第39回 あなたの笑顔あなたの泣き顔 はじめまして、アタシがママよ

209_1大ユキ!

人間大砲で大怪我した葛城ユキ!

違った、大雪よー!

爆弾低気圧が投下されて、全国の高気圧ガールたち(おそらく2~3割は女装)が吹き飛ばされた模様です。山下達郎さんもウォウウォウ唸っていると思うわ。

そんな大雪の中、
アタシは新宿2丁目で便器がやって来るのを待っていました。

人間のほうではなくINAXさんのやつ。

そう、今は前回お伝えしたお店『Campy! bar』の改装中なのでーす。
木曜のオープニングパーティ、金曜の開店に向けて、絶賛あたふた中よ。

というわけで、今回のオバザレ(連載タイトル『Over The Rainbow』をカジュアルに略してみた)も、宣伝を兼ねたお店ネタでいっちゃうんだモン。

以前のオバザレ(すぐ多用)でも書きましたが、

小学生の頃、同級生と「家業を継ぐ継がない」が話題になると、
「(美川先生も太鼓判を押す岐阜一の歓楽街、柳ヶ瀬でスナックママをやっていたユキママの息子の)お前はママになるんだろぉ?」と言われていたアタシ。

今までも企画の雇われママはやらせていただきましたが、ついに本格的に経営側にまわることになりました。
30年を経て、彼らの期待に正式に応えることができたのですね。ああ、感慨深い。

とは言え、世界的に有名なゲイタウン、新宿2丁目で、主に女装で振舞うママになるなんて、さすがに岐阜の小学生たちは予想してなかったでしょうて。してたら怖いわ。

アタシ自身も、つい5年ほど前までは、ゲイ雑誌エディターという、「ゲイの、ゲイによる、ゲイのための仕事」をしてきた身だったので、シュミレベルだった女装が、ここまで仕事として肥大するとは思っていませんでした。肥大、ちょっと恥ずかしい…。

でも、この3年間の金曜夜、フライデー・ニチョメ・タウン(by 泰葉)で、観光色の強い女装ママをやったことで、本当に勉強させてもらったんですよね。

まず、それまで「(見た目イケてない)ノンケ男なんて面倒なだけ。(色気対象じゃない)女子にもそれほど興味なし」、という、完全にゲイだけで閉じた世界に生きていた自分が、お仕事で強制的にオカマちゃんとしてノンケさんと接するハメになっていったことで、こじ開けられたものがありました。

最初はちょっとイタかった。でも馴染んできたら気持ちよくなっちゃうのは、いろいろ一緒ね。

2丁目というゲイタウンにありながら、そこに興味を持った観光ノンケ男女のお相手も多い出島的空間ならではのおもしろみがあるんですよ。

まあまあコギレイな女子客が、店内に入って15分後、突然、
「大変ッ! この店のオトコたち、全然アタシを見ていない!」
と慌てふためいていた時は、
もうウキウキで花柳幻舟ばりに「思い知れ!!」とツッコんじゃったし。

いや、2丁目で遊ぶこなれた女子って、実はビジュアルレベルは悪くないコが多いんですよね。
一般界での「オトコからの目線」に疲れたコが、自分をまるで性的に評価してくれない街に、むしろ開放感を覚えてたりするわけ。
なので、中途半端にモテ意識を残して来やがってる女性のお客様には、「時と場所が変わればモテも変わる」という重要な事実を思い知っていただく良い機会だと思うわけです。これもLOVEレッスンだよ!

その真逆が、工務店の飲み会流れとかで足を踏み入れちゃったガテン系ノンケ兄貴たちが、異様にうちらの愛情こもった接客を受けてしまうってパターンね。罠にかかったなハハハハ(蛇おばさん)。

こういう、性にまつわる常識や尺度が固定のものじゃないと伝えられることや、セクシュアリティを超えて交流できる状態というのは、結局、ゲイ雑誌の頃から携わっていたアタシなりのアクティビズム的な作業にもつながっていくんだなーとも思いました。

だって、自ら性的マイノリティって言っちゃってるくらいに、自覚的なレベルでのLGBTってのは世の中の少数派なんですから、ほっといたら何も伝わらなくて当然。

たとえば、長年の同性パートナーが何の保障もないせいで、悲惨な引き裂かれ方をする例があります。
法制度が必要だと思っても、当事者だけじゃそれを動かす票が足りない。「そういう人たちも大変みたいだしね」って思ってくれる「味方」の非当事者がいてくれないといけないんですよね。

それに、クラスや会社で「あいつ、オカマらしいぜ」って話題になった時に、その集団の中に「だから何なの、別にいいじゃん」って言ってくれる人がいるだけでも、ずいぶんと空気は変わると思います。

もちろん、おゼゼをいただいての交換サービスであるのがお仕事としての大前提ですが、その上で、お互い発見のある交流ができて、なおかつ味方してくれるかもしれないのなら、まさしく儲けもんですわ。

でも、Twitterとかやってると、たまに女装ママ業に否定的なReplyを送られることがあります。
たいてい卵アイコンの、フォロアーさんがほとんどいない匿名に近いアカウントからなのですが、
「お前が女性客を2丁目に呼び込んだ」とか「私たち同性愛者のための場所を壊さないでください」みたいなことを言われます。

まず、そこまでうち一軒は強力じゃありませんよー、という点もありますが、
少なくともメンオンリーのバーもまだまだ十分な数はありますし、色気が直結する商業ハッテン場やねるとんクラブイベントは今後もメンオンリーなのは間違いないと思うんですよね。
んな、路面店の数軒まで男一色に徹底してないと気が済まないって、要求が厳しいんでねーのと。

あと、もう少し現実的な話をしてしまえば、歓楽街なんてのはお金に忠実な生き物ですから、「ほぼ唯一のゲイの出会いの場」として無条件にバーというものにお金を落としてもらえた時代から変化して、今はゲイだけじゃ支えられなくなってるという現実がそこにあるとも言えます。

(アタシ個人目線だと、自分が男臭ぇガチムチ野郎だったら、そういう色気な営業方針でも良かったんだけど、お笑い+女装の売りでは今の方向性しかありえなかったという現実も…嗚呼)

時折、そんな横ヤリにしょんぼりもするのですが、ちゃんと神様からのフォローも入ります。

先日、初顔のゲイのお客様がいらした時に、
「いつも2CHOPOの連載、読んでます」と言っていただきました。あーん、照れゆ。

「実はそれを読んで、彼女を連れてきて」と続き、アタシの目の前で、会社同僚のノンケ女子へのカミングアウトが始まったんです。
もちろん彼なりに、この子なら分かってくれる、という確信の上で誘った相手でしょうから、当たり前のようにすぐに「そうだったんだー!」と笑って受け入れて、その後もノリノリでお二人に楽しんでいただけました。

その彼に帰り際に、「想いのこもった言葉は、いろんな人にちゃんと伝わっていくと思います」と言ってもらえたのが、本当にうれしかったな。

新参者の特殊店舗として、Campy!ガールズの顔面はじめ、いろいろと失礼をしてしまっている面はあるかもしれません。
でも、ごった煮な客層のミックスバーを作ることに、アタシは信念を持っています。
そこで生まれたご縁が、ゲイにもビアンにもトランスにもノンケにも街にも、どうか価値あるものになりますように。

いらっしゃいませぇ~!(オカマダミ声)

http://www.campy.jp/

Twitter @Campy_bar

 

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