第48回「愛してる」と相手に伝えるには

 

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「アイ・ラブ・ユー!」

トロントに来てからこのフレーズが頻繁に飛び交うようになった。恋人同士はもちろん、家族の間でもよく使われるし、友達や同僚の間でもカジュアルに言えてしまう。文化的に北米ではそれが当たり前なのだろう。尾崎豊を熱唱しても全然臭くないのだ。どちらかといえば、日本語の「大好き」と響き的に似ているのかもしれない。今では自分も抵抗なく「アイ・ラブ・ユー!」をいろんな人間や動物に連呼している。

「アイ・ラブ・ユーって伝えたのに適当に流された!」

一方で、こんな場面もよくラブコメで見る。愛を確かめ合おうと恋人に「愛してる」と伝えたところ、「愛してる」ではなくて違う言葉が返ってきた。先に「愛してる」と言った方は二人の温度差にショックを受けて、まさか愛されていないんじゃないかという不安に駆られる。こっちの「アイ・ラブ・ユー!」に込められた意味はもっと真剣で、付き合い始めた恋人同士が初めてそれを口にする瞬間は一大イベントとして扱われる。しかし、この重たい「アイ・ラブ・ユー!」はいつまで経ってもしっくり来ない。

愛情表現には照れが付きものだ。「好き」や「愛してる」を他人に対して頻繁に言わない文化で生まれ育った自分にとって、愛情を言葉で表現するのは得意ではない。彼氏の目を見つめて「アイ・ラブ・ユー!」と伝えるなんてとてもじゃないができない。恥ずかしくて笑ってしまう。彼氏に「アイ・ラブ・ユー!」と言われてもきっと動揺して目が泳ぐだろう。苦手なものは苦手なのだから仕方がない。

相手のことを自分の心の中で愛しているだけでは恋愛にならない。それを相手にわかるように伝えないと、愛されているのかわからずに相手は不安になってしまう。その不安が募るほど二人の間にある距離感は広がっていく。愛情表現がないと、愛の炎は燃料を失ってあっという間に消えてしまう。それでは、「アイ・ラブ・ユー!」を笑わずに言えない自分はどうすればいいのだろうか。

初めてのバレンタインデーのデートにバラの花束を彼氏にプレゼントしたらとても嫌な顔をされたのを今でもよく覚えている。恋人への贈り物は花束という常識に流されて、高級な花屋まで行って大奮発した。しかし、それにもかかわらず、全然喜ばれずにがっかりだ。その花束は自分の愛情表現のつもりだったが、彼氏にとってはただの花束にしか見えなかったのだろう。それはコミュニケーションが成り立っていないということである。そして、愛情はうまく伝わらなかった。

先日、ゲーリー・チャップマン著の『愛を伝える5つの方法』を勧められた。この本によると、恋愛表現には言葉、時間、物、行動、接触という5つの方法があって、人によって表現の仕方が違うという。例えば、プレゼントという愛情表現を望まない人にいくら物を使って愛情を伝えようとしても効果は薄いし、言葉を求める人に対して何も言えなければ愛されていないと誤解されてしまう。肝心の本はまだ読んでいないが、無料だった公式ホームページの心理クイズ(#英語よ)を彼氏と一緒にやってみた。

二人のクイズの結果を比べてみると面白いことが判明した。私たちにとって、接触は一番の愛情表現で、逆に二人とも言葉や物を重視しないタイプだった。性格は真逆でも、どうやら愛情の伝え方はとても似ているみたいだ。このクイズがどれだけ当てになるかはわからないが、確かに私たちは朝から夜までハグやキスばかりしている。忙しくてなかなか一緒に時間を過ごせない時も、数分間ぎゅっと抱き合えるだけで安心できる。スキンシップが二人の「アイ・ラブ・ユー!」の代わりなのかもしれない。

「ということは、もうプレゼント交換はやめにしてもいいね」

そう言って、彼氏は意地悪そうに笑った。

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