「伝説のおかま」東郷健死去。世の中に残した爪痕と、個人的に残ったちっぽけな爪痕を見比べてため息

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<「伝説のおかま」東郷健さまが4/1に死去、死因はたぶん多臓器癌>みたいなニュースが入って参りました。ぜーんぜん報道されていないのでふわっとした情報で恐縮ですが(一番マジっぽいソースは知人の方のTwitter、という…)、どうやら亡くなったことは本当のようです。あんまり濃い人なので、死んだのがデマに感じるくらいですが。

さて、たぶん東郷健さんのことを知らない人がちょーーーー多いと思いますので、
恒例として、わたくしがとてもライトかつざっくりと説明します。

1)「おかまの東郷健」として政治活動、幾度となく都知事選や参院選に出馬
カミングアウトゲイ政治家の始祖(当選回数はゼロながら……)

2)日本で始めてブロイラーの養殖をはじめる
→現在も出身地加古川の地場産業に→ブロイラー産業の始祖

3)陰毛が出ちゃってる本で何度も逮捕
→「猥褻」の意味をめぐり、検察に勝利→ヘアヌードの始祖

などなど、驚くほどのシソシソっぷり。
他にも、銀行員時代に不倫をしていた上司が、実は元宝塚女優だった元某大臣のお父様だったとか、某歌手(元祖三人娘)があからさまにゲイだという噂のあるイケメン俳優と結婚しちゃって「旦那が抱いてくれないから、いっそオマンコを取ってしまいたい」と泣きついてきたとか、海外旅行が珍しい時代に渡米し資金が底を尽き、田中角栄に100万円貰って帰国したとか……伝説系エピソードの数々は枚挙に暇がありません。
(もっと楽しい情報を知りたい人はwikipediaを読んでみたり、吉田豪さんの「続・人間コク宝」なんかを読むのがおすすめです)

そう、彼がいなければ、宮沢りえも菅野美穂も藤田朋子もモっくんも、毛が出せなかったような人なのです。OH! Santa Fe……(言いたいだけ

あのとっても有名な選挙演説

を見ると、最近で言う「マック赤坂」的な泡沫候補っぽく見えますが、彼はものっすごい本気(すみません、マック赤坂もきっと本気ですよね…)で、どこまでも「人が人を愛することのどこが恥ずかしいのか」というまっすぐなメッセージを貫いていることがわかります。しかし、基本的にやることなすことすべて、精液と血と糞尿の匂いがするような不器用な感じだったので、受け入れられづらいところも多分にあったかと思いますが、そんな「キレイごと」を徹底的に嫌った人だったんですね。たぶんね。

さて、東郷さんと私といえば、二回接触する機会がありました。
一度目はワタリウム美術館での特別公演。夜のイベントで、酒を飲んでいた東郷さんは、どんなに司会進行ががんばってもガン無視で、何度も何度も何度も何度も同じ話をかますという伝説っぷりを披露。
せっかくだし一緒に写真を撮ってもらったのですが、季節は夏で、汗の匂いをくんかくんか嗅がれた気がします。やだ、下手したら伝説に抱かれてたかも……。

そして二度目は取材。東郷さんといえば、かつて新宿二丁目で「サタデイ」というゲイバーを経営し、酔っ払った客を脱がしてイカせちゃう→自ら編集長を務める雑誌のグラビア「ザ・ゲイ」に「ある夜のハプニング」として毎号ほぼ無修正で掲載、という敏腕すぎるママぶり&編集者ぶりが界隈では有名でしたが(脱げば誰でもいいのか、というようなびっくり人選も個人的には気になります)、晩年はゴールデン街にて「Bar 東郷健」というゲイバーを経営しておられました(2011年閉店)。

私は一度だけ、そのゴールデン街のお店の取材をさせてもらったことがあります。ご年配ゆえの話の長さを除いては、とても興味深いエピソードが次々と飛び出す有意義な取材だったのですが、事件は取材後に起こります。

平日の夜中に突然の電話。ディスプレイを見れば「東郷健」の文字……。
原稿を提出した後だったので「すわ、書き直し!?」とビビって出ると、電話の向こうは東郷さんではありません。

「そっちから着信があったから東郷の代理でかけてるんだけど」。
私は取材設定と原稿確認の時にしか電話をしていないので、ちょっと前の着信履歴が残ったのかな?というくらいの気持ちで「いえ、おかけしてませんよー」と言ったのですが、急にキレられました。

わけもわからず平謝りでその日はおさめるも、その後、そういう着信が何度も……これではまるで「毎夜のハプニング」です。
たぶんあの泥酔時の壊れかけのレディオヘッドぶりからいって、深酒するたび「なんか変な番号からかかってきてますのや」と知人になんとかしてもらおうとしたのではないか、と思いますが、平日の夜中に知らないおっさんから電話がかかってくるのは生娘にはとても怖いことで、その雑誌が発売されたしばらく後、私はオトナになって初めて「着信拒否」を設定、やっと静かな夜が訪れたのでした……。

という懺悔をこの場をお借りしてさせていただきました。特にオチはありません。
皆さんにおかれましては伝説にはくれぐれも優しくするようにお願いします。

東郷さんお疲れ様でした。

 2012/05/03 00:00    Comment  コラム   東郷健              
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