第14回 ゲイアンテナが働かない……

 

ふとした瞬間に視線がぶつかる。舐めるような目線で見つめ合う二人に言葉なんかいらない。……こんな微笑ましい光景はゲイタウンでは当たり前だが、外国の田舎町では皆無の光景だ。

 

勿論スペイン国内にも新宿二丁目や堂山などと並ぶようなゲイタウンは存在する。特にバルセロナはゲイの隠れ首都と異名があるように、あちらこちらで多くのゲイにレズビアンが生息。流石カタルーニャの至宝は、性の多様性に独自のアイデンティティーを尊重している土地柄である。

 

前置きはさておいて、あなたは街中ですれ違うもしくは隣のテーブルの素敵な男性がゲイかどうか見分ける自信はありますか?私の場合新宿二丁目で働き、クマ系のボーダーシャツ、色黒でタンクトップを着こなす定番ゲイから、ジャニ系(売り専ボーイ)、小汚い疲れたリーマンゲイなど……etc色んなタイプというよりは、人種を見てきたわけだ。しかしスペインに嫁入りしてからというものの、正直私のゲイアンテナがあまり働かなくなってきた気がする。

 
「あの人絶対ゲイだよね」と思い込んでも、5分後には彼女と思しき女性が颯爽と登場。こんな茶番を幾度となく経験してきた。何故だろう、濃くて、髭生やして、服装も奇抜で、手先の動きも怪しげなのに……ボーダーシャツだけではスペイン人ゲイは見分けられぬが、やはり日本のそれとは全くことなるのが海外ゲイの見分け方なのだ。

 

例えば

 

●声色

 

●雰囲気

 

●髪型やファッション(美意識の高さ)

 

これらの要素である程度、ゲイアンテナが過敏に反応する訳だが、やっぱり一筋縄ではいかないのだ。声の高さは確かにその線の人達の特徴となり得るが、服装、髪型や性格だけではどうしても頑固たる証拠とはなりえない。まあゲイも十人十色、強気で男らしい女子ウケ抜群のゲイもいれば、私のようにか弱くて、小魚も満足に捌けないゲイの代名詞みたいなのもいるからなあ……。

 

私の職場(懲りずに3ヶ月契約延長)にも、多くのスペイン・南米系男女が働いている。超高級レストランが故、スペインでは珍しく給仕も料理人もi phone所有率が高く、学歴は無くとも皆同僚は洗練されている(気がする)。毎度怒られ、呆れられ、落ち込みながら仕事をしている訳だが、やっぱり気になるアイツらの性の嗜好。そこで私は彼らのある種の特徴を見つけ出しては観察してみた。その結果清掃係のオバタリアンを除いて、ほぼ90パーセントがゲイでありそしてレズビアンである統計(自己予想)が出てしまうではないか。しかし実際のところは……

●上司イリス(女)→PINKそっくり、滑舌の悪い喋り方、アンニュイな雰囲気とユルフワ系の服を好む(自分的予想レズビアン)
⇒×(非レズビアン)職場恋愛で、ゲイっぽい男子の彼と同棲中。

●同僚ホセルイス→、短パンにタンクトップ(夏でも、靴下は極限まで上げて履くタイプ)、二の腕に“男”という漢字タトゥー(自分的予想ゲイ)
⇒×(非ゲイ)女好きらしい……

 

●給仕ダヴィ→ナヨ系、平井堅をもっとアッサリハンサムにした感じ、いつもぶつかりそうになる(自分的予想ゲイ)
⇒×(非ゲイ)ルーマニア人の彼女あり

 

はあ、私のゲイアンテナはどこいった……百戦錬磨の私のアンテナは日本国内限定だったのだろうか? まとめてみるとゲイは私一人、そしてレズビアンはキッチンのエリカ(彼女は同性結婚歴5年目)のみだということ。まあ私の性の嗜好は勿論内緒であるが。

 

ゲイの区別が全く付かなくなって意気消沈気味の私だが、最近レストランに訪れた1組みのゲイカップルがそれまた素敵なカップルだった。上等なスーツを着込み、慣れない箸も器用に扱い、腕だけでなく首元などのDetailにも気を配れてる。初夏が近づくと短パン、スニーカーにリュックサックという三種の神器で短い夏を楽しむラテンゲイが多い中、輝くダイヤモンドの原石を2粒程見つけた感じだ。

 

結局のところ私自身が自分の性の嗜好にこだわりすぎる為、どんな人間もゲイ、レズビアンに見えてしまうというループに見舞われた話しだ。世の中には色んなゲイがいる。決してゲイには見えない奴が掘られてヒーヒー言っていたり、貧弱でヒョロヒョロのツイッギーのような男が子持ちだったり。人間とはわからないものだ。

 

先日仲のいい日本人女子とお茶会をした時のこと。

 

女子「この前素敵なゲイの歯医者さんを紹介してもらったの~。すごいカッコよくて、マラガの彼と遠距離恋愛中なんだって。ハンサムで頭がいいだけじゃなくて、首元のオシャレっていうのかな。マフラーのチョイスとかにもセンスがあるの~」

 

えっ、マラガ?(魔羅ではない)そしてマフラー? それって寒くなると首に巻きつけるアレだよね!?

 

そうかわかったぞ、スペイン人ゲイの見分けるポイント。それは服ではなく首元に光るセンスとオサレ! 6月でもグングン気温が上がる北部スペインで颯爽とマフラーを着こなせる男気。これこそがスペイン人ゲイの本質であり、見分けるポイントなのである。(たぶん)

 

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