりかわいくない子だなぁ……」と思ったとします。しかし、そのあとすぐにその子が実は男の子であるという事実を知らされると「うぉぉおお!! すっげーかわいい!」と感じるでしょう。例えちんこを見ていなくても、そのちんこを想像して我々は萌えることができるのです。ボクはこれを男の娘補正と呼んでいます。

男装女子も同じことで、特にその精神が男性として完成されているほど意味を持ちます。例えば幼くして両親から男として育てられてきた少女が、なぜか男性とSEXをすればそれはNL(ノーマルラブ)ではなく、BL(ボーイズラブ)なのです。ボクらが求めているちんこというのは、実のところ実際のちんこではなく、心のちんこ(ここちん)なのではないでしょうか。

ちなみに同じ理由で女体化モノも大好物なのですが、もはやコラムが終わらなくなるので、ちんこの生えた女の子の説明はここまでにしたいと思います。あとAVで男装モノなのにドラマパートだけ男口調で、カラミが始まると普通にあんあん喘ぎだす作品は糞くらえです。

性癖はエゴ
そういえばボクはモブおじさんが「おやおや〜? キミは女の子なのになんで≪こんなもの≫が付いているのかな〜?」といって男の娘を言葉攻めするシュチュエーションが大好きなのですが、ヌいた後ふと冷静な頭で考えてみるとこの責められている男の娘が性別違和を抱えているタイプだった場合、この言葉攻めは何も嬉しくないだろうなと感じてしまうのです。

MtFの知人にこんなことを言う方がいました。

「アタシは絶対にニューハーフ好きの男とは付き合わない!」

性別違和を抱える方の中でこういった人は珍しくありません。ニューハーフが好きな男性というのは、そのほとんどが(おちんちんがある状態のニューハーフが好きな方々です。要するに後に性別適合手術を目指す彼女らからすれば「あなたが愛しているのはアタシじゃなくて、おちんちんじゃない!」と感じてしまうわけですね。まったくもって正論ですし、事実ニューハーフ好きの男性と付き合ったMtFの方で彼氏から「おちんちんだけ残して欲しい……」と言われて傷付いたという話もよく聞きます。

ボクだって仮に女性好きの男性と付き合ったとして、その人に「手術して女性になってよ」と言われれば絶対にイヤだと答えると思います。性癖とは総じてエゴです。しかし、我々はそのエゴを止めることができません。例えばぽっちゃり好きの男性が痩せている奥さんに太ってよと懇願したり、普段ホゲ倒しているゲイがSEXのときだけやたらとオラオラ口調になったり……。

ボクは普段からSEXとは世界観の対話だと考えています。ノンケとゲイが互いの好みを分かり合えないのと同じで、熟女好きはロリの魅力がわからないし、ロリコンは熟女の魅力がわかりません。彼の世界で最高のものは、別の彼の世界では何の価値も持たない。そういう自分の世界を認めてもらえたときに、人は本当の意味で誰かを愛することができるのではないでしょうか。ボクら人間はSEXで喜悦の声を上げながら、ひたすら孤独に「認められたい」と叫んでいるのかもしれません。

 2016/05/20 13:15    Comment  コラム           1    
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