第75回 恋人に自分の趣味を押し付けない

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長く付き合っていると恋人同士似てくるという噂は本当だった。お互いに影響されたのか、自分と彼氏のファッションの好みは気持ち悪いくらいにそっくりだ。付き合った当初はそうでもなかったが、今やクローン状態である。冷静にクローゼットの中を観察すると同じような色やデザインばかり。同じブランドで同じデザインのブーツやバッグまであるから恐ろしい。全部色違いなのがせめてもの救いだ。ペアルックで出歩くカップルを軽蔑していたが、今の自分がまさにそれである。調子に乗ってクリスマスプレゼントにお揃いの腕時計なんか買わなければ良かった。

 

一方で、まったく似ないものもある。彼氏は相変わらず野菜が苦手だ。一生懸命作った料理でも、嫌いな野菜が入っていれば絶対に食べない。自分も相変わらずエスケープルームのような脱出ゲームが苦手である。彼氏からどんなに熱心に誘われても頑なに断っている。こうした違いはこれからもずっと変わらないような気がするが、そんな断言をする自信はない。もしかしたら、10年後には二人で菜食主義になって世界中のエスケープルーム巡りを楽しんでいるかもしれない。そんな気持ちの悪いカップルにはなりたくないものだ。

 

夏にリリースされたポケモンGOを彼氏は未だに毎日コツコツやっている。ここまで一途に同じことを繰り返す性格には感心してしまう。飽き性な自分とは大違いだ。そんな彼氏はゲームボーイやDSのポケットモンスターシリーズはやったことがないというので、新しく発売される『サン・ムーン』を一緒にやろうと提案してみた。君が太陽になって、私が月になれば、一緒に世界を冒険しながらポケモンゲットを楽しめる。目をキラキラさせて何度も誘ってみた。この歳になるとゴーストからゲンガーへの進化を手伝ってくれる友達がなかなか見つからないから、彼氏を利用しようと企んでいたのだ。

 

「やだね」

 

ポケモンGOに忙しいからという理由であっさりフラれてしまった。特にコンテンツも入ってないモバイルゲームのポケモンGOより、本家の方が絶対楽しいと何度説得しても相手の答えは変わらない。せっかくの計画が台無しになって頭に来たが仕方がない。自分の趣味を押し付けたところで、相手に興味がないなら自分が目指している結果にはならない。誕生日という切り札は既にカップルのお絵かき教室に参加するために使ってしまった。ポケモンを一緒にやれたらもっと気持ちの悪いカップルになれたのに、非常に残念である。

 

友達のカップルはもっと深刻な変化を望んでいる。超リベラルな友達が恋に落ちたのは保守気味な政治観を持つ人である。交際10年目でも、その友達は試行錯誤しながら恋人の政治観を変えようと必死である。努力が実って相手の考え方が変わるかもしれないし、何をしても変化しないかもしれない。しかし、そんな二人は仲良しそうだ。彼らに比べると、ソファーの上でポケモンで遊んでいる私たちは平和なのかもしれない。もちろん、3DSでポケモンをやっている自分の隣で、彼氏はポケモンGOをやっている。ゴーストは未だにゴーストのままである。

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