【4時間目】カミングアウトするタイミングについて

「ありのままの自分を表現することができ、あるがままの他者を受け入れることのできる強く寛容な社会」というVISIONを持つNPO法人バブリングによる毎月1回行われる世界初(?)のカミングアウト授業の本日は3回目!
毎回、個性的な先生とさまざまなテーマでお届けしております。今回は「カミングアウトするタイミング」について。今日も始まり〜始まり〜♩
img_0753
本日の先生:ゆうじ先生
元気はつらつで、筋肉隆々。体育教師を思い起こさせる風貌のうえ、いい発言をするとなぜかいつも持ち歩いているホイッスルを鳴らされる。大雑把なところがあるかと思いきや、実は数字に強い。
9e4d1a0287f6446d5d4d2dcddb08662a
生徒:しゅんくん
社会人2年目になり、仕事にも慣れてきた。ゲイである自分が周りにカミングアウトすべきかどうか迷い中の青年で、今回のカミングアウト授業を受けに来た。すぐネガティブに物事を考える。
1593fec0f13b46faf1fb0f15a6ec888a
生徒:まつろー
大学院2年生。しゅんくんとはよく飲む仲の親友で、ストレートの男性。カミングアウトについて悩んでいるしゅんくんを授業に引っ張り出した張本人。楽天家で、笑いの沸点が低い。

教室の窓を見ると、厳しい残暑の日差しのせいか、行き交う人たちが顔をしかめて歩いている姿が見えた。
7702883e0f8490659ac3be19c8db3620
「いやーあっついね〜」
と、うちわを仰ぎながらも、満面の笑顔で話すまつろー。
e4a632ffc925c6d2aa542e4b7185e372
「まつろー、暑いの好きなの?」
7702883e0f8490659ac3be19c8db3620
「うん! 俺、夏が大好きなんだよね!」
e4a632ffc925c6d2aa542e4b7185e372
「そ……そうなんだ……」
そんなに夏が得意ではないしゅんくんは、いったい何が楽しいのかがわからず、窓の外に目線をそらしながら適当な相づちをした。すると目線の先に、いい色に日焼けした短髪の男性が教室に向かって走ってくるのが見えた。そのまま男は勢いよく窓をガラッと開けて、軽やかに窓をまたいで、教室に飛び込んできた。
img_0753_1004101026
「おはようー諸君!」
e4a632ffc925c6d2aa542e4b7185e372
(また変なのきた……)
7702883e0f8490659ac3be19c8db3620
「おはようございます!」
同じ温度感で元気よく挨拶するまつろー。
img_0753_1004101026
「いい返事だね! 私の名前はゆうじだ。今日はいい天気で気持ちいいぞー。教室じゃなくて、外でやろうかね!」
e4a632ffc925c6d2aa542e4b7185e372
「せ……先生、外はちょっと……」
img_0753_1004101026
「ん? そうか? じゃあこのままここで始めよう! 今日のテーマは「カミングアウトするタイミング」についてだ! カミングアウトをいつするべきか? という話が重要なのだが、その前に、どんな時にカミングアウトをすることがあると思うかい?」
e4a632ffc925c6d2aa542e4b7185e372
「どんな時……? 恋愛とか結婚の話を振られた時とか?」
ピーーーーッ! ホイッスルの音が教室内にこだまする
e4a632ffc925c6d2aa542e4b7185e372
「わぁ〜! びっくりした!」
img_0753_1004101026
「しゅんくん、いいね! それは大いにあるよね。1ポイント!」
e4a632ffc925c6d2aa542e4b7185e372
(え? なに……? ポイント制なの?)
7702883e0f8490659ac3be19c8db3620
「確かに、しゅんくんからカミングアウトされた時って、俺がしゅんくんに女の子を紹介しようとした時だったもんな」
e4a632ffc925c6d2aa542e4b7185e372
「それだけ僕に気遣ってくれてるってわかったから、これは言おうと思ったんだよね」
img_0753_1004101026
「いいねー! 素晴らしい友情だ! 先生、感動したぞ!」
迫って、2人の手を取り合い、ボクシングの勝者に対してレフリーが行うかのごとく、手をグッと突き上げるゆうじ先生
e4a632ffc925c6d2aa542e4b7185e372
(暑い……先生が近づくと、体感温度があがる……)
img_0753_1004101026
「他にはどんな時が思い浮かぶかな?」
e4a632ffc925c6d2aa542e4b7185e372
「あとは……一生涯共にしたいって思える相手が出来た時に、親に言うんじゃないかな」
ピーーーー! 再度、ホイッスルを吹くゆうじ先生
img_0753_1004101026
「いいぞ!しゅんくん、それは素敵だな!1ポイント!」
7702883e0f8490659ac3be19c8db3620
「えーーー!? 俺もポイント欲しい!」
なぜかポイントに執着し始めるまつろー。
e4a632ffc925c6d2aa542e4b7185e372
「まぁ実際はそう思える相手ができればいいですけど……」
img_0753_1004101026
「先生もそれが夢だったがな。実際は、親もいい年齢になってきたし、伴侶ができる前に言おうと思ったんだよね」
7702883e0f8490659ac3be19c8db3620
「あー。そういう考え方もあるんですね」
img_0753_1004101026
「あぁ。実際、相手が余裕がない時にカミングアウトしてしまうのは、負担が多くなってしまうかもしれないからな。だとしたら、今かな?と思って、正月の実家に帰った時にカミングアウトしたよ」
7702883e0f8490659ac3be19c8db3620
「それでどうだったんですか!?」
img_0753_1004101026
「最初はやはりびっくりして、言葉も出ないような感じだったが、今は前と変わりない態度で接してくれてるよ。結婚の話とかは持ち出さなくなったのが大きな変化だね」
7702883e0f8490659ac3be19c8db3620
「良かったですねー、先生!」
img_0753_1004101026
「ありがとう!まつろー、嬉しい発言をしてくれたから、1ポイントだ!」
7702883e0f8490659ac3be19c8db3620
「やったー!」
喜んではしゃいでるまつろーを横目に、しゅんくんは、「自分のタイミング」はいつか、考え込んでいた。
img_0753_1004101026
「しゅんくんは、家族や職場では特にカミングアウトしていないって言ってたよな」
e4a632ffc925c6d2aa542e4b7185e372
「はい……なんか、今更言うタイミングってのも難しいなって思って。これまでずっと恋愛話とかを受け流してきたのに、オチがそれかい、ってなりそうで……」
img_0753_1004101026
「その気持ちもよくわかる!言うタイミングをどうするか、というのはあるよな。俺なんかは、最近知り合う人たちには、最初からカミングアウトするようにしているよ。それであれば、言うタイミングを伺う必要もないからね」
7702883e0f8490659ac3be19c8db3620
「おぉ。先生、すごい!」
img_0753_1004101026
「いやいや、すごいとかじゃないよ。言ったから偉い!とか、そういうことじゃないしな。ただ、大切な人に伝えたいって思うのであれば、どんな時が言うタイミングとしていいか、考える必要はあるよな」
e4a632ffc925c6d2aa542e4b7185e372
「僕としては、仕事において、今度転職するときは、あらかじめ言ってから転職しようと思っているんですよね。その方が煩わしさがないし。」
img_0753_1004101026
「いいねー。転職とか、そういうライフイベントの変化があるときは適しているかもしれないな」
7702883e0f8490659ac3be19c8db3620
「親には、還暦の時とか?」
e4a632ffc925c6d2aa542e4b7185e372
「還暦とカミングアウトは関係ないでしょ」
img_0753_1004101026
「ハッハッハ! まつろー、面白いから1ポイント! まぁ親の年齢を考えて、とか、還暦祝いや正月など、イベント時に、っていうのもタイミングとしては、適しているかも時かもしれないな」
e4a632ffc925c6d2aa542e4b7185e372
「僕の親、もう還暦過ぎてるんですけど……」
img_0753_1004101026
「まぁ還暦がいいかどうかは別として、そうやってかしこまった時に言うのか、日常の場面でさらっと言うか、という観点もあるよな
7702883e0f8490659ac3be19c8db3620
「あー、たしかに、しゅんくんからカミングアウトされたときは、呼び出されて話があるって言われたわけじゃなくて、学校の帰り道にサラッと歩きながら言われたよな」
e4a632ffc925c6d2aa542e4b7185e372
「でもまつろー、あまりにいろいろ聞きたそうなことがあったから、その後急遽、どっかのカフェに入って、じっくり話すことになったんだよな(笑)」
img_0753_1004101026
「いいねー。どういうタイミングで言うのかは、人それぞれ自由だが、カミングアウトするからには、言いっぱなしで終わるわけじゃなく、きちんとその後に話をするってことは重要かもしれないな。特に関係性の深い相手には」
e4a632ffc925c6d2aa542e4b7185e372
「相手がそこに対して、どこまで興味関心があるかってのもありますよね。僕の友達は、カミングアウトした相手が、全然抵抗感なく、サラッと次の話題になったって話してました」
img_0753_1004101026
「そうだな! だからいずれにしても、相手への配慮や思いやりが必要なんじゃないかと思うぞ。相手が話をしたそうだったらするし、そうでないのであれば、無理にいろいろ話す必要もないし」
7702883e0f8490659ac3be19c8db3620
「かしこまって言うのも、さらっと言うのも、要は自分がどうしたいか、ってことですかね?」
ピーーーッ!
img_0753_1004101026
「まつろー、1ポイント!ハッハッハ!」
7702883e0f8490659ac3be19c8db3620
「やったー! 逆転勝利!?」
e4a632ffc925c6d2aa542e4b7185e372
「そ……そうだね……」
ワイワイとはしゃいでるまつろーと、高笑いしているゆうじ先生を冷ややかに見るしゅんくんであった。
〜今日のまとめ〜
カミングアウトするタイミングに正解はない
大切なのは、自分がどうしたいかということと、相手への配慮 
さまざまなカミングアウトについて考えることができるイベント1011 イチゼロイチイチ -カミングアウトと家族-を実施します。
家族をテーマにしたカミングアウトデーイベントです。
『カミングアウトと家族』と聞いて何か心に引っかかりを感じる方、その答えがきっとこのイベントにあります。
詳細はこちらまで
Top