第14回 カミングアウト

カミングアウトについて、現在進行形で悩んでいる方も多いのではないでしょうか? 私はイベント「こゆきカフェ」やニコ生放送を通して、やはりカミングアウトについての関心が高い、悩んでいる人が多いな…と感じています。

カミングアウトとは、もともとは「coming out of the closet」という英語で、セクシュアル・マイノリティの人が自らのセクシュアリティについて、クローゼットにいる状態から出てくる=他者にセクシュアリティを話すという意味でした。ですが、最近の日本での「カミングアウト」という言葉には、セクシュアリティに限らず他者になにか秘密を話すこと、というようなニュアンスがあると思います。セクシュアリティに限らず、大切な誰かから、大切なことをカミングアウトされたら…? ちょっとびっくりすることもあるかもしれません。そんなとき、どうしたらいいでしょう? 今回は「カミングアウトを受ける側」のことについて考えることを通して、カミングアウトを改めて考えてみたいと思います。

カミングアウトを受けたら、まずはなんと言ったらいいでしょう? 私は、まずは「そうなんだ」と受け止めることがいいと思います。もしその属性についてよく知らなくても、目の前の相手が急にモンスターに変わるわけではありません。目の前の相手は今までと本当に何も変わりません。だからまずは「そうなんだ」です。

そして次に、「大切なことを話してくれてありがとう」。話してくれた相手は、すごく緊張したかもしれない。もしかしたら長い間「話すことが怖い」という思いを抱えていたかもしれません。それでも、あなたを信頼して、新しいよりよい人間関係を築きたいという思いからカミングアウトしたのだと思います。だから、ぜひ「大切なことを話してくれてありがとう」の気持ちを伝えてほしいのです。

カミングアウトされた属性や経験は、もしかしたらあなたがこれまで考えたことが少なかったことかもしれません。もしそのことについて詳しくなくて、相手を傷つけてしまうのではないか? などの不安がある場合、「私はまだわからないこともあるから、もし何かあったら言ってほしい。あなたに聞くことがあるかもしれないけど、いい?」と伝えておくといいかもしれません。

ここから先は、あなたとその人との人間関係です。カミングアウトしてくれた、その人の「属性」や「経験」と付き合うのではなく、「その属性や経験を持った”その人”」と付き合うのだということをどうか忘れないでほしいと思います。それはあくまで一面で、人と人として付き合うこと。でもその一面は本人にとってはとても大切な一面であることを知っておくこと。これが大切なことだと思います。

私はセクシュアリティのことで、大切なことを打ち明けたときの反応で、やはり嬉しかったのは「あ、そうなんだ。それで?」です。「小雪さんはレズビアンである」というところではなく、「レズビアンという属性も持った小雪さんは、それで何を考えているの?」と、その先を聞こう・寄り添おうとしてくれる人たちから、私は大きな安心感や肯定感を受け取ってきました。

逆に、見た目にはお友だち同士や姉妹に見えるひろこさんと、実は恋人同士であることをお伝えしたときに「夜も深まってきましたねぇ」だとか「お酒がないと聞けない話になってきました」などと言われると、それ以上大切な話を続けたいという気持ちにはなりにくいものです。私がひろこさんとパートナーであることを告げるのは、多くの場合その人と「同性愛」について話したいのではなく、映画を一緒に観に行ったこととか、一緒に住んでいる場所とか、仕事で悩んでいることとか、ごくごく日常の話を、隠したり偽ったりしないで話したいという場合がほとんどです。

「カミングアウトを受けた場合、どうしたらいいですか?」
「レズビアンのことをよく知らないから、小雪さんのことを傷つけてしまうかもしれない」
「アライ(Ally=支援者)になるには、どうしたらいいでしょうか?」

そんなふうに考えてくださる方が、当事者をザックリ傷つけるということは、起こりにくいと思います。「自分は知らないんだけど、相手を傷つけないで関係を築くためにはどうしたらいいんだろう?」と、すでに相手の立場に立って考えてくれているからです。

数が少ないとされる属性を持っている場合でもそうでなくても、結局は自分と違った相手に思いやりを持てる人かどうか、それにつきると思っています。

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