同性結婚3周年を迎えた今の気持ち

「三十路を過ぎると、時間が経つのがあっという間だわあ」

 

こんな言葉を以前バイト先のオバさんが呟いていた。まだ若かりし私は、時間の流れなぞ皆平等。そこに早いとか遅いなんてあるわけないじゃん、心の持ちようだよオバさん! と毒ずいた。でもやっぱりその言葉、正しいですね、はい。時間は秒速の如く流れていくのが30代、あの時愚痴ってごめんなさい、直子!

 

という訳でやはり20代から30代に移行するターニングポイント、そして老いに恐怖を感じながら過ごす30代。これらの時期は美を追求するゲイにとっては、特に早く感じてしまうものなのか、と切実に思っている。旦那のように肌にも髪にも対して関心を持たなければ、時間の流れるスピードが少しは遅くなるものなのか……そんな訳ないか。そんなこんなスペインで時間の流れに身を任せていたら、あっという間に結婚3周年を迎えてしまいました。親友には「あんた、すぐ離婚しそう!」とか言われたし、夫夫喧嘩もするけれど、なんだかんだ平和に毎日を過ごせる幸せ。

 

2人で1つ(プラス二匹のウサギ)を構成するパズルのピースみたいな関係。自分が出来ないところは旦那が、旦那が出来ないことは自分が。なんだろうこれが、支え合うってことなのか?と日々実感する毎日。サバイバル能力は決して高くない、経済レベルも低いけど、とりあえず何でも自分でこなせるスペイン人。得意科目はない、でも中間・期末試験で全科目60点は毎回キープする、そんな感じの旦那はやっぱりありがたい。

 

同性だから異性だからなんて関係ない、結婚は個人同士の契約じゃない。常にそう感じずにはいられないのが家族問題。私の両親もぶっちゃけ問題だらけの夫婦だが、義理の両親だってそれに負けず劣らず。カラオケマニアのお義母さん、うつ病のお義父さん、ゴミ屋敷に住む2人の叔父に、徘徊癖が止まらない認知症御年96の大叔母……20から家族と疎遠気味の私にとって、手を伸ばせば直ぐに届く距離にある濃過ぎる家族は時に刺激が強すぎる。

 

よくスペイン人は家族の絆が強いだとか、親離れに子離れが出来ないと言うけれど、まさにその通り。親はいつまでたっても親であり、子どもはいくつになっても子どものままなのだ。30、40を過ぎても親と同居、大黒柱は年金暮らしの父親、毎週のおこずかいを楽しみにする40過ぎの息子に娘。こんな家族構成が当たり前に存在するスペインの親子事情に、時々嫌気が指すこともある。でもきっと日本人が忘れてしまった、親子の絆の強さをハッと認識してしばし羨ましくなる時も……。

 

石の上にも3年と言うけれど、見ず知らずの土地に慣れるのも3年はかかるものなのか? 私は未だにスペインという広大で土臭くて、何でも「No Pasa Nada(大丈夫さ)」の一言で済ます国民性に適応出来ない。でもね、「いやいや、そこは違うでしょ!」、「なんでこうしないの?」とココロで思っても、ハッキリ言えない日本人特有の悪い癖。きっと旦那も義理の両親もそして同僚にも呆れられていることだろう。結局お互い様ってことさ。

 

結局日本人、スペイン人、異なる土壌に文化で生まれ育った者同士、理解出来ない点を無理に理解する必要はない!と最近自分自身に言い聞かせている。自分は自分自身の価値観を頑固に持つ生き物であり、そのバックグラウンドは島国にある訳だから。自分の芯を持って行動する強い意思と行動力、そして他人を受け入れる忍耐力。この両者が化学反応を起こして、細く長く生きていくことが結婚なのだ。

 

言葉で言うのは簡単、勿論彼の言動を全て受け入れるのは多大な努力が必要なんだけどさ……これからもきっと、何も出来ない者同士支え合っていくんだろうな。お互い性欲も何も感じなくなって、ポルノを見ても興奮しなくなっても、空気みたいに隣にいるのが彼であってほしい。優しさと母性の強さが魅力の彼は、私のタイプではないけれど、きっとこれが本当の愛なんだろうね。

 

愛とは経済力に依存するように見えて、二人の間に流れる間をどれ位バランスよく維持出来るかに掛かってくのだと思う。平凡な毎日に少しスリリングなスパイスを加えたいそんな風に思う時もあるけれど、グッと我慢。何も起きない毎日、ソファでお互いの足をマッサージしながら眠りこける、そんな些細な毎日がきっと最高の幸せ。

 

そんなことを思い巡らせながら、3周年の記念日(もう過ぎた)は行けなかった新婚旅行を兼ねて近場のパリにでも旅行しよう。生活が愛を上回ってはならない、だけれども永続的な結婚生活を保つにはそれなりのお金もかかってくるもんだ。忘却の彼方に置いてきた大和魂、ちょっくら引っ張りだして来年も頑張らねば!

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