エスム、「雀のお宿」に行く

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意外に思う人もいるかもしれないけど、アタシはかなりのお風呂好き。
うちはユニットバスなんだけど、シャワーだけだと全然「身体を洗った」気がしないので、夏でも必ずお湯を張り、毎日30分は湯船に浸かっているの(誰も得しない情報)。

そんなアタシにとって、秋冬の大きな楽しみの一つが「温泉」。
この11月だけですでに2回、泊まりがけで温泉に行っちまったんだけど……。
中でも、11月の頭に友だちカップルと一緒に行った、G県I温泉のホテルは、いろいろな意味で面白かったわ。

まず、何よりも興味深かったのが、そのホテルの「雀のお宿」推しっぷり。
実はそのホテルがある場所は、昔話「舌切雀」の舞台だったらしいの!

「舌切雀」ってのは
「昔むかし、ある爺さんが一羽の雀を、山から家に連れ帰った。
しかしその雀が、婆さんの洗濯糊を食べてしまった。
怒った婆さんは、雀の舌を鋏で切って追いだした。
爺さんは雀を探しに行き、雀のお宿にたどりついた。
盛大なもてなしをうけた爺さんが帰ろうとした時、雀が『大きなつづらと小さなつづら、どちらか好きな方をお土産に差し上げます。でも、家に帰るまで開けないでください』と言った。
爺さんが小さなつづらを持ち帰り、家で開けると、中から金銀財宝が出てきた。
それを見た婆さんも雀のお宿へ行き、無理矢理大きなつづらをふんだくるが、家に帰る途中で開けたところ、中から蛇や蛙や妖怪などが飛び出した」
っていう、アレね。

で、そのホテル、壁の装飾から部屋のテーブル、浴衣、湯呑み茶碗に至るまで、ありとあらゆるところに、親の敵のように、雀と爺さんの模様が……。

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そして1階のロビーには、爺さんと雀(のロボット)が「舌切り雀」のお話を語る「サイボットシアター」が!
このサイボットシアター、雀(名前は「おちゅん」)が「私は舌足らずで、みんなに笑われたけど……今はもう、立派な大人よ」と語ったり、爺さんが「婆さんの短気にも困ったもんじゃ」と、全てを「短気」の一言で片付けようとしたり、爺さんのつづらから、サイボットシアターの隣の売店で売っている土産物が出てきたり……と、ツッコミどころ満載。
しかも、1日4回しか上演しないというレアっぷり(かなり金かかってそうなのに……)。
気になる人は、YouTubeで「舌切雀 人形劇」で検索してちょうだい!

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さらに1階の片隅には、ホテルのお宝(?)を集めた「宝物殿」があり、そこにはなんと、婆さんが雀の舌を切ったという鋏や、爺さんが持ち帰ったというつづらが!

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鋏、でけえよ……。

ちなみに、「この地が舌切雀の舞台である」というお墨付きを与えたのは、明治時代の作家・厳谷小波先生なんですって。
先生は全国を回って、その土地土地の舌切雀伝説の聞き取り調査をし、「I温泉の話が、一番ブレがない」と言ったらしいんだけど……そのお墨付き、アテになるのかしら。
「ブレがない」って……。

しかも、あれだけ有名な昔話の舞台なら、普通は町をあげてそれをアピールするじゃない?
でもアタシが見たところ、I温泉で「舌切雀」推しをしていたのは、そのホテルだけだったわ。
ホテル、孤軍奮闘……。

というわけで、「舌切雀の舞台」説には、イマイチ納得しきれない部分があるんだけど、実はそのホテルの売りは、「舌切雀」だけじゃなかったの。
なんと毎晩、「ホテル専属歌手による歌謡ショー」が行われているのよ!

この日は、フィリピンからやってきた50歳くらい?の女性歌手・ジェーンが、「恋のフーガ」やらテレサテンの曲やらを歌ってくれたんだけど、ジェーン、ほとんどドラァグクイーンメイクだったわ(特に目の周り)。

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この写真だと、客が誰もいないように見えるけど、ちゃんといたの!
ただみんな、ちょっと遠巻きに見ていただけなの!
ジェーンの名誉のために、一応断っておくわね。

そんなこんなで、全てが冗談みたいだった、このホテル。
調べればすぐにわかると思うので、気になった人は、ぜひ行ってみてちょうだい(ちなみに食事は、めちゃくちゃ美味しかったわ)。

ってアタシ、なんかホテルの回し者みたいね……。

 2012/11/22 00:00    Comment  コラム   舌切り雀              
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