第49回 悪女になるなら月夜はおよしよ素直になりすぎる

菅野美穂ちゃんがついに結婚…!

てか菅野ちゃんて、今でこそ王道に近いキャラでの連ドラ主演も多いですが、本来は悪役やヘン役でこそ魅力がひきたつ性格俳優さんですよね。

『恋の奇跡』での、デブメイクで話題を作ったはずの主演・葉月里緒奈を完全に食ってしまった、悪役っぷり。
『週末婚スペシャル』の、「女はメシと体だぁ!」と強気に笑う田舎娘。
『里見八犬伝』の悪女、玉梓。
そしてホラー映画『富江』では、演技とはいえ、笑いながら本物のゴキブリを素手で掴んでましたもん。

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綾瀬はるかちゃんら昨今の「いい人」系若手人気女優には何の恨みもないですけど、アタシは悪女を嬉々として演じられる女優さんじゃないと惚れられないのよね。
(まじめに頑張って悪女を演じてる仲間由紀恵ちゃんも嫌いじゃないけど)
というわけで昔から大好きでした。菅野ちゃんおめでとう。
さすが、しっかりいいオトコ選んでるわ。

とまぁ、人間じゃないイグアナの娘さんだって結婚しちゃう中、(設定、設定)

オバザレ(当連載)の第45回でもお伝えした、フランスの同性婚問題
パリで大規模な同性婚反対デモ、数十人を逮捕

一枚目の写真だけ見ると、ピンクとか水色とかの旗がシャンゼリゼ通りにひしめき合ってて、むしろLGBTパレードやってるみたいな絵だけど、
これ、同性婚合法化法案に反対する抗議デモなんですね。

ちなみにこのデモ、警察の推計では約30万人が参加。主催団体は参加者が140万人に達したと主張しているそうです。110万人も水増しってけっこう図々しいわね。

にしても、30万人がわざわざ集まって「同性愛のやつらに結婚なんてさせるな!」ってデモするって……そしてそのせいで逮捕されたり、催涙ガスまかれたりするってなんかすごい。
アタシにも、世の中の「こんなのイヤだわ~」って流れはそれなりにあるけど、催涙ガスとか逮捕覚悟で闘おうと思うって、よっぽどよね。そこまでして、他人を結婚させたくないっていうなら、ある意味あっぱれよ。

でも、失業率が増加してるせいか、横断幕に「われわれに必要なのは同性婚ではなく仕事だ」とかあったっていうし、なんつーか、日々の生活の不満を、他の理由にすり替えてらっしゃる気もしないでもない。同性婚が許されたら、ますます仕事が減るってわけでもないでしょうに。

こういうのを見るにつけ、「金持ち喧嘩せず」ということわざは、いやらしいけれど、なるほどなーと思うわけです。

ちょっと前の中国での反日デモの時も、その参加者のほとんどが労働者でした。経営者になってあぶく銭を稼いでた層は、民衆の不満を他にそらしておく姑息なやり方は、やりすぎると自分たちまで困るってことを思い知ったりもしたわけです。

結局、「他者に寛容でいられるかどうか」というのは、「自分自身の不幸や不快感を、他者のせいだと思うかどうか」ということと、つながってるのよね。

たとえばアタシが、オトコに約束をすっぽかされて一人ぼっちで2丁目のカフェにいたとします。(フィクションよ)
その斜め向かいあたりに、チャラくて若いゲイカップルが、「ハイ、あ~ん」とかイチャイチャしながら騒いでたとしたら、
多分、目を合わさないままに脳内で「早く別れろ早く別れろ」と唱えると思うんです。

自分とは立場の違う他人を、今より幸せにしてあげよう、生きやすくなってもらおう、なんていう社会的変化は、他人が友達か、もしくは自分が先に幸せでないと、なかなか許せないものなんじゃないでしょうか。

でも、実は「金持ち喧嘩せず」ってのは、余裕があるから他人にも寛容でいられるっていう優しげな意味だけではなく、「喧嘩になると結局は自分の損になるから、しないようにする」という、したたかな意味もあるんですよね。

基本的に、武器商人でもない限り、争いはお互いの消耗を呼ぶことのほうが多いので、自分の不満を他人への憎しみにすり替えたところで、じゃあ結果、その本人が心穏やかに幸せになれるかっていうと、たいていはそうじゃない。
カフェの幸せなバカップルに毒づいたアタシは、そんなだからますます約束をすっぽかされるような魅力ないオカマになっていくだろうし、他人の幸せを許さないと叫んだ失業者さんの顔は、ますます面接で落とされる険のあるものになったりするんじゃないかしら。

本当に重要なのは資産の金持ちではなく、心の金持ちだと思うので、景気が良くなれば人の心が寛容になるとも限らないけれど、「何かを許せない自分の感情」というものの理由を考える価値は多いにあると思います。

世界じゅうが、人の自由や権利を認める認めないで揺れ動く中、まずは自分自身がどれだけ他人様のソレをどう受け止められているのかを、振り返っておかないとね。

そりゃね、
他人を不幸に陥れる悪女、呪いの言葉をわめくキチ○イ女を、演じられる女優さんこそ、大好きなのは本当よ。
でも、リアルな人生で、ネタじゃなく本心から自分がそうなってしまうことを望んでる人っているのかしら?

この世から、不満が無くなることなんて絶対にないけれど、それを他人の幸せを否定することで解消しようってのは、負の感情の吐き出し方として、やっぱり貧しいしダサい。

心のエグみって、スクリーンや舞台の中、歌ってる間、ヤッてる間とかに、過剰に悪やキチ○イを演じたりしてアク抜きするほうが平和なのになー、と思うんです。
(とシモネタショーやアヘ顔セックスを肯定)

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他人を許せない人は、きっと自分も許せない。

って、自分で書いといて、耳が痛いわ…。嗚呼。

悪女になるなら
裸足で夜明けの電車で泣いてから
涙ぽろぽろ ぽろぽろ
流れて涸れてから

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