ゲイ+子ども=エゴイストなの?

エゴイスト……自分の持つ快楽や煩悩だけを追求し生きる人のこと。利己主義者とも言う。

 

エゴイストという言葉自体がもう日本語として通用してしまう為、さてエゴイストとは?とふと考えると、いまいちピンとこないのは私の日本語力が低いからだろうか。とても簡単かつシンプルな言葉で表すと、つまりワガママな人のこと。

 

しかしエゴイストは特に、単なる面倒臭いワガママ人間を越えて、他人に迷惑をかけて人の痛みを分かち合えない自己中人間のことを指す。

 

さて、私が何故エゴイストの語源について疑問投げかけたかと言うと、それは私と伴侶ホセがエゴイストであるからである。自分に自信のない人間が自分を卑下することは簡単だが、そこそこ気の知れた同僚や仲間にエゴイストと言われると、やっぱり戸惑いを隠せない……というか泣きたくなる。

 

・人に極力迷惑をかけない。 

・ゴメンナサイとアリガトウをちゃんと言える人間になる。

・嫌なこと、汚いことも率先して行動に移す。

 

異国の地で生きる外国人が故、上記の点には特に留意して生きているつもりだし、職場でもそれはそれは仲間達と和気あいあいと職務をこなしている。しかしそんな私に投げつけられた一言、それが件のエゴイストなのだ。

 

Eres un poco Egoista ,verdad??「ちょっと、あんたエゴイストじゃない?」

 

全く持って想像もしていなかった同僚の衝撃の一言に撃沈。何故私がエゴイスト化したのかと言うと、私達夫婦(夫夫)が代理母出産で子どもを熱望していることを知ったから。噂好きのスペイン人女子にとって、私達のプライベートや赤面エロトークに勝るオカズは存在しえない。何かあるごとに私の旦那ホセのことを聞きたがる、年齢、セックス、趣味、そして子どものこと……。

 

同僚Aが噛みついたのは、やっぱり子どもについて。代理母出産でしか子どもをもうけられない(友人女性やレズビアンと協力して子どもを出産等の例外は排除。)ゲイは、逆立ちしても自力での妊娠は不可能。だからこそ商業的代理出産なるビジネスが軒を連ね、そしてゲイがそこに群がるのは言うまでもない。断っておくが、ここで代理母出産の賛否について、ああだこうだ意見するつもりは毛頭ない。

 

ただ子どもを望む人間がお金を払って、女性を妊娠マシーンのように扱うことに嫌悪を示すことは一定の理解ができる。命をかけた出産を、今はやりのLGBTビジネスの一環として捉える事は、やはりゲイ当事者としてもどうなるものか? と疑問に思うのも事実。

 

私達夫婦(夫夫)も代理母出産を巡る母体への負担や影響、そして倫理観も十分認知しているつもりだ。しかしゲイやレズビアン以外にも代理母出産を経て子どもを授かりたいと願う異性愛者は五万といる。はたして彼らにとっても、代理母出産はエゴイストになりえるのだろうか?彼女の言葉から私が感じたことは、

 

ゲイが自分の欲望の為に子どもを持つことはエゴ。

 

そして

 

女性の身体を孵卵機と考えているのか、コノヤロー。

 

ゲイは生涯において自分の遺伝子を受け継いだ子どもに囲まれてはいけないのか?和気あいあいと食卓を囲み、子どもと共に一日の出来事を振り返ってみてはいけないのか?そして人生最後の日に、子どもに看取られて長いWinding Roadの終着点に腰をかけてはならないのだろうか?

 

女性としての率直な意見、異性愛者としての価値観から出た言葉、それがエゴイストの5文字。私は彼女の意見に対抗出来る言葉を捻出できず、拙いスペイン語で私の考えをぶつけるしか出来なかった。

 

ゲイが子どもを欲しがること、代理母で子どもをもうけること。この事象だけで何千、何万という意見が交差するであろう、とても多難で繊細なゲイの家族観。お金持ちだけが代理母を利用して子どもを育てる、大金持ちの歌手に有名人だけが貧しい国の子どもと養子縁組をする。

 

経済力がなければ子どもを持つことが出来なくなった昨今、そこに飛び込んできた新たな火種はデリケート過ぎる性の多様性。ノンケにゲイの苦悩の何がわかるのよ! キー! と怒り狂いそれだけで片づけられたらどんなに楽だろう……しばし言葉は鋭い凶器となって人の心を傷つける。同僚Aがふと発したその一言は、私の頭を堂々巡りしながら、良心の呵責と倫理観を狂わせる。

 

「ネエネエ、この赤ちゃんの服可愛いよね?」

 

私の隣で無邪気に子ども服を眺める旦那も、果たしてエゴイストなのか。女性の生殖機能を金で借り、そして自己満足を埋めるものが念願の子どもなのだろうか? 私にはまだ分からない、エゴイズムと切望の境界線というものが。だけどきっと、こんなにも母性に溢れた旦那に育まれた子どもがいたのなら。きっとそれは性を越えた本当の家族愛なんだろう。

Top