第50回 恋人と別れるベストなタイミング

 

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「そんな話題はやめようよ」

恋人と別れる未来の話を持ち出すと嫌な顔をされることが多い。破局という言葉を口にするだけでその場の空気が変わってしまうこともある。物事に始まりと終わりがあるという事実は、思春期に浜崎あゆみの歌詞で育った影響で骨の髄まで叩き込まれている。悲しいというよりは、それが当たり前であるという考え方を持つようになった。だから、恋愛がいつか終わりを迎えるという前提でいつも恋をしている。うちにある家具は別れた時にどっちの所有物になるか既に決まっている。

どうやって目の前の恋が終わりを迎えるのかを考えることもよくある。愛が無くなれば恋も自然に消滅する。そんなありきたりな回答じゃ満足できない。愛なんて人によって色も形も違うのに、それが無くなったかどうかなんてそう簡単には判断できない。今までにフラれたことなら山ほどあるが、誰かと一緒に築いてきた恋愛を失った経験はない。今の彼氏と別れないというわけではないが、どうやって人が恋に区切りをつけるのか気になって仕方がないのだ。そんなわけで、いつものように周りの人たちに聞いてみた。

「彼がもう触ってもくれないから……」

肉体的なコンタクトが無くなったことで、友達は15年付き合ったパートナーと別れた。単純にセックスレスというだけではなく、お互いの肉体に魅力を感じなくなったと彼は語った。そんな恋愛を続けていては、どんどん自分自身が醜いと感じるようになる。だから、フレッシュなスタートを切ることを決めたそうだ。

「この恋愛をしていたとき、99%の間は幸せではないから……」

一年間付き合った彼氏と別れた友達は、お互いを知るにつれてどんどん幸せだと感じる時間の割合が減っていったことを話してくれた。どんな恋愛も完璧ではない。どんなにラブラブに見えるカップルでも、見えないところで少し苦い思いをしているはずだ。しかし、苦痛しかない恋愛の中で生きるのは辛い。1%の幸せでは支えにもならなかったのだろう。

「二人の求める恋愛がいつの間にかすれ違うようになったから……」

彼氏と別れようと考えている友達は、なかなか決断を下せないでいた。若い頃は将来のことなんてそんなに考えてなかったから楽しく恋愛できた。ところが、夢を追いかけながらリスクをいとわない彼は恋人との目標の違いに戸惑うようになった。お互いに安定した仕事をして、結婚や子供のことを考えたい恋人はできれば彼に夢をあきらめて欲しいのだろう。そんな根本的な価値観の違いを前にして解決の道を探すのは簡単ではない。

こうして数々の話を聞いていると、恋愛に終止符を打つ理由が一筋縄ではないことがわかった。別にどちらかが悪くなくても、恋愛を終わらせるしかないときもある。別れるタイミングなんて白黒ハッキリしないのだろう。だからみんな自分のものさしで決めるしかない。それが正しい決断だったのかどうかなんて一生わからないこともある。それなら、いっそ最悪な恋人の方があっさり終わることができるのかもしれない。

「大喧嘩の末に別れた次の日、元彼に裸の写真を家族、友人、そして職場の人全員にばら撒かれた人を知ってるよ」

そんなホラーストーリーを聞いて、そんな別れが自分に訪れないことを祈った。今のうちに、彼氏のハードドライブに入っているセクシーな写真たちを削除しておくべきなのかもしれない。

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