B型肝炎の予防接種に行くので、その前にお医者さんに性病のことを色々聞いてみた

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大島薫です。

 

本日は大変に真面目な内容で、いつもふざけきっているボクも非常に緊張しております。

 

ボクは大阪にいた3年程前、AV女優時代に性病検査を受けに行ったことがあるのですが、お家から近いだけで適当に行った病院の先生が、性病にやたらと詳しかったことがありました。

 

その先生がこう言うんです。

 

B型肝炎が1番危ないんですよ」

 

はて? B型肝炎? そもそも肝炎って性病なの? HIVのほうがヤバいっしょwww

 

おバカなボクはそんなことを思ったのですが、先生の話を聞いていくうちに、気付いたのです。

 

うわ、B型肝炎ヤバ

 

ということで、今日はその4年前に出会ったお医者様に、B型肝炎の恐ろしさをインタビューしてきました。

 

谷口恭

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太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。

 

◆性病の現状◆

 

大島「お久しぶりです、先生!」

 

谷口「お久しぶりです」

 

大島「今日は性病のことを訊きにきました!」

 

谷口「いいですよ」

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大島「先生ってエイズに関する本も出版されてますよね、そもそもなんで性病に興味を持たれたんですか?」

 

谷口「先に『性病』という分野に注目したわけではありませんよ。HIV陽性者がいかに差別的な扱いを受けているかを知るようになり、自分が力になりたい、と考えたのがきっかけです。HIVに関わるようになり、他の性感染症、セクシャルマイノリティへの偏見、薬物依存症、などに関心を持つようになりました」

 

大島「医療に携わるうちにHIVの現状を知ったのですね」

 

谷口「研修医の頃、タイのエイズホスピスにボランティアに行きました。当時のタイでは病院からも差別されており、強い憤りを感じました。そして、日本でもその状況は変わらないことを知るようになりました」

 

大島「ボクも前に谷口先生の病院で性病検査を受けましたよね」

 

谷口「はい」

 

大島「性病検査の結果って1週間くらいかかるから、その間ホントに不安で……正直『こんなに不安に思うのなら受けなければ良かった』って思ってしまいました」

 

谷口「『知らない方がいい』と考える気持ちは分かります。実際、検査を勧めても『まだ決心がつかないから……』と受けない人も少なくありません。これは医療に対する信頼がまだないからではないかと、僕は考えています。『検査で陽性であったとしたら、我々ができる限りのサポートをします』という気持ちが伝われば、検査を受けられるのではないかと思います」

 

大島「えー! てっきりそんなことを考えるボクが悪いのかと思ってました。先生側がそんなことを思ってくれているなんて……」

 

◆死に至る病◆

大島「じゃあ、遠慮なく聞いちゃうんですけど、ズバリ! アナルセックスでかかりやすい性病を教えてください」

 

谷口「肛門粘膜はデリケートですから、どんな性病も比較的簡単にかかります。『かかりやすい性病』を考えるよりも、『絶対に感染してはいけない性病』を考える方がいいと思います。というのは『治る病気』であれば(乱暴な言い方に聞こえるかもしれませんが)何度感染してもかまわないわけです。一方、感染すると一生つき合っていかなければならない感染症はなんとしても防がなければなりません」

 

大島「一生つき合っていかなければならない感染症?」

 

谷口「そういう意味で重要なのは3つです。1つめがHBVB型肝炎ウィルス)であり、これはワクチンで防ぐしかありません。一般的には『治ることが多い』と言われていますが、実際にはウイルスが体内から消えることはなく、ヒトの細胞に忍び込むために、将来肝炎を起こすこともあります(de novo肝炎)」

 

大島「細胞に忍び込む!? それじゃHIV(ヒト免疫不全ウィルス)とあまり大差ありませんね!」

 

谷口「HBVHIVは共に「逆転写酵素をもつウイルス」ということで共通していますね。2つめがHIVで、周知のとおりです」

 

大島「HIVコワイヨー」

 

谷口「ですから、治療にはどちらのウイルスにも逆転写酵素阻害剤を用います。3つめはHCVC型肝炎ウィルス)で、最近よく効く薬が登場していますが、やはりなんとしても感染を防ぎたいものです。HIVHCVコンドームでほぼ100%防げます」

 

大島「おや、じゃあ、ちゃんとゴムをしていれば、さほど怖がる必要はなさそうですね」

 

谷口「ただしオーラルセックスでもコンドームは必要です」

 

大島「あー、それお医者さんよく言いますけど、ぶっちゃけフェラチオやクンニまでコンドーム付けるって現実的じゃないですよね笑)お医者さんの『オーラルセックスでもコンドーム必須』って正直理想論じゃないですか?」

 

谷口「いい質問ですね。ですが、オーラルセックスでの感染は梅毒やHBVなら簡単にうつります。よって、僕はコンドームはすべきだと思います」

 

大島「言いきっちゃいますか」

 

谷口「ただ、『HBVはワクチンをうっているし、梅毒は感染しても治るでしょ。HIVHCVはオーラルセックスではほとんどうつらないんじゃないの?』という意見があり、これは間違ってはいないと思います。けれども『ほとんどうつらない』と『絶対うつらない』は違います。当院の患者さんのなかにもオーラルセックスをしてHIVに感染した人がいます」

 

大島「たしかに。可能性がほんのわずかでもあるなら、どんな未来もありえますからね。感染してしまったあとになれば、やっぱり後悔はすると思います」

 

谷口「最終的には個人の判断になりますが、先ほど挙げたこれら3つに補足すると、HAVA型肝炎ウィルス)は激症化があるのでこれもワクチンを接種した方がいいでしょう。(ただし慢性化はありません) もうひとつはHPV( ヒトパピローマウイルス)ワクチンで、肛門癌のリスクを減らせるという指摘があります。またHPVワクチンは尖圭コンジローマを防げますから、希望者は増えてきています」

 

大島「そいつらって感染力は強いんですか?」

 


谷口「感染力という意味ではヘルペスや梅毒のほうが感染力は高いですが、これらは致死的なものではありません。先に述べたように、命にかかわる3つの感染症(HBV,HIVHCVを考えるべきであり、この3つのなかではダントツでHBVが感染しやすいです」

 

◆B型肝炎◆

大島「B型肝炎ですね。どんなパターンで感染するんですか?」

 

谷口「当院で実際にあった症例ではキスだけで感染した方もいます」

 

大島「キスだけで感染!?」

 

谷口「その他、発熱と倦怠感でダウンした知人(後に急性HBV感染症であったことが判明)の自宅に訪問し看病して感染した例や、交通事故にあい、倒れている高齢者のケアをして感染(わずかな血液に触れた可能性)、友人の電気シェーバーを使って感染……」

 

大島「も、もういいです! ふぅ……そんな簡単に感染するなら、B型肝炎はもうコンドームとか云々の問題じゃないですね。そ、それで、かかったときどのような症状が起こるのでしょうか?」

 


谷口「一般に性感染症は無症状であることが多く、HIVでもHBVでも急性症状は出ないこともあります」

 

大島「でも、1回かかっちゃうと、将来肝炎を引き起こすかもしれないんですよね? 肝炎になってしまったらどうなるんですか!?」

 

谷口「劇症肝炎を起こし、感染後数か月で命を失うこともあります。慢性化すれば、長期間ウイルスが血中に残り、他人に感染させるリスクがあります。また、慢性化すれば、将来肝臓がんや肝硬変となるリスクもあります」

 

大島「ぴえー! HIV以外で死ぬ可能性のある性病があったんですね。絶対かかりたくないです! 対策方法を教えてください」

 


谷口「HBVはワクチン、HIVHCVはコンドームで防ぎます。さらにいえば、素敵な人に巡り合ったときは、性交渉をもつ前にこういった話をふたりでできれば理想です」

 

大島「好きになる人は大体信用できないから、ワクチンしかないですね! でも、お金ないです! 予防接種に保険は効きますか?」

 

谷口「HBVに限らず、日本の医療制度ではワクチンに保険適用はありません」

 

大島「ええー! マジですか。実費だといくらなんですか……?」

 

谷口「HBVワクチンの費用は医療機関によって異なります。当院では14,320です」

 

大島「安いですね! でも、他の病院では7,000円くらいでしたよ? B型肝炎の予防接種は3回通わないといけないらしいじゃないですか! 値段が上がるとワクチンを打つハードルも上がりますよぉ……」

 

谷口「日本の医療制度ではワクチンは保険適用外であり、これはどうすることもできません。我々も本当はもっと値段を安くしたいのですが、これくらいが限界です。4,320円x3回を高いと考えるか、安いと考えるか……。個人的には、必要なものと考えてもらいたいと思っています」

 

大島「まあ、死ぬよりはマシですもんね……。実際に谷口先生のところで、予防接種や性病検査に来られる方はどういった方が多いですか?」

 

谷口「HBVの予防接種は、健康に対する意識が高い人は年齢・性別・職業に関係なく希望されます。201610月に定期接種化されたことと無関係ではないと思います。現在の規則では生まれてきたばかりの赤ちゃんは無料で接種できますが、成人の場合は直接医療機関に相談することになります」

 

大島「あ、生後間もない赤ちゃんの予防接種が無料でできるってこと知らない人いるかも……。お子さんのいる方は検討されたほうが良いですね」

 

谷口「また、留学希望者もいます。通常、海外の大学はHBVワクチンを接種していないと入学できないからです。海外赴任に行く人も接種にきます。特にアジアでは地域によっては成人の2割がHBV陽性者というところもあると言われています。(90年代半ばあたりから、ほとんどの国で定期接種化されましたから、現在25歳くらいまでの人は感染者は少ないのですが、それ以上の世代であれば陽性者は多数います)。性病検査の理由は、新しいパートナーができた、危険な性行為があった、複数のパートナーがいるので定期的に、など様々です」

 

◆医療の現場とカミングアウト◆

大島「でもなー、お医者さんに『アナルセックスしたので心配です』なんて言いにくい人も多いんじゃないですか? さっき他の病院にB型肝炎の予防接種について問い合わせたら『なんで医療従事者でもないのにB型肝炎の予防接種が必要なんですか?』って聞かれちゃいましたよ?」

 

谷口「極めて特殊な医療機関だと思います。先に述べたようにすでにHBVは定期接種化されていますから、誰もがうたねばならないワクチンと認識されています。当院でもHBVワクチン希望者には理由を尋ねますが、最近は『誰もがうつべきワクチンなんですよね』とコメントする人が増えてきています。『その通りです』と僕は答えています」

 

大島「そう言えば良かったのかー! 思いっきり『アナルセックスしてるからです!』って言っちゃいました……」

 

谷口「おそらくその医療機関には、留学生も海外赴任者も受診していないのでしょう。尚、セクシャリティをカムアウトするのは、医師を信頼できるようになってからでOKです」

 

大島「でもでも! 前にお医者さんが自分のHP『肛門は性行為に使う場所ではない』という見解を述べている人がいましたよ? 言ったら引いちゃうお医者さんもいるんじゃないですか? 谷口先生はアナルセックスについてどう思いますか?」

谷口「このような見解をもつ医療者は少数だと思います。『肛門はそういうことに使う場所でない』というなら、『セックスは妊娠のためのものだからコンドームを使ってはいけない』『オーラルセックス禁止』ということになってしまいます(と僕は思います)。セックスをどう楽しもうが個人の自由です。そんな「見解」は相手にしなければいいと思います」

 

大島「お医者さんからのこういった言葉はとても心強いと思います。ちなみに先生は不特定多数との性行為について、どう思いますか!?」

 

谷口「個人としては、相手が同性であろうが異性であろうが、ふたりで仲睦まじく暮らすのが一番いいと思っています。医師としては、この考えを他人に強制することはできないと思っています。ただ、不特定多数とのフリーセックスを楽しむ前に、正しい知識を持ってもらいたいと考えています。HBVワクチンはその最たる例です」

 

大島「ボクも不特定多数とヤる前に、まずはHBVワクチンだな~。でも、『正しい知識を』って言っても、そもそもアナルセックスや同性とのセックスに関して、各分野で研究やデータ収集が進められていないと感じるんですよね。そこらへん、医学界とかでアナルセックスの意見交換とかされてるんですか?」

 

谷口「僕の知る限りほとんどないと思います。しかし異性愛についての意見交換も特にありません。個人的な意見を言えば、医学的に性愛に関与すべきなのは、性感染症、性依存症、性被害(後遺症も含めて)くらいであり、それ以外のことは口出しすべきでないと思っています」

 

大島「そっかぁ~。事実のみを判断して、正しい・正しくないを強制するわけでもないんですね。なんだか救われた気持ちになります! 最後にここまで読んでも、まだ『検査を受けるのが怖い。知りたくない』と思っている人に、なにか伝えられることはありますか?」

谷口「決心がついたらいつでも相談に来てね!」

 

行きます!!

ということで、次回のコラムでは実際にボクが予防接種に行ってくるぞ!

 2017/02/21 11:00    Comment  コラム   B型肝炎  予防接種         2      
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