第54回 君は誰の為に生きているの?

お久しぶりでございます。
すっかり不定期連載となりはてているオバザレ…、
ファジィなアタシをお許しください。

前回、主に真崎航くんについて書いた記事で止まっていたせいで、
一部の方には、落ち込んで書けなくなってるのでは、などのご心配をいただいたようですが、
全部、アタシのユルさのせいですからね。脳もそれ以外もユルユルー!(念押し)

航くんについては、その後、告別式に出席し、2丁目で開催されたお別れ会にも参加させていただきました。
告別式ではお花を飾ったりの直接の対面もあったので、参加者の方それぞれに胸を打つ時間でしたが、お別れ会のほうは、彼が愛したパフォーマーたちが集まった、新宿2丁目らしい笑いに溢れたものだったと思います。

とはいえ、同じシーンで、(若きイケメンポルノスターとお笑い女装オジサンと)スタイルは大幅に違えど、性的指向やセックスそのものについて外に向けて表現をしてきたということもあり、
「バトンを渡された気持ちになった」なんてカッコいいことを言いながらも、
具体的に今後自分は何をして生きていきたいんだろうなー、ということをしみじみと考えさせられたのは事実です。

思えばアタシは、ほかのゲイと知り合いたくて、80年代末にゲイのパソコン通信ネットを始めてから、ずっとゲイゲイしい人生でした。
大学ゲイサークルスタッフ、ゲイ雑誌編集者、女装集団主宰、オネエセンスブログ運営…
そして、現在の女装パフォーマー仕事とゲイミックスバーの経営。
これでもか、というくらいの全身ゲイまみれです。ぷ~ん(ゲイ臭)。
でも実は、仕事に関して、自分から営業をかけたことも、面接を受けたこともありません。
とてもありがたく贅沢な話なのでしょうが、お声をかけていただくままに、ゲイ芸者として振舞い続けてきた生き様なのでした。

アカデミックなラベルや業績なども無い「へんな生き物」です。
時々お仕事中も、「立派なスタジオで有名人の皆さんと共に語ってる、女装おじさんの自分」に、現実感のなさを感じることがあります。なんか壮大なギャグっぽいのよね。
この、ゲイ者人生、どこに向かってるんだろうか、なんて。

実は、航くんの告別式の前日、
毎週木曜のパーソナリティを務めさせていただいている、NHKラジオ第一『午後のまりやーじゅ』のゲストに、
なんと女優の三田佳子さんがいらっしゃいました。

アタシがお笑い女装として、15年ほど2丁目のクラブでの余興ショーで、なりきらせていただいてる、あの大女優三田佳子先生です。
連載タイトルなどでも「女優女優女優!」をパクらせていただき、お題がオススメ映画の時にはすかさず『Wの悲劇』を挙げさせていただいた、あの三田さんが、すぐ目の前に座って、一緒にトークしていただける!

505_2

そらもー、至福のひと時でございましたよ。

『Wの悲劇』好きのオネエ友達とキャーキャー盛り上がって、三田さんや高木美保さんの名セリフの真似をして、いつしかその再現を2丁目の中で女装でもやっちゃってきた、憧れの雲の上の存在。
そんな風に楽しんでいたものが、現実の三田先生とご対面、それも午後のNHKラジオでですよ。

もともと女優志望ではなかった三田さんは、思いがけず幸運なデビューを果たし、国民的大スターへ登りつめました。
そして、息子さんの件での大バッシングを経て、今また新たにお仕事にチャレンジされています。(クドカン脚本の舞台『印獣』では、ランドセル姿の小学生からラッパーまで演じるチャレンジっぷり)

どこまでも偉く振舞っていい頂点も味わい、どこまでも人を疑っていい苦い経験もされているのに、リアル三田さんは、穏やかで優しい、凛とした美しさのある方でした。

そんな三田さんから、トークの締めに、

「生ききる」

という言葉をいただきました。

お読みになった瀬戸内寂聴さんの本のタイトルらしいのですが、波乱万丈の人生を送られた三田さんが、
「孫たちが成人する90歳までは現役の女優でいたい」
ということ、そして人の寿命というものを強く意識されたそうです。

アタシは、三田さんのお年からすれば、まだまだそんなものを意識するには若輩者なのかもしれませんが、ゲイ業界的には完全にBBA枠ですし、周囲で若くして亡くなる方たちを繰り返し見るたびに、「生きる」ことの意味を痛感させられてきました。

三田さんじゃないですが、子供や孫の成長に、自身の生きがいや指標を託すというストレートの王道をなぞるわけにもいきません。
また、「モテる」とか「パーティで騒ぐ」などの若さに寄った幸せのカタチが強調されがちなゲイシーンですから、アラフォー以後は「寂しさ」のリスクが高まりやすいとも思います。

そんなお先の見えにくいアタシたち、ですが、
やっぱり人は、「生ききる」べきなのでしょう。

性の少数者やセックスを仕事にする、かつての日陰者が(にわかな好奇心が理由だとしても)陽に当たり始めている時代。

オネエのうちわネタが、憧れの大スターへのご対面まで育ったように、世の中には案外「ムリ」じゃないことが多いんだとわかりました。

その後放映されたNHK総合の『探検バクモン 性をめぐる大冒険』では、やはり締めで、太田光さんが、

「明治維新とかも、今から考えれば相当野蛮な時代だったかもしれないけど、新しい制度が決まっていくのはワクワクしただろなと思う。
日本では遅れていることを根付かせていこう、というワクワク感はそれはそれで幸福なことじゃない?」

とおっしゃってました。

アタシたちは社会的に「差別されている」「分かってもらえない」という不満を抱えがちなのでしょうが、
まさかストレートの太田さんから「その不幸に取り組んで社会が変わっていく様を見られるのは、ワクワクできる幸福だよね」という、アタシの座右の銘「よかった探し(愛少女ポリアンナ)」的切り替えしをしていただけるとはビックリ。

本当にそうね。

ガバマンをトロマンと、ポジティブに言い換えた、図々しいオカママインドですもの!

あ、もう少し、キレイな例だと、

なにせ、ゲイ=GAYは、暗くなりがちな自分たちの未来への想いを込めて、先人たちが「陽気な」って意味の単語を自分たちの呼び名にしたものなんだもの。
どこの誰だか知らないけれど、数十年前の多分アメリカの前向きなオカマさん、言霊をありがとう!

人生ってのは、本当にどうなるかわからない。
誰にでもいつか訪れる終幕まで、どうせ生きていくんだとしたら、
なるべく陽気に笑って、障害があれば乗り越えるワクワク感を味わって、充実した舞台を演じきりたいもの。

それぞれに、信じる道を
生ききりましょう。

505_1

僕らの住む世界はいつもとてもウソだらけ

自分殺して、笑顔作ってる

泣きたくて、笑いたくて、ホントの自分

ガマンして伝わらなくて

君は誰の為に生きているの?

『LIFE』キマグレン

Top