第55回 ポケモンGOばかりやっている彼氏にイライラ

 

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ついにリリースされたポケモンGOはあっという間に大ブームとなって世界現象を巻き起こしている。20年前、友達みんなでゲームボーイと通信ケーブルを握ってポケモンを捕まえるのに夢中になった。こうしてまた友達とスマホを握ってポケモンの話題をしていることにノスタルジーを感じている。そして、目の前に座っている彼氏がピカチュウをゲットしようと必死になっている姿を見てイライラが募っていた。今までポケモンに触ったことがない彼は私より遥かにポケモンGOにのめり込んでいる。その手からバシッとスマホを叩き落したい衝動を我慢しつつ、冷静にこのイライラの正体を分析してみた。

 

こうして彼氏にイライラするのは初めてではない。付き合い始めた当初から、自分よりスマホを見ている時間が長い彼氏を横から睨んでいた。もちろん、誰かがシェアしたビデオを見てバカ笑いしている彼氏は気付かない。文句を言うほど深刻なことでもないと判断して、そんなイライラを放っておくことも多かった。しかし、塵も積もれば山となる。20年後にちょっとした喧嘩で感情が爆発して、今までに積もりに積もった恨み辛みを一気に相手にぶつけたらどうしよう。『真珠夫人』のたわしコロッケや『牡丹と薔薇』の革財布ステーキにもいつかは挑戦してみたいが、そんな狂気にまみれた食卓はできれば昼ドラの中だけに留めておきたい。

 

感情というのは立体的で複雑なものだ。スマホと睨めっこしている彼氏に感じるイライラの裏には他の感情が隠れている。相手にかまってもらえなくて寂しいのかもしれない。自分より先にレベルアップされて羨ましいのかもしれない。一緒に食事している最中くらいはスマホを仕舞ってほしいと頭に来ているのかもしれない。これらすべてがイライラの原因になっている可能性だってある。そうやって自分自身の心理を紐解いていくと、今までに見えなかったものを発見できたりする。感情に任せて目の前のことに反応するのではなく、なぜそう感じたのかを理解して、そこからどう行動したいのかを自分で決めることができる。

 

人間と人間が違いを持ち寄れば摩擦が起きる。文化や習慣の違い。年齢や性別の違い。育った環境の違い。そんな価値観の違う人を前にすれば、イライラしてしまうのは当たり前である。目玉焼きを塩コショウで食べてきた人が目玉焼きをケチャップで食べる人の向かい側に座れば、嫌な気分になるだろう。目玉焼きにピーナッツバターで食べる人を見た日には気絶してしまうかもしれない。相手にそんな意図はなくても、自分の価値観を否定されたように感じる。そんな嫌な気分に任せて相手に怒ったところで、急に怒られた相手はビックリする。問題を解決するどころか、必要のない不和を増やすだけだ。同じように、ポケモンGOに夢中になっている彼氏にただ怒ったところで、問題解決には結びつかない。

 

「ねぇ、ちょっと抱き合いながらまったりしよう」

 

そう彼氏に優しく声をかけた。すると彼氏はスマホを仕舞って、手を伸ばしてくれた。さて、そうやって相手が油断している隙に自分のポケモンGOのレベル上げに励もうか。

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