第1回 フランス同性婚賛成デモにみる、偏見を笑ってかわすための小ネタ

 

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お暑うございますことね。

2CHOPOをご覧のかた、はじめまして。
今回から毎週月曜日、セクシュアリティにまつわる国際事情「まきむぅの虹色NEWSサテライト(Paris発)」を連載させていただくことになりました、まきむぅこと牧村朝子と申します。

こちらでは、性にまつわるあり方について、世界でいま起こっていることをご紹介しながら、毎週読者の方と一緒に考えていきたいと思っています。

本題に入る前に、わたしがこの「まきむぅの虹色NEWSサテライト(Paris発)」を書かせていただくことになるまでの経緯を、ご挨拶も兼ねてお話させていただきますね。

こう、こしゃくな感じで(Paris発)ってついていますけれども、いったいどういうことかといいますとね、

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妻がフランス人なんです。

惚れた女がフランス人だったんです。

わたしは10歳で自分がレズビアンだと気づき、それから22歳までの12年間、男性とお付き合いしてきました。「同性愛を治す」ために。

歴代彼氏のことは、それぞれ大好きでした。
うん。
それぞれ大好きだったのよ。
ほんとに大好きだったんだけれど、

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「ねぇねぇサトシ~(仮名)、ちょっとお化粧してみなぁい?☆」

「はぁ~ん☆ シゲル(仮名)、そのキャミ超似合うぅ~☆」

みたいなことになっちゃったので

これ治んねーな。

とバッサリ諦め、無理して男子と付き合うのをやめたのでした。

そこからはまあ、今度は自分が男装したり、「男と寝た自分は一生“完ビ” (注※完全レズビアンの略。いったい何をもって完全としたいのかは謎) になれないんだ!!」と苦悩したり、「一刻も早く女処女を捨てなければ(迫真)」とひたすら女の子を口説きまくって引かれてフラれ続けたり色々こうばしい日々を過ごしていたんですが、

 

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人生初のボイかわいい彼女(※しかも巨乳)(※しかも動物に好かれる)(※しかも人口100人の田舎村育ち)(※しかも趣味がキノコ狩り)(※しかも主にデート場所が森)ができ、人生がまったく変わったのでした。

 

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そんなボイかわいい森ガールちゃんとの、日本での同棲を経て、2012年フランスに渡りPACS(※準結婚のようなもの)を締結。

ふたりで住む部屋の近所に「ホモは治療しろ!」とか「同性愛者から子供を守れ!」とかいう感じのポスターを貼られ、ふたりで住む街で数十万人規模の反同性婚デモを何発もやられながら、それでも成立してくれた同性婚法をもって、今年9月に無事、婚姻成立予定です。

そういうわけでわたしは、国際同性結婚をし、セクシュアリティについてのことを専門に、書いたり喋ったりお話を聴いたりする仕事をしています。この連載を読んでくださる方には、記事を通して世界でいま起こっていることをご紹介しながら、セクシュアリティについて一緒に考えていけたらうれしいなあと思っています。

人間を含め、どんな生き物も、肉体を持って生きているわけです。だから性のことはいやらしいことでもなんでもなく、ちゃんと知って、ちゃんと考えるべきことなのよね。

わたしが所属する事務所の社長、杉本彩姐さまはこうおっしゃいました。
「性のことは『わいせつ』じゃなく『たいせつ』」。

だからといって全員セックスしろとかそういうことを言ってるわけでは全然ないのですが、たとえ誰ともヤらない生き方を選んだって性のことは「たいせつ」なのよね。ヤるヤらないの話じゃなく、もっと広い意味で、わたしたちひとりひとりのからだをめぐり、世界でいったいなにが起こっているのか、読者のあなたと一緒に見て、感じて、考えていけたらなあと思っています。

 

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さて、ではさっそく本題に入りましょうか。

今回は「フランス同性婚賛成デモに見る、偏見を笑ってかわすための小ネタ」です。最近ではアメリカでも、同性婚の全国的法制化に向けて大きな前進がありましたね。

「同性婚同性婚うるさいわよ! アタシはそもそも結婚制度自体に反対よ!!」とおっしゃる向きもあるでしょう。たしかに、結婚制度それ自体についての議論も大事です。けれど、この記事では本題にしません。

今回考えたいのは、「いかに偏見を笑ってかわすか」。きっと未来の日本でも起こることですが、同性婚や同性パートナーシップ法案が議論される国では、決まって同性愛への偏見があおられることになります。

超ありがちな例で言えば、

(1)同性愛者から子どもを守れ! 系
・同性愛者なんかが堂々としてたら子どもに同性愛が移るじゃない! 危険よ!
・同性愛者なんか子どもたちを性的おもちゃにするに決まってるでしょ! 危険よ!

(2)同性愛者に権利を訴える権利はない! 系
・もう全員に異性との結婚を認めてるんだから、既に平等でしょ? 従えば?
・同性愛者は社会的利益を何も生み出してないくせになんで権利ばっかり主張するの?

(3)同性愛は国家への反逆だ! 系
・うちの国の伝統(もしくは国教)に同性愛なんてありませんから!
・納税者が減り、また不妊で苦しむ人もいるこんな世の中で、
なんでわざわざ同性と結婚して少子化促進するの? 国のこと考えないの?

こういう感じになりますね。

(1)は子ども自身が同性愛者であるという可能性を考えてない上、異性愛者による性暴力を棚に上げて「同性愛者は危険!!」と言い張っちゃってます。(2)は謎の上から目線ですね。たぶん、人間は結婚して子どもを産むことでしか社会貢献できないのだ、それだけが正しいのだとお考えなのでしょう。ナイチンゲールの伝記でも読んでいただきたいです。(3)はまるで寂しい王様ですね。こうやって、同じ国にすでに生きている人々を受け入れず、自分と違う奴を切り離して切り離して切り離しつづけて、最後にはひとりきりになってしまうのでしょう。


争いは同じレベルの者同士でしか発生しない。

偏見に基づいた発言は、どの国においても面白いように同じです。いちいちマジレスしあっていては、お互い疲れるしお互い進歩しません。なのでここはひとつ、笑ってかわせる一言を、フランス同性婚賛成デモのプラカードから拾ってみましょう。

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「いろんなところに指を入れてきたわ。
どうして結婚指輪にだけ入れられないの?」

 

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「ホモにだってクソ意地の悪い姑を持つ権利はあるのよ」

 

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「ヘテロの皆さん、私達ホモを育ててくれてありがとう。今度は私達がヘテロの子を育てます。」

 

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「僕も離婚したい」

最後のは冗談なのか本気なのかわかりませんが、とにかく、人生に笑いって大事なんじゃないでしょうか。真面目な顔で真面目に語るのも、時には必要です。けれど、なかなかそれでは伝わらないことが、戦略的不真面目によって伝わることもあるのです。

 

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フランスのバラエティ風ニュース番組「Le Petit Journal」では、反同性婚デモ参加者へのインタビューを笑いのネタにしていました。

「同性婚なんか認めちゃダメよ! だってネットにそう書いてあったもん!!」

「今日はパパとママと一緒に反同性婚デモに来たの! 同性婚? べつにいいと思う!」

それぞれ意見を持っているであろう反同性婚デモ参加者を、一概に笑いものにするような態度にはちょっと胸が痛んだのですが、最後にこう字幕が出ていました。「泣くより笑った方がいいでしょ?」

これから日本でも議論が盛り上がり、それと同時に、性的少数者への偏見に満ちた発言が聞かれることも増えるでしょう。そういう時に泣きたかったら、思いっきり泣くのも大事。だけど、「ここからいかに面白く返してやるか考えてみる」「その発言をあえて面白がってみる」っていうことを通して、泣くことも笑うこともできるようになったなら、2倍の強さだと思うのです。

読んでくださって、ありがとうございます。泣くのも大事だけど、笑った方がいいわね。変なこと言われてもおもろくかわせるように、フランスのセンスを学んで、毎日が笑点な気分で行きたいと思います。

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下ネタ多いけどな、フランス。

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