第16回 レズビアンと子どもを作る選択肢

 

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待てど暮らせどやってこない朗報。素敵なジョブオファーでも、行きたい学校の入学許可でもない、そう私達が待ち望む“代理母合法”の5文字である。

 

「子宮が欲しい……」

 

ふと呟くヒゲ面の旦那を眺めた昼下がり。立派な体格のスペイン人ゲイが子宮を欲しがる故は、その母性愛の強さが原因か? それとも恵まれない家庭環境か?スペインでは養子縁組をすることは一般的で、白人スペイン人夫妻が中国人の養子やアフリカ系と思われる黒人の子どもと歩いている姿もよく見かける。

 

しかし勿論誰でもかんでも養子縁組を結べるはずも無く、日本と同様厳格な審査が待っている。ホセも以前は要支援組を考えていたようだが、本人に精神科入院歴(1日)があるため不可能なようだ。毎回毎回子どもを眺めては溜息、日本に帰国した際は和服の子供服をたんまり買い込む。Ebayで可愛い赤ちゃん用品を発掘するのが本人の楽しみ。

 

世界のあちらこちらで代理母出産に関するニュースが流れているが、イマイチ彼の心を躍らせる嬉しい朗報は届かない。タイでの代理母出産は某日本人が事件を巻き起こし非合法、イギリスの代理母合法案はまだまだ発展途上。そしてEU離脱という最新情報が、より一層問題をややこしくさせる。

 

結局さ、レズビアンと協力して子どもを作って、そしてみんなで子育てすればいいんじゃないか? そんな妙案は日本においてはゲイが子どもを育てる、第一(もしくは第二くらいかな?)手段にもなっている。勿論子どもの親権や子育て環境、そして妊娠する母体の肉体的な負担等……考えなければいけないことは山ほどある。

 

でも待っても待っても、いつ訪れるかわからないコウノトリ。ならばいっそ代理母ではなく、同じく子どもを切望する性的少数者カップルつまりレズビアンカップルと協力すればいい。

 

ウダウダと「もういやだ! やめてやる!」が口癖になっているレストランで知り合った同僚のレズビアン。彼女が呟いた一言。

 

友人「来年私達はクリニックで人工授精で妊活を始めるの」

 

自分「へえ、代理母とかじゃないの? 人工授精って、高いんじゃない?」

 

友人「代理母なんて、私達合わせたら子宮2つあるのよ。笑。それにそんなお金ないわよ。因みに人工授精は大体2000ユーロくらいね」

 

あっ、そっか。女性は子宮があるんだった。でも待てよ、アイツら精子作れないよね?

 

脳内イメージ

 

子宮+旦那の精子⇒受精⇒子ども

 

=みんな幸せ

 

こんな方程式ありなんじゃ? 代理母みたいな法外なお金がかかるわけでもない。そして経済的にも肉体的、精神的な負担も4人で分担して愛を注いでいけば……一風変わった家庭環境で育つことになるかもしれない子どもだけど、そんなもの逆境でも何でもない。私達が全力でサポートをすればいいだけ。

 

単純な私は身近の友人の一言からこんなイメージを勝手に妄想してしまう。しかし単刀直入にスパッと旦那が一言。

 

「ヤダ!」

 

4人で育てるなんて非現実的だ!

 

●どうやって今の家で4人暮らすんだ?

 

●そもそも日本人のハーフじゃないと無理!

 

まあ結局上記のような言い分で即刻却下となった。でもさ、養子縁組も無理。いつ実現するのかわからない代理母を待つよりは、性的少数者同士力を合わせて子育てするのも一つの選択肢になりえるんじゃない? と話し合っても、結局平行線を辿るまま。

 

例え日本で非合法の網を潜って代理母になってくれる女性を探しても、スペイン入国は叶わない。出産する側と精子提供者、すんなりと両者の国籍が付与される訳じゃない。現在スペインでは代理母出産プログラムの金銭トラブルや子どものビザトラブルが相次いでいる現実も無視できない。

 

もう無理なんじゃないか。子どもがいなくても幸せになれる道は残されているよね? そう言い聞かせても首を縦に降らない旦那。ペットのうさぎが怪我をしたら大泣きしてトイレに引きこもる。今はうさぎが私のベイビーと言い切る母性の塊のスペイン人夫。

 

不甲斐ない私は結局アメリカ渡航費用の10-20万ユーロをポンと用立て出来ない。例えお金があっても、子どもが出来なかったら? いやいやこのお金があれば立派なプール付きの豪邸を郊外に買えるじゃん!そんな思いが頭の片隅に交差してしまう。

 

合法で安全な手段は、莫大な金額を用意してアメリカにいく。だけどそんな大金があってもイマイチ踏ん切りがつかない。結局私の母性はそこまでなのか? 子どもに囲まれた愛のある生活を心待ちにする旦那を横目に、今日も色んな葛藤に現実に流されながら生きる浮雲のような自分。

 

わからない、自分がわからなくなる。

 

何が私達の生活で大切になってくるのか? 子ども? 仕事? お金? レズビアンの同僚とのたわいない会話から発展した、二人の未来像。結局のところ答えは出ずに、先日のスペイン再選挙の結果に願いをかけた。結果はまあ予想通り・(笑)

 

人生山あり谷あり。子どもに恵まれるまでもそうだ。長く険しい道を歩いた先で掴む一握りのチャンスと希望。そんないつかに願いをかけて、今はがむしゃらにスペインという土壌で生きていく。頑張って目標に向かう、そして時には時間に身を任せることも大切。そう自分に言い聞かせて、今日はもう寝よう。

あー、明日仕事いきたくない……。

 

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