第77回 気になるならデートに誘ってしまえ

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結果ばかり考えてしまって行動に移せない。最近そうやって足踏みをすることが増えた気がする。まだ何もしていないのに、既に失敗の光景を頭の中で思い描いてしまう。頑張って全てがうまくいった時の光景を想像しようとしても、それが現実にならなかったらどうしようという不安に邪魔される。歳を取って、経験を積んで、賢くなったと思ったが、逆に考え過ぎて機会を逃している。前だけを見て足を踏み出すという習慣を身に付けたいが、なかなか癖が直らない。どうやらこれは自分だけの悩みではないようだ。ホームパーティで素敵な人と知り合った友達はキッチンでテキーラをショットグラスに注ぎながら難しい顔をしていた。

 

「デートに誘うか否か……?」

 

友達が指差す方向をこっそり見てみると、ファッションセンスの良いイケメンが立っていた。あんなにルックスが良い人から相手にされるわけがない。服にお金をかける人だから遊び人だってこともある。ホームパーティで彼をデートに誘ってフラれたらみんなの笑いものだ。デートに誘いたいのに、頭の中の声に止められて友達はジレンマに陥っていた。言い訳を並べてデートを誘わない選択を正当化しようとする友達の姿はまるで自分自身を見ているかのようだ。負の感情と直面することから逃げたくなるのは人間の性なのかもしれない。

 

ちょっとでも気になるならデートに誘ってしまえばいい。別に結婚をしようとプロポーズするわけではない。コーヒー屋さんで30分ほど雑談を楽しむだけだ。ローリスク・アンド・ローコストである。そこで意気投合して友達になってもいいし、下心があるならセックスだってありえる。そこから恋が芽生える可能性もあるし、それっきりもう二度と会わないこともある。フラれたならフラれたでいい。思い通りにならなくても、デートに誘っておけばよかったと後で後悔するより遥かにマシである。デートに誘う前からつい逃げ道ばかり探してしまう自分だが、そう考えることで気楽に気になる相手をコーヒーに誘えるようになった。

 

同じ理屈で友達を説得して、軽く背中を押してあげた。美味しそうなオードブルをたくさん乗せた小皿とグラスいっぱいの赤ワインを両手に装備して、友達は威勢良く出撃した。キッチン残った自分はフラれて帰ってくる友達を慰めてあげようとお茶でも入れることにした。お湯が沸いた頃、友達は微妙な面持ちで帰還してきた。何があったのかまったく読めない。小皿の上のオードブルも赤ワインも空っぽになっていた。

 

「明日、みんなでコーヒーを飲みに行くことになった」

 

デートに誘うつもりはずが、どこかで勘違いが生じたようで、みんなで遊びに行こうという方向に話が盛り上がってしまったらしい。その気がなくて受け流されたのかもしれないが、ただ単に相手が好意に鈍感な天然ボーイだって可能性もある。もしかしたら、コーヒーを飲みに行こうという誘い方がカジュアルすぎてデートの誘いに聞こえなかったのかもしれない。何はともあれ、デートに誘わないよりは素敵な結果である。入れ立てのお茶を飲みながら、次こそは本気でデートに誘ってやると友達は燃えていた。グッドラック!

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