第11回 共生することとは、共に許すこと

今回は私の尊敬する方で、日頃お世話になっている日本心理療法研究所・代表の岩本令子先生にインタビューさせていただきました! 東京ディズニーリゾートでの同性結婚式を取りあげたTBS「Nスタ」の密着取材にも登場してくださった方です。

498_2

東小雪:岩本さんはACIMカウンセリングルームのカウンセラーとしても活躍されてます。岩本さんには大変お世話になっていて、いつも支えていただいています。結婚式前には私とひろこさんに「共生することとは、共に許すこと」というメッセージをいただき、それがNスタで放送されて大きな反響がありました。ですが私自身、許せない人を許す難しさに直面します。そこで「共生することとは、共に許すこと」について、改めておうかがいしたいです。岩本さんのおっしゃる「許す」ということ、これは私を攻撃してくる人も、私から「許す」ということですよね?

岩本さん:そうですよ。

東小雪:私を攻撃してくる人を私が「許す」んですか!? ええー。それはちょっと…。

岩本さん: あのね、その方から「攻撃された」と思っているのはあなたです。その方が攻撃したかどうか?はわかりませんよ。つまりね、あなたが「自分は攻撃されるはずの存在」として受け止めたときにしか、攻撃は存在しません。

東小雪:えええ。私が決めたということですかぁ…。でも、現に‥‥。

岩本さん: あなたは「攻撃された!」と認識する。だから攻撃し返す。相手も「攻撃された!」と認識したときに打ち返す。双方が打ち込まれたのと同じ強さで打ち返す。こうなったら、もう止められませんよ。(笑)

東小雪:はい…。止めるのは難しいです。

岩本さん:だからね、自分を「攻撃される存在」ではなくて「愛される存在」として許すことが大事なのです。そして相手も「愛する存在」として許すことが、共に生きることに繋がるわけなのね。それが「共生することとは、共に許すこと」。どう?

東小雪:うーーーん…。私にはまだ、わかる部分と腑に落ちない部分があるようです…。
このコラムをご覧の方は、セクシュアル・マイノリティと言われる人たちが多いと思うのですが、なにかメッセージをいただけますか?

岩本さん:そうですねぇ、私たちが「こうだ!」と思っていることは、実は、「私」が思いついたことではなくて、親もしくは「親機能」、学校、または地域やコミュニティの常識だったりルールなのね。「私」ではなくて親の「アタリマエ」だったり期待だったりなのね、狭い家族の中での役割として押しつけられる常識が「親に依存して生きる子ども」には選択の余地のない「絶対的な普通」なんです。

子供は親の望みに何とか添いたいと思うものなのね、たとえ、それが自分にとって嫌なことでもです。愛されるためには何でもしたいし、するんです。そして、いつしか「私の考え」としてすり込まれるわけです。でも、社会に出ると親が望むことが全てできるとは限らないわけ、例えば、学校に行けば、1番から100番の子ができるわけです。親の期待を無意識に受けとった「私の考え」は、彼らの期待に添えない「私」を価値のない存在として罪悪感を持ち自らを攻撃するのね。

おまけに、基本的な女性性、男性性のところで親の望みにこたえられないという意味では、これはそうとうキツい。セクシュアル・マイノリティの人は、もうひとつ余計な罪悪感を持つことになるわね。親の期待が指針になるから。そこに添えないときに混乱や罪悪感が起きますね。子どもはね、たとえそれがどんなものであっても、基本的には両親の望むものになりたい、そうでありたいと望むものなんです。
だけどそんなことより、「私は私」と思って、生きてほしいですね。

498_3

東小雪:親機能の期待…、非常にやっかいそうですね…。セクシュアリティのカミングアウトの問題は、多くのセクシュアル・マイノリティに共通する悩みだと思います。ですが、セクシュアリティだけでなく、家族の問題を抱えている人も本当はとても多いのです。だから私は、これからはセクシュアリティについてだけでなく、家族の問題についても発信していければと思っているんです。

最後におうかがいします。私には、まだまだマイノリティとマジョリティ、被害と加害、ネガティブとポジティブ、なんかが見えてしまいます。これからの社会、どうしていくことが必要でしょうか?

岩本さん:人は理解できないことに恐怖心を持ちます。だから「こんな私がいる」「こんなに私は楽しく生きている」ということを堂々と語ってほしい。私はマイノリティ/ マジョリティという考え方は好きではないの。さっきも言ったけど差別を作っているのはあなた自身なのよ。セクシュアル・マイノリティは差別を受けるはずだ!ってね。

それと、人を、社会を変えることはできませんよ。間違わないで!
私が、そしてあなたが変わることです。それが全体を変える早道です。

東小雪:以前私がつらくて泣いているときに、岩本さんに「そこにあるのは愛だけなのよ」と言ってただいたことがあります。これからはずっとマイノリティに留まるのではなく、私から許せる大人に成長していきたいです。まだまだ難しそうではありますが…。本日は本当にありがとうございました。

Top