クリスマスに思う

街じゅうに飾られたイルミネーション。
方々から聴こえてくるクリスマスソング。
肩を寄せ合って歩く、(うざい)カップルたち……。
世間はまさに、クリスマスムード一色ね。

アタシが若かった頃は、まだバブルの香りが残っていて、「クリスマスをカップルで過ごさずんば、人にあらず」みたいな風潮が強かったし(ほんとかよ)、「イブをホテルで過ごすカップル」や「何万もするブランド物のリングを、カノジョにプレゼントする男たち」がいたらしい(アタシの身の回りにはいなかった)んだけど、最近はどうなのかしら。
赤坂プリンスホテルはなくなっちまったけど、都内の高級ホテルは、やっぱりカップルで埋まったりしているのかしら。
そして若者たちは、やっぱり「クリスマスを一人で過ごしたくない!」と、駆け込みで相手を探したりしているのかしら。

ちなみにアタシには、いまだに忘れられないクリスマスが5回あるわ。

うち2回は「初体験の相手と知り合った」「当時つきあってた人と過ごした」という幸せなクリスマスなんだけど(ってアタシ、幸せなクリスマス、2回しかないんだ……)、あとは「ゲイの友だちができる前、イブにノンケの友人たちとディズニーランドに行き、周りのカップルたちの毒気にあてられて、翌日二日酔いで寝込んだ」「初めてゲイの友だちができた頃、『パーティーしようよ!』と声をかけ、はりきって準備したのに、インフルエンザにかかり、当日自分だけ寝込んだ」という、悪夢のようなクリスマス……。

そして、40年の人生の中で、もっとも印象に残っているのが、小学4年のクリスマス。

その年、アタシはサンタさん(まだ一応信じてた)に「『おんな太閤記』の原作本をください」とお願いしていたの。
「おんな太閤記」ってのは、橋田壽賀子先生が脚本を書かれた大河ドラマ。
アタシはそのドラマが大好きで、佐久間良子先生演じる主人公・ねね(豊臣秀吉の妻)の真似をして、よく(打掛のかわりに)布団を肩にかけて、家じゅうを歩きまわっていたわ。

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子どものくせに橋田ドラマ好き、そして女主人公の真似をする……。
どこからどう見てもオカマ丸出しなのに、何故うちの親は、自分の子どもがゲイだってことに気づかなかったのかしら。
親の目って、意外と節穴……。

それはともかく、「サンタさんに不可能なことはない」と信じ切っていたアタシは、イブの夜、期待に胸を膨らませながら眠りについたの。
そして翌朝、目を覚ましたアタシは、枕元に包みを見つけ、小躍りしながら開けてみたわ。
すると中からはまさに、「おんな太閤記」の本が!
ところがよく見ると、本に変なシールが貼ってあるの。
なんとそれは、アタシが図書館で借りていた「おんな太閤記」の本だったのよ!(てかアタシ、図書館で借りられる本を、わざわざ欲しがんな)

にわかに状況が理解できないまま、包みの中に一緒に入っていた封筒を開けてみると……。
そこには図書券と手紙が入っていて、手紙には「本屋さんにはもう、『峠の群像』(翌年の大河ドラマ)の本しかありませんでした。この図書券で、好きな本を買ってください。サンタのおじさんより」と、見慣れた父の字で書いてあったの。
親としては、子どもを喜ばせるために、一生懸命知恵をしぼってくれたんだろうけど、アタシは喜びの絶頂から絶望のどん底に突き落とされ、さらに「サンタはいない」という事実を突きつけられ、心に深い傷を負うことになったわ(嘘)。

ちなみに「おんな太閤記」の本はそれから10年ほど後、古本屋で100円くらいで売っているのを発見し、即買い(アタシもいい加減しつこい)。
今もヤフオクで、上下巻セット400円くらいで入手可能みたい。
小学4年のクリスマスの、あの騒ぎは一体……。

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さて、早いもので、今年も残すところ、あと10日。
というわけでみなさん、また来年お会いしましょう!
なお、アタシは今年のクリスマスも、年末の芝居の稽古だよ……(ここ10年、ずっとそう)。

■エスムラルダの年末の予定

●12月22日(土)は、新木場「ageHa」で行われる「TK GROOVE」

●12月29日(土)、30日(日)は、新宿の芝居小屋「SPACE雑遊」で行われる「女装紅白歌合戦」

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