第5回 なんでなの?世界で頑張るホモフォブ(同性愛嫌悪者)さん

 

542_1

きたわよ、大阪。

まきむらよ。

世界のニュースからセクシュアリティを考える、こちらのコーナー「まきむぅの虹色NEWSサテライト(パリ発)」もおかげさまで5回目を迎えることができました

いつも読んでくださって、ツイートボタンやいいね!ボタンで応援してくださって、ほんとうにありがとうございます

パリ発って言ってんのにパリから書いてるの今まで1回だけなんですけど、今回そろそろ(梅田発)って書き直した方がいいかなって思うんですけど、今はいい時代ですからね、例えば堂山のビアンバーにいながらにして世界中のニュースに触れられますね。すばらしいことです。ありがとうインターネット作った人!

542_3

またインターネットがあるおかげで、こうやって愛しい妻をフランスに残しての海外出張であっても、ラブラブスカイプができるわけです。ひゃっほう。

すいませんがね、今日の本題「同性愛嫌悪者(ホモフォブ)」だけ書いても暗くなっちゃうのでね、世界のニュースを紹介するよりちょっと先にのろけさせてもらいました。すいません。これから、そうやってお嫁大好きウフフってしてるわたし個人がホモフォブられた経験を少しお話し、最後に視点を世界のニュースに広げてホモフォブの皆さんの気持ちを考えたいと思います。

542_4

※画像:ペニス2つを並べたイラストに「ダメ、絶対」と書いてパリを行進する二人。
今年1月13日、反同性婚デモにて

同性愛は許せない! という方々が、世の中にはいらっしゃいます。通称homophobe(ホモフォブ)、いわば同性愛嫌悪者という方々ですね。また同性愛を嫌悪する感情のことをhomophobia(ホモフォビア)と呼びます。

わたし個人がネット上でした経験だと、例えばわざわざ長文で「あなたのことが気持ち悪いです(要約)」って書いたメールを貰ったりとか。「あら、そう? わたしはとっても気持ちいいわあ☆」って思うんだけど、そういう感じでハッピーなメールを返すと返信が来なくなります。

それからこないだも、わたしが出てるYouTube動画に、片言の日本語で一生懸命「Lesbian日本女? Bisexual? ゲイ? あなたは犬とセックスする! 滅びれ!」みたいなことを書いて下さってる方がいらっしゃいましたね。うん、日本語苦手なのに頑張って書いてくれてありがとう! あと、犬じゃなくて妻とセックスしたいです^^☆

そんな経験を通して、わたしむしろ、もっと彼らを知りたくなっちゃったんです。決して楽しくはないはずの「嫌う」という行為に、なぜそこまで情熱を注げるのかしら、って。そこで今回の記事では、世界で起きている出来事から、ホモフォブこと同性愛嫌悪者の皆さんが考えていることにふれてみます。

ちなみに、同じ同性愛者とされる人にも色々な人がいるのと同じで、同じ同性愛嫌悪者とされる人にももちろん色々な人がいます。今から同性愛嫌悪の動機を5パターンに分類しますが、必ずしも同性愛嫌悪者の皆さんがこの5つに分類されるわけではないことを最初に申し上げておきます。それから、若干キツい例もあるので、「例え記事の上であっても同性愛ディスりの文章を読みたくない」という方にはお勧めしません。

っていうのを踏まえたうえで、いくわよ。

同性愛嫌悪の代表的な理由5パターン

(1)自分で抱えきれない悲しみを、誰かのせいにしないと耐えられない。

542_5

※「ホモの結婚より仕事をくれ」と書いたプラカード。
フランス反同性婚デモ「La manif pour tous」用に公式サイトで配布されたもの

「不況だ! 俺は失業した! この国に金が回ってないのは、同性愛者どもが次世代の子どもを作らないせいだ! この国は同性愛者のせいで滅亡する!!」
「私は長く辛い不妊治療に耐える女性です。あなたがたレズビアンは男性と結婚すれば子どもができる体だというのに、なぜわざわざ女性同士で恋愛するのですか? 女性としてなすべきことから逃げているのでは? 同じ女性として許せません!!」

画像の反同性婚デモスローガン「ホモの結婚より仕事をくれ」に象徴されるように、各国反同性婚/反同性愛デモ参加者がメディアのインタビューに応えてよく言っていることですね。

心中お察しいたします。どうか生きて、時間がかかってもいい、心を休めてください。そしていつか元気になったら、立ち上がって、気づいてください。「ろくに調べもせず頭の中だけで理屈こねて同性愛者のせいにしなくても、自分はちゃんと自分の力で立てる」って。

(2)宗教的信条により、許容できないと信じている。

542_6

※2010年アメリカ、キリスト教系反同性愛活動『godhatesfags.com(神はカマホモを憎む)』の活動家の横で『こいつをファックしてやれ』と書いた看板を持って立つ人

「神は人間を、男女で結婚するようにお造りになった。同性愛は神の意志に反する」
「教典のこの部分に、同性愛はいけないとはっきり書いてある。違う解釈をする者どもも含めて、全員に神の裁きが下るだろう」
「同性愛は自然の摂理に反する」

神の意志とか、自然の摂理とか、何か大いなるものを自分自身の同性愛嫌悪の理由として持ち出すパターンです。

仕方ありませんね。その人の信じる神様が、その人の信じる自然が、そう言っているのだから。しかしそれはあくまで「その人の信じる」神様や自然ですから、他の人に押し付けることはできません。事実として、例えばギリシャ神話の神々には同性愛者がいますし、自然界にも同性愛行動が観察される動物は数百種います――キリン、カモメ、イヌ、サル、そして人間など。

(3)政治的信条により、同性愛は憎むべき国家/主義/政治家にもたらされたと信じている。

※映画『Call me kuchu』予告編

「欧米は俺たちの国を植民地にして、さんざん俺たちを奴隷扱いしておいて、今度は『人権が大事ですよ、差別せず寛容にね』だと? ふざけるな! さては、俺たちの国を同性愛に染めようとしているんだな! 今度こそ、欧米の言うなりになんかならない!」
「同性愛者は資本主義の豚!」「同性愛者は共産主義の犬!」
「○○(政治家)は悪い奴で、同性愛者だ。ということはつまり、同性愛者は○○の仲間だ!」

アフリカ・東欧の一部ほか、同性愛を違法行為として処罰する国々に特に多いパターンです。ウガンダにおける同性愛者の状況を描いたドキュメンタリー映画「Call me kuchu」の一幕にも、「欧米が寛容を押し付ける」と主張する現地の方が登場していました。

あるカテゴリの人々を敵に仕立て上げ、「団結して戦おう!」という言い方で実は人々を操作しようとしている……というのは政治の常套手段です。日本の選挙でも「○○党を食い止めろ!」とか叫んで選挙活動なさる方がいますね。

しかし政治において論ずるべきは、「誰が悪いか」ではなく「何が問題か、どうやって良くするか」ではないでしょうか。歴史を振り返ってください。「鬼畜米英」だの「ユダヤ人を絶滅させろ」だのと叫びながら、わたしたち人類はどれだけの過ちを犯してきたでしょうか。どうか悲しい暴力を繰り返さないように考え直して頂きたいと思います。

(4)自分が同性愛者に性的対象として見られているかもしれない、という不快感を抱えている。

542_7

「同性婚なんか認めたら俺のケツ穴が危ないwww」
「別に同性愛は勝手にすればいいと思うけど、そういう人同士の趣味の世界から出てこないでほしい」

日本に多いですね。特に同性愛者による性暴力事件が起きるたび、ネット上で繰り返される言説です。類似パターンとして、「自分が同性愛者に狙われる」ではなく「子どもが同性愛者に狙われる」と言われることもよくあります。しばしば国を問わず、「同性愛者=相手が子どもでもなんでも構わずセックスしたがってる」とか「男性同性愛者=全員アナルセックスしたがってる」という偏見を伴います。

確かに、性暴力は許されません。必ず法に基づいて処罰されるべき犯罪です。しかし、同性愛者が性暴力事件を起こしたからといって「だから同性愛者は危ない」というのは、異性愛男性が性暴力事件を起こしたからといって「だから男は危ない」というのと同じくらいに非論理的です。それに、異性愛者から恋愛対象として見られることを不快に思う同性愛者もいますので、「自分が不快だから規制しろ/出てくるな」というのはフェアではないわね。

同性愛者だろうがそうでなかろうが、性別がどうだろうが、とにかく相手に望まれていない性欲を押し付けることはしないことです。それができなかった人は性暴力を犯した犯罪者として、悪口ではなく法に基づいてしっかりと処罰されるべきです。

(5)自分こそが同性愛者だ。

542_8

「同性愛はダメだ!(だからこう言ってる自分自身は同性愛者じゃないもん!)」

実は、わたしもこうでした。反省します。他の人を痛めつけることで、自分の痛みから目をそらすことは間違っていたと。

ということで、同性愛嫌悪(ホモフォビア)のありがちな例をご紹介しました。自分自身を反省するとともに、同性愛嫌悪者を嫌悪すること、いわばホモフォビアフォビアに陥らないよう気を付けたいなって思うわ。自分と意見の違う人にも、「なんでなの?」って聞くことを心掛けたいと思います。世の中は理不尽なものだからこそ、ね。

Top