第4回 “結婚”のカタチ

「結婚」と聞いて、何をイメージしますか?

結婚式? 婚姻届? 同居? 指輪? 子ども、でしょうか?

このコラムのタイトルも「レズビアン的”結婚”生活」ということで、今日は「結婚」について、レズビアンである私の視点から考えたいと思います。

私が「私は女の子に恋している!」と気がついたのは、16歳の時のこと。金沢市の高校に通う女子高生でした。当時はtwitterもニコ生もなく、インターネットの閲覧さえも自由にはできない環境でした。そんな私にはレインボーフラッグも、LGBTも、「多様性」なんていう言葉が届くわけもなく。いろいろネガティブなことが頭に浮かんだわけですが、中でもこんなことを考えて自分を否定しました。

「私は結婚できない。東家の一人娘なのにどうしよう! なんて親不孝なんだ」

・・・本当にツッコミどころ満載なマインドなのですが、16歳の私の頭の中なので、許してくださいね。

この16歳の彼女がイメージした「結婚」とは、おおよそこんなことです。

異性愛、結婚式、入籍、同居、妊娠出産・・・

(東家の一人娘なのに! と言っているので、もしかしたら「妻氏婚」も想定していたのかもしれませんが、そのあたりはちょっと微妙です。それから「入籍」と言っていますが、婚姻届を提出することと「入籍」は別のことです。が、16歳の彼女はそんなことは知らないのです。)

さて、「レズビアン」は結婚できないのでしょうか?

この問いに答えはないと思っているので、答えではなく、今の私の状況をお話しします。

今、私は最愛の女性と結婚式を挙げて、法的保証がない中で東京都内で一緒に暮らしています。

パートナーはフルタイムでIT企業で働き、私はLGBT関連の仕事をしています。

家事分担は、主に家で仕事をする私が、買い物、調理、洗濯、掃除、日々の家計の管理などをやっています。

ひろこさんは、片付け、ゴミ捨て(ひろこさんは非常に断捨離好き)、年や月単位での家計の管理をしてくれます。

今の家事分担を決める前提には、もちろん仕事、時間、収入のことがあります。

その他にも、

「片付けがどうもニガテ・・・でもごはん作るのは好き♪」で、

「まめに家計簿は付けられるけど、お金の計算はそんなに得意じゃない」という、私と

「整理整頓は大好き! でも料理はしたくない」

「会計の仕事をしていたから、B/S(※1)や、P/L(※2)もばっちり!」という、ひろこさんの

お互いの性格や特徴も大きく関係しています。

私たちには、最初から「男は仕事、女は家事」というステレオタイプは当てはまりません。

(ふたりとも女性ですから。)

働き方や仕事で実現したいこと、収入、家事の負担などは、ふたりが話し合って決めるしかありません。

仕事や収入、子育てなど、長い人生の中で、今と状況が変わったら、またその都度ふたりで話し合って、お互いが一番心地よい状態を模索します。

いまだに「男は仕事、女は家事」という根強い価値観の中で、それに苦しめられる人も多いようです。

私たちはロールモデルが少ないために悩むことが多い反面、既存の価値観に縛られることなく、パートナーシップを作っていくこともできるのです。

男女のカップルの中には、「婚姻届」を提出せずにパートナーシップを持って生活する「事実婚」の方たちもいらっしゃいます。男女カップルの事実婚の場合は、住民票に「妻(未届)」と記載して提出するなどすれば、公的に「事実婚」カップルであることが証明できて、税制の優遇などは受けられないものの、さまざまな制度を利用することができます。

私とひろこさんのパートナーシップは、この「事実婚」にとても近いと思っています。しかし、私とひろこさんは「妻(未届)」と記載することもできず、制度上は「同じ住所に住む他人」なのです。最愛の女性と結婚式を挙げて、協力して一緒に暮らしているのにね・・・。

「結婚」を、書類を提出することに限定して定義するなら、私は結婚できないことになります。

私は結婚していないのでしょうか??

男女カップルの中にも、様々な形があります。

別居しているカップル、男性が家事を担い女性が稼いでくるカップル、お互い以外の人と性的な関係を持つことを認め合うカップル。16歳の私のイメージがいかに貧しく、そのために自分を否定していたかがわかります。多様な生き方を知ることができれば、自分のイメージに縛られて自分の在り方を否定する、そんな必要はまったくなかったのです。

16歳の私がイメージした「結婚」と、違う生き方をしたい人が本当はたくさんいるはず。

人生の歩み方に悩む人は、セクシュアル・マイノリティだけではありません。セクシュアリティに関わらず、自分はどんな生き方がしたいのか、誰と生きていきたいのか。

空前の「婚活」ブームを、ちょっと離れたところから見て、そんな風に考えたりしています。

(※1)会計用語でバランスシートの略称。貸借対照表のこと。
(※2)会計用語で損益計算書のこと。Profit and Loss statement の略称。

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