ボーダーライン 第11話

どこからどこまでが友情で、どこからどこまでが恋愛か。
考えたことはありますか?

恋愛感情ほど説明不能で、動物的で、直感的なものはない。
友情ほど篤く助け合えるものはない。

人間の感情は毎秒変わり続ける、あいまいな部分だってある。
常にはっきりと友情と恋愛を分かつ線など存在しない。

だからもっと優しくて良いはずなのだ。人にも。自分にも。
それなのに私達はすれ違い、傷つけ合う。

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「香、アタシと付き合ってよ。私やっぱ、香が好きなんだ。アタシが香を幸せにするよ。」
ナミからのその言葉を聞いた瞬間、ナミの背中に回しかけていた手を引っ込めた。
それを知らずにキスしようとしたナミを振り払った。
「やめて!」

動悸がする。あの時のトラウマが甦って来る。

-卒業後-
「今日でここ通るのも最後だねー。」校舎の階段を下りながらナミが言った。
「そうだね。なんか寂しいよね。」さっきの告白など無かったかのように普段のテンションで話すナミ。
「見たよー。校歌うたってる時いつもクールな香が泣いてたもんねー!」
「ちょっとー!」ケラケラ笑うナミを追いかける。
お互いの家族が待っている校門の前で別れた。
「香、連絡してよ。私も連絡するから!」
「もちろん。じゃあまたね!」

翌日から毎日電話が掛って来た。内容は他愛もない話だった。
ナミを含むグループで行った卒業旅行も、特に何もなく楽しく過ごした。
大学の入学式が迫ったある日、泊まりに来て、と言われた日に風邪で寝込んでしまったアタシは
ナミにキャンセルのメールを入れた。
“風邪で熱が出ちゃって、今日の泊りに行けなくなっちゃった。また連絡するね。本当にごめんね。”

すぐに携帯が鳴った。とてもじゃないけど話せない。何度も電話がかかって来る…。
朦朧としたダルさの中でメールを見ると、意味不明な言葉が書かれていた。
“本当に風邪なの?香が分からない。なんで電話に出てくれないの?私のことが嫌いなの?電話に出てよ。彼女でしょ?”
どういうこと?いつアタシは彼女と付き合ったのだろう。
何よりも突然キレたように矢継ぎ早に電話やメールをしてくる彼女のテンションが怖かった。

翌日の昼過ぎ、携帯の電源を入れると着信とメール。
暗澹たる思いでうずくまっていると、部屋のドアが開いた。
「香。ナミちゃんが来てるわよ?」
「無理…具合が悪いから帰ってもらって…。」母にはそう言うのが精いっぱいだった。

その日の夜、観念して彼女からの電話に出た。
本当に具合が悪かったことを伝えて、泊まりに行けなくなったことを謝る。
「もう、浮気したかと思った!」ナミがおかしなことを言い始めた。
「ねえ、ちょっと待って、アタシはナミと付き合ってないよ。」これは言わなくては、と会話を遮った。
「何言ってんの香、だって私が香と付き合ってるって後輩に言った時、否定しなかったじゃん!
香は私の気持ちを利用したんだね。信じらんない、もう私、死ぬ、死ぬから!」

物凄い剣幕で一方的に電話を切られ、何度かけ直しても出ない。
どうしたら良いか分からず動悸がした。すでに夜の9時。
家族にも誰にもこの状況を相談できない。
迷った挙句、ナミの家に行くことに決めた。

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