第17回 宝塚音楽学校創立100周年記念式典とクィアである私

宝塚音楽学校創立100周年記念式典に出席してきました。7月17日(水)に宝塚大劇場で行われたこの記念式典。この日はOGおよそ2300人が出席。現役生も、東京公演中だった雪組さんを除く、花組・月組・星組・宙組、専科の生徒が参加しました。そして、劇団関係者と音楽学校100期本科生・101期予科生も参加した、非常に大きなイベントでした。

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この日の宝塚の街と大劇場は、見渡す限り元タカラジェンヌ! でした。

私がカミングアウトしてから、宝塚の公式行事に出席したのはこれが初めてのことでした。
宝塚100年の歴史の中で、セクシュアル・マイノリティであることをオープンにしている元タカラジェンヌは、現在私ひとりですから、宝塚の公式行事にオープンリーレズビアンが参加したのは宝塚の歴史上初のことだったわけです。さすがにちょっと緊張しました。

式典の様子は各メディアでも報じられ、下記リンクにもありますので、そちらをご覧ください。

【動画リンク】
YOMIURI ONLINE
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/newsanswer/news/post_45774/

【まとめ】
NAVERまとめ「宝塚音楽学校100周年ニュース&OGさんのブログ」
カミングアウトについては以前も書きましたが、カミングアウトも基本的なことさえおさえれば、その後はその人との人間関係なのです。

宝塚におけるカミングアウトは、注目をされやすいという点と、サンプルがまだ私しかいないという問題があり、少々緊張感が高い側面もあります。それでも、タカラジェンヌであっても、結局は私と同期たちとの人間関係なのです。(マイノリティが受け入れられるためには”いい人” “いいマイノリティ”でいなければならない、という問題につながっていきそうで注意が必要ですが、今回はふれません。)

「テレビで見てるよ! 結婚おめでとう!」と声をかけてくれる同期がいます。一方で、私という「規範から外れた異質な存在」に戸惑う同期もいます。

「なぜ宝塚ではクィアな存在が受け入れられにくいのか?」これは私の一生のテーマだと思っているので、一朝一夕には答えが出ません。引き続き考えていきたいと思っています。

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式典では100年の歴史を紹介する映像も上映されました。1944年(昭和19年)3月に、宝塚大劇場と東京宝塚劇場は第二次世界大戦により閉鎖。海軍に接収されています。(閉鎖される前は、本来のパリのレビューではなく、軍国主義的な演目が上演されていました。)戦時中の宝塚を描いた「愛と青春の宝塚〜恋よりも生命よりも〜」をみて感動したファンの方も多いはず。私もそのひとりです。

その頃、女性に参政権はありませんでした。タカラジェンヌは全員女性ですから、このときのタカラジェンヌたちは戦争に賛成することも反対することもできずに、「恋よりも生命よりも」大切な舞台に立てなくなったわけです。

現代のタカラジェンヌたち、卒業生たちの多くには参政権があります。私はこれは非常に大きな違いだと思うのです。私の先輩たちはなす術もなく舞台を奪われた。けれど現代のタカラジェンヌたちは、少なくとも学歴や性別では差別されることなく投票することができるようになっています。

宝塚に100年の歴史があっても、ひとたび戦争になれば中断されることも失われることもあるのです。”女子供(おんなこども)”が「宝塚FOREVER」と歌っているだけでは、大切なものが永遠に奪われてしまう可能性がある。

「あのような歴史が繰り返されるのはいやだ」「宝塚が存続してほしい…」という理由からでも選挙権がある人は投票に行ってほしい、改めてそう思いました。

100周年記念式典が行われたのは、ちょうど参院選を前にして不穏な空気が漂う頃でした。戦争を経た100年の歴史の中にいる元タカラジェンヌのひとりとして、真剣に考えなければならないと思ったのです。いま私に参政権があることは当たり前のことではないのだから。

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