第146回 新しい家族のかたちについて考えるきっかけに

私たちの最新刊『女どうしで子どもを産むことにしました』(KADOKAWA、4月刊行)が好評発売中です!
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東京レインボーウィーク期間中に開催された、紀伊國屋書店さんのLGBTブックフェアにも置いていただきました。
この本は2014年に発売した『レズビアン的結婚生活』の続編にあたるコミックエッセイで、今回も同じ漫画家さん、すぎやまえみこさんとライターの早川ひろみさんとのチームで製作させていただきました。
この本は、レズビアンカップルである私たちが「子どもを持ちたい」と奮闘する様子を、コミックエッセイという形でわかりやすく表現したものです。読みどころはなんといっても、「精子提供者を探す旅」ではないかと思っています。
・精子バンクを使うの?
・そもそも日本で精子提供って受けられるの?
・生まれてきた子どもには、なんて説明したらいいの???
私たちの約2年半にわたる精子提供者を探す旅、そして妊活の具体的なエピソードが満載です。一部お見せすると、こんな感じです。
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そして、実用書としてもお読みいただけるくらい、妊活に関するコラムを充実させました。
「知っておきたい妊活のはなし」として、各章の終りに以下のコラムを掲載しています。
・妊娠力セルフケア!
・同性カップルが子どもを持つ方法
・にっぽん女性の「産みどき」
・不妊治療ってどうやるの?
レズビアンで、またシングルで子育てしたいと考えている女性に、ぜひ参考にしていただきたい一冊に仕上がっっています。
私が子どもを産みたいと思うことには、理由はありません。異性愛者で結婚した人は、なぜ子どもを産むのでしょう?
私たちは3年前に結婚式を挙げ、その前後から子どもを持つことについて具体的に話し合うようになっていきました。ひろこさんも私も、20代の頃から漠然と子どもを持つことについて考えていた二人でした。もともと子どもを育てたかった二人がパートナーになり、ありがたいことに、周囲には先輩レズビアンマザーたちの子育てをする姿が身近な存在としてありました。それで自然に私たちも「子どもを含めた家族になりたいね!」と話し合うようになったのです。
「子どもを産みたい」という気持ちについて、正しい答えを持っている人はどのくらいいるでしょう? 私たちも、女同士ですが、異性のカップルとそう変わらない気持ちで子どもがほしいと思うようになったのです。あとは、妊娠に至る方法や、社会の状況が少し異なるだけです。ちなみに「同性カップルに育てられた子どもの幸福度は、異性カップルに育てられた子どもより高い」という海外の調査結果もあります(参考記事)。
もちろん、産まない選択をする方も、産めない方もいらっしゃいます。
産む/産まない/産めないにはそれぞれのドラマがあり、誰にとっても非常にデリケートな問題です。妊活を始めてから、それを実感するようになりました。もし何気なく「赤ちゃんは?」「早く子ども産んだほうがいいよ!」などの声をかけることがある方は、目の前のその人が、流産したばかりかもしれないとか、中絶した経験があるかもしれないとか、不妊治療中かもしれない…などの配慮をお願いしたいものです。妊娠・出産に関してひそかに悩み、傷ついている女性は、意外と多いものです。
・同性愛者が子どもを持つのはエゴ?
・子どもがかわいそう?
私たちが子どもがほしいという話をすると、必ずと言っていいほど、このような戸惑いの声が聞こえてきます。これらの反応は、以前ほかでもない私自身が抱えていたものです。子どもが学校でいじめられるんじゃないか…? 私もずっとそんな不安の中にいました。(くわしくは既刊『ふたりのママから、きみたちへ』をお読みください。)
しかし、あるとき、ダブルルーツ(いわゆるハーフ)の友だちが「私は親が日本人ではないことで、大変なこともあったけれど、今では親に感謝しているし、生まれてきてよかったと思っている」と話してくれました。
また、子育てをしているゲイカップルについての新聞記事中に、「人種差別があるから黒人に子どもを産むなと言いますか?」という一文を見つけました。私は、自分の心の中にあった差別意識に気がつきました。どんな人も、どんな家族の形も変わらないはずだと思っているのに、私自身がマイノリティである私を受け入れられていなかったのです。根強い偏見や差別がある中で、大丈夫なのだろうか?という不安から、「同性愛者が子どもを持つのはエゴだ!」「子どもがかわいそう」などの批判の声に傷ついていたのでした。
今ならはっきりわかります。「同性カップルの子どもはかわいそうだ」と決めつけること自体が、何よりその意識が、すでに日本でも増えつつある同性カップルの家族を傷つけるものなんだと。誰かが何らかのマイノリティであることを理由にして、「あなたは子どもを持ってはいけない」などと言うことは、間違っています。
社会的なマイノリティが子育てをしていくのは、実際問題大変なことだと思います。そうでなくても子育てしにくい国なのですから…。
それでも、子どもがかわいそうかどうかは、親の性別やマイノリティ性、生まれ方などではなく、自分の存在そのものを受けとめてくれる親の元に育ったかどうかにつきると私は思います。これは両親に虐待されて育った私の実感でもあるのです。

新刊の発売を記念して、社会学者の上野千鶴子さんと対談させていただきました。(対談というより、上野千鶴子さんに色々なことを講義していただいているような、ありがたい内容なのですが……)

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【「産む」をめぐる上野千鶴子さんとの鼎談(ダ・ヴィンチニュース)】
こちらの記事もおかげさまで大好評で、とてもたくさんの方にお読みいただいています。ありがとうございます!
2年ぶりに対談させていただきましたが、相変わらず素敵な方で、1970年代からのウーマン・リブの歴史を踏まえての、家族や「女性の産む」ことについての洞察にはうなるものがあり、こんなに素晴らしい先人とお話しさせていただき光栄の一言につきます。
女性の産む/産まないを含めた生き方がもっと多様に、そしてもっと自由になっていってほしいと心から願っています。私たちの本がそのきっかけになれば、とても嬉しいです。
《新刊情報》
『女どうしで子どもを産むことにしました』(増原裕子、東小雪:KADOKAWA)
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