第64回 二人よりも三人の方が楽しいのか

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「三十路に突入したのに3Pもしたことないの?」

 

アラサーのゲイ男性が3P未経験であることを驚かれることに逆に驚いた。いつの間に3Pは20代の経験必須プレイになったのだろう。セックスの履歴書に3P経験がないと誰にも相手にされないのか。周りがどんなに雑音を立てようが、3P未経験の事実は変わらない。一対一のセックスしか知らない自分は損をしていると言われても、今まで機会に恵まれなかったのだから仕方がない。もしも超タイプな男性二人が目の前に現れて3Pに誘われたら、きっと喜んで全裸になっているだろう。もう心の準備はできているのだ。

 

3Pがしたくても、セックスの相手を見つけるのは簡単なことではない。一人でも至難の技なのに、ましてや二人も見つけるなんて不可能に近い。少なくとも自分はそう思っていた。しかし、3Pの相手は案外そこらへんに転がっているようだ。出会い系であっさり募集する人もいれば、カップルでハッテン場に遊びに行く人もいる。プライベートな乱交パーティに参加してもいい。そんな勇気がないから、自分は今まで3Pにありつけなかったのかもしれない。

 

「僕らのマンションに遊びにおいでよ!」

 

3Pバージンのまま墓に入る覚悟を決めた頃、とあるゲイカップルから3P招待状をもらった。直接的には言っていないものの、これは明らかに3Pへの誘いである。どちらも自分のタイプだったのでドキドキが止まらない。カップルの間に第三者として参加するなら取り残される心配もないが、あんまり注目を浴びても緊張してしまう。セックスの最中に誰と何をすればいいのかわからず大混乱したらどうしよう。頭の中の妄想のせいでこの3Pバージン卒業のチャンスを逃す前に、とりあえずお茶だけでも飲みに行くことにした。

 

未経験者にとって複数プレイはちょっとハードルが高い。だから、3P経験談を山ほど予習してきた。人生で一番気持ちいいセックスだったと話す人もいれば、最高に気まずくて後悔したという人もいた。意外なことに、何人参加してもセックスはそんなに変わらないと感じる人もいた。百聞は一見に如かず。こればかりは自分自身で答えを見つけるしかない。先入観や期待はどこかに仕舞って、好奇心を持って挑もう。そのゲイカップルの玄関前に立って、呼吸するのを忘れながら扉をノックした。力が入ってない微妙なノックだったが、すぐに扉が開いた。

 

「ようこそ!」

 

二人のこわばった表情から緊張感が伝わってきた。どうやら考えすぎなのは自分だけではないようだ。綺麗に整理整頓されたリビングルームに案内されて、ソファーに腰掛けた。目の前のワイングラスに白ワインが注ぐ相手の手がちょっと震えている。ゲイカップルの二人は自分の右と左に座った。どう考えても不自然である。これからセックスするのは明白なのに、人間はポーカーフェイスを決めるから笑える。どうすればいいのかわからず、間を持たせようと目の前のワインに手を伸ばして無意味な乾杯をした。

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