第66回 思い出の中の恋は激しく燃え上がる

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海外旅行中に運命の出会いを果たした友達は情熱的な週末を楽しんだ。ロマンチックな街を二人で散歩して、穴場のレストランで空腹を満たして、夜のビーチで夜更かした次の朝はホテルのベッドで抱き合いながら寝坊した。どんなにお互いを愛しても足りなかった。チャンスがあれば所構わずセックスした。週末が終わる共に終止符が打たれる恋だから、一秒も無駄にできなかった。残念ながら、そんな楽しい時間は今や思い出の中にしか存在しない。運命の相手は大西洋を隔てた向こう側にいる。激しく燃え上がったからこそ余計に虚しい。

 

「この気持ち、どう処理すればいいの?」

 

未だにその恋から動けずにいるその友達は悩んでいた。あのバケーションから一ヶ月が経とうとしているのに、彼らは今でも毎日のように長電話している。テクノロジーのおかげで遠く離れている相手の顔を見ることができても、触れることはできない。一緒に過ごした時間が終われば燃え尽きると思っていた恋は予想外に長引いていた。しかし、彼らはこの関係をどう呼べばいいのかわからずに戸惑っていた。それが友情なのか、遠距離恋愛なのか、確かめる術はないらしい。

 

彼らは共に30代に入ったばかり。二人とも順調にキャリアを築き上げていた。恋愛のためにどちらかのキャリアを犠牲にするのは大きなリスクだ。よほどなことではない限り、その決断を下せないだろう。そして、この恋が「本物」なのかどうかは誰にもわからない。週末を過ごしただけでは、きっとお互いの素敵なものしか目にしていない。もしも思い出の中の週末のような経験を期待すれば、きっとがっかりする。知りすぎている一方で、わからないことが多すぎて、彼らは前に進めずにいた。

 

そんな先の見えない恋は自分も未経験ではない。お互いに何を感じているのは確かなのに何も目標がない。どこへ向かうのかわからないから前に進めない。しかし、だからってそこに価値がないわけではない。すべての恋愛が長期的なものになる必要はない。すべての恋愛が結婚に結びつく必要もない。その瞬間に感じたものを思う存分に楽しることだって大切だ。そのまま思い出の1ページになる恋ならば、それでもいい。そこから形が変わっていく恋もならば、それも悪くない。たまには深く考えずに、流れに決断を委ねるのもアリなのかもしれない。

 

クリスマスのシーズン、運命の相手に会いに行く予定の友達は頭を抱えていた。恋が燃え尽きていたらどうしよう。セックスが良くなかったどうしよう。恋が燃え上がって異国に移り住むことになったらどうしよう。もうフライトはキャンセルできないのに不安は日に日に増していく。そんな彼にかける言葉はこれしかなかった。

 

「肩の力を抜いて楽しんでおいで」

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