スペインの幸せ感とアフリカ

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先日年配とまではいかないが在西歴・主婦歴が長い先輩移住者とお茶をした。なかなか日本人同士で酌を共にする機会はないのだが、やっぱり二人の主婦(1人は主夫)が揃うと、終わりのない愚痴・愚痴・愚痴のマシンガントークが止まらない。いやはや月日が流れるのは光陰矢の如しで早いもので、既にスペイン滞在期間も4年目に突入。スペイン帰化も真剣に考えなければならない時期に到達してきたのかもしれない。

 

底なし沼のようなスペイン生活を細々とつぶやいてきたけれど、やっぱりスペインは他の西欧各国とは異なる魅力を良くも悪くも持っている。それがオバサン魔女会議で出た結論だ。物価が安くて医療費が無料、同性婚が当たり前のスペインは、紙(滞在許可)さえあれば正直楽に暮らしていける。特に私達の住む田舎街だと尚更だ。

 

だけど例えば日本人がスペイン(この街)でサバイバル(仕事)していく手段は本当に限らてれ来る。

 

①寿司職人

 

②日本語教師

 

③日西翻訳・通訳やライター業

 

④中国人経営のショップで店子

 

⑤サッカー選手(才能があれば)

 

位。家具屋や服職関係のショップ店員をしている日本人も過去にはいたが、大抵は小さな小さなこの街で日本語教師としてスペイン人生徒をシェアして細々と生きるのが精いっぱい。それでもみんな旦那の稼ぎや貯蓄を崩しながらも、比較的安定した生活が出来るのはやっぱり幸せなことなのかもしれない。

 

世の中にはいろんな生き方があって、スペイン人も生きる為に精一杯。弁護士資格のある若者がピザ屋のデリバリー、金細工師が調理場スタッフ、エンジニアが給仕、フットサル選手が語学教師の仕事をしている不思議な国スペインの経済は……やっぱりまだまだ先が見えない。彼らにとって学歴・資格は単なるお飾りであり、その知識に経験、費やした時間とお金が仕事と言う二文字に還元できないのが極力残念で仕方ない。(勿論マドリードやバルセロナのような大都市は若干マシなようだが……)

 

家族愛が強い(マザコン)スペインは基本自分が住んだ町を離れたがらない伝統がある。仕事がないなら他の都市、国へ……ではなく、どこにいっても同じ。それなら自分が生まれた街で同じ空気を吸って、シエスタをしながら生きていきたい。こんな感覚なのだろう。(多分)

 

当たり前に仕事があって、週末は自分の好きなことに没頭できた日本にカナダの生活観。そんな当然な毎日がスペインでは非日常になってくる、それがスペイン社会に根付けない第一の要因になっているのだろう。

 

私の職場は工業地帯にあるホテルなのだが、しばし若者、妖怪オババに黒人やルーマニア人、様々な人々がレジュメを置きに訪れる。仕事がなければCVを自らの足でばらまき歩く。それがスペイン流の仕事探し。ネット経由で求人応募をしても天文学的確率でしか採用されない、または縁故採用が未だに当たり前なこの国の実情を熟知しているからだ。

 

仕事がないからとりあえず暇つぶしにハローワークの無料講座や大学で勉強してみる、どこにいっても変わらないからとりあえず地元でチャンスを待つ。そんな受け身なのか前向きなのか分からないスペインのやり方は、やっぱり独特だ。

 

  • オリーブにオレンジの木々が実る肥沃な大地。

 

  • 羊飼いが牧羊犬を連れて闊歩。

 

  • 360度に開けた遥かなる地平線。

 

  • 灼熱の太陽とパエリア。

 

  • ZARAにMANGO。

 

どれも格段興味はない。スペインに大きな夢やあこがれを抱いている方には申し訳ないけれど、どうもこの土臭い国は好きになれないのだ。(バルセロナは別扱いで……)愛する家族にペットのウサギ、贅沢とは無縁な生活だけど平凡な愛に溢れた日々を送っているのにね。石の上にも3年と言うが、私がこの田舎町で地に足を付けて意気揚々と胸を張って歩ける日はまだまだ遠いようだ。そして私の日本人の友人もポツリ。

 

「移住する場所間違ったわ、ホンマ。ピレネーを越えたらチョコレート工場のライン作業でも2300ユーロ貰えるんよ!なんなんここは(私達の住む街)!?」

 

母国語だから分かち合える心の叫び。私の気持ちとリンクする彼女の切実な言葉と大阪弁の奇妙なハーモニーが、とても心に響く。そして私の脳裏にある偉大な人物が残した印象深い言葉がよぎるのだ。

 

「ピレネー(山脈)を越えたら、そこにはアフリカが広がっていた」

 

By、ナポレオン

 

まあ、スペインはモロッコにメリリャとセウタと言う飛び地を持っているし……。そしていつレコスキンタが起きてイスラム支配されるのかも分からない。経済だけでなくそんな一抹な不安を抱える国で生きること。

 

私達は今アフリカに住んでいるのだ。ここは欧州じゃない、ヨーロッパのアフリカなんだ。と自分にそっと言い聞かせた。そしたらなんだか身体が軽くなった、そんな気がした。

 

P.S

今日はスペインのある政党で代理母の法案を可決するかの投票が行われます。何度目の投票だろう……今回もダメなんだろうな。

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