対談インタビュー:DJ JURIさん(アーティスト)

キムビアンカ(以下キムビ):よろしくおねがいします!今回はアタシ達の馴れ初めから話しちゃおうと思います!(笑)

DJ JURI (以下JURI) :よろしくおねがいします。キムビとの出会いは横浜の大箱クラブのイベントで。確か98年位だったよね。

キムビ:昔の横浜HEAVENだよね。懐かしいわー!あのイベントにアタシはダンサーとして出演していて、JURIがDJプレイしていたんだよね。

JURI:あの当時は生音のパーカッションが入ったGARAGE HOUSEとダンスクラシックスが好きでよくかけてたなあ。

キムビ:JURIのかける音のグルーブがネイティブな感じで聞いた瞬間にテンションが上がって、アタシ一人でブースの前まで行って踊り狂っちゃった。それで「すごいかっこ良いですね!」とか言って、プレイの後に声をかけに行ったんだよね。もう若さ丸出し!(笑)

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JURI:その後はキムビからお花見に誘ってくれて一緒に遊んだり、今はなき六本木のRホールで主催した私の音楽イベントにシンガーとして出演してもらったりしたよね!

キムビ:ひゃー。シンガー活動の一番始めの頃。あたしの黒歴史を知られてる。。。(笑)出会った当時のJURIはポケットモンキーを飼っていて、実際にDJ中にそのサルを肩に乗っけていたっていう。
だからJURIとの出会いはその音だけではなく、色んな意味で衝撃だったわ。(笑)JURIは良い意味で女っぽくない骨太のサウンドを聴かせてくれるDJ、そしてこれも良い意味で日本人離れした雰囲気でかっこ良い女の子だなっていう印象を持ってたよ。

JURI:ありがとう。そう、あの当時はサルを肩に乗っけてドレッドにジャージに下駄姿でDJしてたりした。(笑)

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キムビ:その後お互いの道を突き進んで行く中で会えないながらもイベントフライヤーで名前を見かけたり、数年に一回はいきなりバッタリ会ったりで不思議な縁だよね。

JURI:そうだね、実は常にお互いの活動の節目で会えてるんだよね!

キムビ:ね。いろいろ廻り廻って今は本当によく2丁目で会うよね、嬉しいね!

-唯一無二のスタイル「太鼓DUB」でベルリンプライドに出演「ダンスミュージックの最先端が知りたかった」-
キムビ:JURIが創りだしたオリジナリティあふれるジャンル“太鼓DUB”はとても力強くてジャパネスクな印象を受けるので、これは日本人のみならず海外の人たちにウケると思うんだよね。

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JURI:ありがとう。「DUB」ってレゲエのダブって思われるけど、元々は「空間」という意味なのね。私は“太鼓の空間”が好きだから太鼓の音をDJでかけるし、そのうち自分で生で叩いちゃうまでになったんだ。

キムビ:この6月に開催されたベルリンプライド2012に参加した経緯を教えてもらえる?

JURI:実はベルリンプライドには2年連続で出演させてもらっているのね。ベルリンに行こうと思い立ったのは去年2011年の震災前のタイミングに数か月間ブルックリンに滞在していた時なんだ。当時ベルリンには友達も居ないし、もちろんベルリンプライドに人脈もなかったんだけど、「ニューヨークはダンスミュージック原点」のベルリンは「ダンスミュージックの最先端」と言われているのね。その両方を知りたいと思ったの。

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キムビ:なるほど。ニューヨークではどんなパーティーに出演していたの?

JURI:ブルックリンでやってる一番大きいゲイミックスのパーティーで「That’s My JAM」というパーティーがあって、ちょうど去年もベルリンに行く前に出演したんだけど、実はその時足を骨折してたんだよね。(笑)

キムビ:え!まさか骨折してるのにライブで太鼓叩いたの?そこからベルリンに!?

JURI:そう。実は4月の誕生日の時にクロックスで思いっきり走って転んで骨折しちゃって。(笑)でもあきらめるわけにはいかないって決めて、その後ベルリンに飛んだんだ。

キムビ:少年か!(笑)そんな過酷な状況で、どうやってベルリンプライドに出演するまでに至ったのか教えて?

JURI:ベルリンに一人で降り立った時はまだベルリンプライドについても詳しく知らなくて、会話したのはタクシーの運転手さんと、病院の通訳さん位だったの。でもどうしてもクラブに行ったりパフォーマンスしたくてたまらなくて。よく病院に行く時に頼んでいたタクシーの運転手さんに自分の思いを話したら、その人がお友達のJazzシンガーの女の子に繋げてくれたのね。

キムビ:凄い行動力!物は試しというけれど、話してみるもんだね!(笑)

JURI:そこからJazzシンガーの女の子と仲良くなって、イベントに誘ってくれたので、ギプスだったけど太鼓を持ってそのイベントに行ったの。(笑)そのイベントは、工場の跡地で様々なアーティスト達が48時間寝泊まりしながら色々なショーが繰り広げるっていうアートキャンプのようなイベントで、私はそこで決まった時間に合計6回太鼓のソロ演奏をしたの。その時も“パフォーマンスしたい?”“やりたい!”そんなシンプルな感じで即決定。(笑)現地のアーティスト達と知り合い仲良くなっていくうちに、太鼓で人と繋がっていけるっていう自信がついてきたんだよね。後日とあるカフェでベルリンプライドのフライヤーを見つけて、これは出たい!と思った。でも関係者に知り合いは居ないから、ネットで詳細を調べてレズビアンイベント「girltoxic」のオーガナイザーに直接電話した。(笑)

キムビ:サムライだ!

JURI:片言の英語で自分の経歴を話して“私はベルリンのLGBTシーンを感じたい!太鼓でエナジーを伝えたい!”と伝えたら、“面白い!”と反応してくれて。そこから早速メールでプロフィールを送って。開催直前だったのにインターナショナルDJの枠に入れてもらえたんだ。

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-ヨーロッパ最大規模のベルリンプライドで体感したLGBT先進国の空気-
キムビ:素晴らしく痛快!JURIらしい熱い話だね。実際に体感したベルリンプライドはどうだった?

JURI:イベントの前に盛大なボートトリップに参加したの。
かつてベルリンを東と西に分けていた壁が建っていた、歴史ある大きな川が会場になっていて、その川を各セクシャリティごとに分かれて船に乗って移動していくんだけど、ヨーロッパ内外から観光客として来ている人達も川岸から手を振って盛り上げてくれたり、とにかく明るくて晴れやかなんだ。船の中の人達も周りの人達も、みんなが超ピースな空気で感動だった。

キムビ:聞いているだけで感動するね。そんな大きなスケールの中でパフォーマンスするなんて、もっと感動しそう!

JURI:実は飛び入り状態でパレード会場でプレイしたんだけど、
「ちょとやってみる?」位のノリでオーガナイザーに連れて行かれたステージが会場のメインステージで、超ビックリしたんだ。てっきり沿道にあるブースみたいな場所でプレイするのかと思っていたら、一番広い会場に置かれていた大きなトラックの上に組まれたステージの方だった!(笑)大きな野外フェスのような状況の中で「 Syamimsen No Utage」もかけたりして、すごく楽しくデビュープレイをさせてもらったの。

-ベルリンプライドofficialレズビアンイベント「girltoxic」に見る日本のレズビアンシーンとの違い-
JURI:その夜に「girltoxic」に出演したんだけど、太鼓も叩かせてもらったしDJセットもさせてもらえた。実は足を折ってたことは隠してプレゼンしていたから、ギプス姿で現れた私にオーガナイザーも初めは驚いてたんだけど、逆にそれをMC紹介の時にしゃべって盛り上げてくれて、会場が沸いたんだ!(笑)

キムビ:さすがJURIだね。(笑)日本のレズビアンイベントシーンとの違いはどんな所かな?

JURI:まずベルリンで知り合ったタクシー運転手さんだとかアートイベントで知り合ったみんなに「レズビアンパーティー」でプレイすると話したんだけど、みんな何の抵抗もなく“良かったね、いつ?”みたいなオープンな感じ。偏見がないんだよね。あとはベルリンプライドのオフィシャルであるこのイベントは、堂々と「レズビアンパーティー」と銘打ってる所。日本では「ウーマンオンリー」とか言うでしょう?その感覚が全然違うよね。実際会場内も2000人以上の女性達で超盛り上がっていて、同性婚が出来ることもあっておばあちゃん同士のカップルも愉しそうに踊ってるんだよね。年齢なんかも関係なくて、みんな恋愛も自由にしているの。その上でノンケとかレズビアンとかいったセクシャリティの部分があるのね。そんな様子が、セクシャリティが違ったって、他は何にも変わらないじゃん!て思わせてくれる。アーティストにしても、「これしかできません」ていうスタンスじゃなくて、みんな色んな事が出来る。踊ることも出来るし、絵を描くことも出来る、だから「出来ることを提供し合って一緒に何かを創り出していこう」としている雰囲気。そこが良い。一般の人達にしても生活の中に音楽が自然にある。ちょっとスタバ行ってくるって感覚でクラブに行って踊る感覚なのね。

キムビ:なるほど。違いがいろいろあるね。例えば日本では終電があったりして大人が夜遊びしずらい感じもあるけど。交通手段に関してはどんな感じなの?

JURI:もちろんタクシーや一般の交通機関もあるんだけど、ドイツは自転車文化で、歩道以外に自転車専用の道や信号まであるのね。だから大体みんな夜踊りに行くのも自転車なんだ。みんなとってもアクティブな生き方をして、まず人生を愉しんでるんだよね。週末のクラブイベントにしても23:59オープンていう告知があったりして、そういうパーティーは翌日の夜までやってるから、みんな途中で一旦家に帰ってシャワー浴びてごはん食べて、また戻って来て遊ぶんだ。

-「同性婚」について。同性婚が認められている国、そうでない国のゲイタウン事情と新宿2丁目。-
キムビ:オバマ大統領の「同性婚支持発言(※1)」も記憶に新しい所だけど、どう感じてる?

JURI:同性婚は良いと思ってる。自分が好きになる人が異性であっても同性であっても、何が問題があるのかが解らない。色々な国のLGBTイベントでパフォーマンスしたり、その土地で様々な人と知り合ってきたけど、セクシャリティが結婚の障害になることの意味が解らないって感じ。

キムビ:同感。セクシャリティって肌の色、髪の色、目の色が違うっていうのと変わらないその人の個性の一部だと思う。
ベルリンを始めとした「同性婚」が認められている国のゲイタウンってどんな感じ?

JURI:例えばニューヨーク(※2)のチェルシーはゲイタウンとして知られているけれど、実際に行くと2丁目みたいにゲイバーが密集していないの。夜になると集まって来る感じで、やはりいまだに差別もある気がする。それに対してベルリンは普通に様々なセクシャリティが共存している感じなので、特にゲイタウンという括りはないんだ。

キムビ:なるほど、ドイツ(※3)はLGBT先進国だね。それに対して新宿2丁目は世界で他に類を見ないゲイタウンと言われてる。とてもオリジナルな街なんだね。

JURI:そうだね。こんなに一か所に密集してるっていうのは日本だけだね。オーストラリア(※4)のシドニーにあるオックスフォードストリートっていう2丁目みたいな雰囲気のゲイタウンでは、日頃から通りの各電柱にレインボーフラッグが掲げられてるの。そういう場所なのに数年前もひどい事件が起きたのね。あるゲイカップルが歩いていたらいきなり襲われて、片方の人が瀕死状態になった。その数年後に瀕死状態から生還した姿でパレードに参加したのが話題になったの。

キムビ:ひどい事件だね。。。

JURI:そんな事件もあって、オックスフォードストリートのバス停などには「ダイク(※5)」とか差別用語を言われたり、何か危険に晒されたりしたらここに電話して。と書いている大きな看板もあるんだ。
LGBTにとっての緊急事態に助けてくれるような情報も提示されているのは日本と大きく違う部分かな。

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キムビ:欧米に比べると日本の新宿2丁目は安全なんだろうね。国によってゲイタウン事情はそれぞれなんだね。ベルリンプライドの関係者などに日本の事情に関して聞かれたりはした?

JURI:色々聞かれたよ。まず原発のこと。そして2丁目内外のLGBTイベントのこと。
ベルリンプライドのイベントと日本のイベントシーンとの違いがあって、私が出演した「girltoxic」では、お客さんで来ている若い女の子が自分達でやっているもっと小規模のレズビアンイベントのフライヤーを自由に撒いてるのね。日本ではそういう自由さはない。フライヤーを撒くのも主催者に挨拶して許可を取ってからだし、出演者に声をかけて自由にオファーするのは難しい。実際にその状況を見た時に思わずオーガナイザーに、こんな自由な感じで大丈夫なのか?って聞いた位。(笑)

キムビ:それはイベントを主催したり、出演する側ならではのエピソードだね。確かに、アタシでも一言聞いちゃうかも。それに対してオーガナイザーは何て言ってたの?

JURI:「ノープロブレム!」だって。みんなそうやっているんだから問題ないんだよって。考え方がデカい!良いアイデアは取り入れて、みんなでシーンを盛り上げて行こう!っていう空気が素敵だった。

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キムビ:イベントだけではなく日本のジョービズ自体がベルリンプライドのそれとは大きく違うんだろうね。

JURI:そうかも。シンプルにこの日本でもベルリンスタイルを取り入れられたら、もっと楽しいのに!と思った。

-これからの展望「日本の女の子のイベントシーンを盛り上げて行きたい」-
キムビ:そうだね、国単位で一丸となったプライドを実現するには、各国の様々な良い所を取り入れる必要もあるかもしれないね。JURIの目標は?やはりみんなで協力し合って仲良く日本のレズビアンイベントを盛り上げて行きたいっていう想いもあるのかな?

JURI:そういう想いはある。実はこの8/30(木)に映像&グラフィックデザイナーのTB3とオープンさせるこの「A-UN」ていうBarも、私達だから出来ることがあるのであればやりたいって思っていた中で、お世話になっている2丁目の方のご紹介でこの物件に出会って、様々なタイミングが重なって実現しようと決めたこと。
ベルリンに居た時に「girltoxic」オーガナイザーサイドにもBarをやる話をしたらとても喜んで聞いてくれて。日本の新宿2丁目のこのお店とベルリンとを繋げて行こうという話で盛り上がった。まずこのBarが色々な人と人とを繋げて行く拠点のような場所になれば良いと思ってる。だから自分の勝手な思いつきっていうよりも、何かに導かれてタイミングが揃って、Barを作ることになった感じ。
このBarでは「girltoxic」を始めとしたベルリンのLGBTシーンと積極的に情報交換しながら、相互に高め合って行こうと思ってる。そして必ず来年のベルリンプライドには、一人でも多くの日本の友達やアーティストなどを連れて行きたい。同性婚にしてもそうだけど、進んだ国の様子を実際に体感すれば、何かが開けたり希望が持てたりすると思う。もうこれは今私がやらなきゃいけない、って誰かに言われてるような気がしてる。「A-UN」では今後バックアップアーティストのプロデュースも行いながら、才能ある様々なそのアーティスト達と共に活動を広げていくので、そちらも楽しみにしていて下さい!

キムビ:わかるわ。天命が下ったみたいな感じなんだろうね。

JURI:そう!女の子シーンを盛り上げていきたい。

キムビ:ちなみにこのお店には男の子も入れるの?

JURI:入れるよ。でも若干料金が違うので詳細を見て下さい。(笑)
このBarはセクシャリティで区切ることもしないし、2丁目の中だけでの出会いはもちろん私が2丁目以外で仲良くしているアーティストや友達と、2丁目の人とを繋げるような場所にしたい。みんなを紹介し合って、何か新しいことをやろうっていう拠点。Barのママを務めるのはMC KHALAっていう黒人女性ラッパーなんだけど、彼女も音楽の人だから単にママをやるだけじゃなく彼女自身もここから何かを発信していく感じだね。良い感じのビッグママさんだよ。

キムビ:すごく音楽的で楽しそうなお店になりそうだね。2丁目では珍しい感じのBarだから話題になりそう。じゃあ年内は海外へ行くよりかまずはBarの方に集中する感じ?

JURI:まずは色々な方々にこのBar「A-UN」を知ってもらうこと、そして人と人を紹介して、来年になってからベルリンだね!

キムビ:最後に2CHOPOを見ているみなさんにメッセージをどうぞ。

JURI:2CHOPOを見ているみなさんの中で、もしかしたら自分のセクシャリティや、自分がこれからどんな人生を生きるのかということで悩んでいる人も居ると思う。もちろん日本で生きても、海外で生きても良いし、色んな選択肢がある。そんな多くの選択肢の中で自分はこう生きて行くっていう道を選び取るきっかけになるような場所にしたいと思っているので、みなさんぜひDJ&VJ Bar「A-UN」にお越し下さい。

キムビ:今日はありがとうございました!

JURI:ありがとうございました!

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※1 2012年5月にオバマ米大統領がABCテレビのインタビューで「同性婚支持」を表明。インタビューの中で、「私は同性のカップルも結婚できるようにすべきだと考えている。この考えをあえて表明する事は、個人的に重要だとの結論に至った」と語っている。

※2 ニューヨーク州では2011年6月下旬に同性婚合法化法案が成立した。

※3 ドイツでは2001年に登録制パートナーシップ制度を適用開始しており、結婚と似た「法的に承認されたパートナーシップ関係」が認められている。

※4 オーストラリアでは近年同性婚を実現させることを求める運動が活発に行われているが、いまだ合法化には至っていない。

※5 Dyke(ダイク)は英語圏で普及している言葉。“レズビアン”がどこか古めかしく柔らかいイメージの女性の同性愛者を呼ぶ感覚なのに対し、Dykeはよりタフで自分を主張する事が出来るような女性の同性愛者を指す新しい呼び方とされるが、言葉自体は英語のスラングであり差別用語である。近年では差別用語であることを逆手に取って自分をDykeと言う欧米女性もあり、単に性的な嗜好だけではなくそのライフスタイルをも含む言葉であるといわれている。

◆Infomation◆

DJ & VJ Bar A-UN

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2012/8/30(Thu)-9/2(Sun.)
Grand Opening Party!!!

Tel 07066129014
東京都新宿区新宿2-14-16 タラクビル3F

Twitter:
@bar_aun_
@DJ_JURI
@TB3

A-UN HP: http://a-un.bz/

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