第2回 自由の国、アメリカ

8月25日(日)
ワシントンD.C.の2日目は、久々の二日酔いではじまりました。プーさんのハチミツカクテルが効いたようです。できるリーマンゲイは出張先の街を早朝RUNで楽しむ、という勝手な妄想のもと、意気揚々と日本を出る時にスーツケースにランニングシューズをぶち込んできたわけですが、無理をして明日からの研修に響いたら大変でしょ?ということで、できるリーマンゲイの出張先の朝食はグリーンサラダとスムージーで決まり、のほうにあっさり切り替えることに。テラス席で広げたのはFinancial timesではなく、昨夜のパトロール中にピックアップしたフリーペーパー「NAVIGAYTOUR」。ワシントンD.C.のLGBT情報を旅行者向けに編集したもの。観光客丸出しです。笑

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グリーンサラダとスムージー!

さて、何気なく宿泊していたここDupont Circle付近ですが、地元の人いわく、今から20年前はLGBTの人たちがひっそり公園に集まって手をつないでお互いに励まし合っていた聖地とのこと。それが今では、Gayborhoodと呼ばれるほどLGBTフレンドリーな地域となり、バーやレストランやショップがあちこちに存在するだけでなく、Dupont Circleを取り囲む形でLGBTの人たちがたくさん居住しています。80年代から90年代初めにかけて治安が悪かった地域は、政府機関や教育機関の勤務者、弁護士等の専門職、大手企業やマスコミの社員などお金持ちLGBTがたくさん移り住み、一気に安定したアーティーなエリアに変身。街自体のリノベーション事例としてワシントンD.C.の人たちにも有名な話らしいです。アメリカのPower-LGBT、凄いですね。ここを宿泊ホテルに選んだ国務省も気が利いているというか。ちなみに、The Dupont Circle Hotelもゲイ好きするModern-Hipなスタイル。アメニティはアロマオイル入りです。

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Aromatherapy Associatesという英国ブランド

午後からは、IVLPが用意してくれた文化交流企画ということで、大きなバンに乗り込んでワシントンD.C.の市内観光へ。同乗してくれた、マリンブルーのタイトなシャツにCHANNEL のブルーセルフレーム眼鏡のAnnaさんは、香山リカの知性とCameron Diazの愛嬌とSamantha Jonesの皮肉を併せ持ったスーパーガイド。ひとつひとつの説明が本当に的確で、笑いながらいつの間にか街の造りや歴史を学ぶことができます。国務省オフィシャル契約ガイドの職を勝ち取っているのも納得。

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スーパーガイドのAnnaさん

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実際にホワイトハウスに大統領家族が住んでいるそうです。

こちらはホワイトハウス。9.11以前は、申込みをすれば内部見学もできたそうですが、現在は在米日本大使館経由で事前に面倒くさい申請が必要とのことで、残念ながらフェンスの前で記念撮影。ホワイトハウス前では毎日デモンストレーションが行われていて、1日1団体の予約制らしく、今日はシリアの平和嘆願の団体が集まっていました。30年以上もホワイトハウスの前にテントを張って世界平和を訴える名物おばあちゃんも存在。パワフルママの井戸まさえさんは、「Can we take a picture together?」とシリア隊も、おばあちゃんも、物怖じすることなくさっと入り込んで、とにかく写真をパシャパシャ撮りまくっています。母強し。そんな中、謎のデモンストレーション隊が乱入。恐らく事前登録をしていない様子で、トップレスの女性が何人も並んで胸をさらけ出す権利を主張している模様。。。何が起こっているのか理解も整理もできないまま4人で怪訝な顔をしていると、スーパーガイドAnnaさんが一言。「あなたたち、ここをどこだと思ってるの?自由の国、アメリカよ。」

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胸をさらけ出す自由を!

ホワイトハウスの次は歩いてロビイング発祥の地であるThe Willard Hotelへ。1800年代初めに、ヘビースモーカーだったユリシーズ・シンプソン・グラント米大統領が妻に喫煙を禁止されていたため、夜な夜なホワイトハウスを抜け出し、こちらのホテルのロビーで葉巻とブランデーを楽しんでいたそう。大統領と知らずに政治談義を交わす仲間が日に日に増えはじめ、素姓がバレた後も、様々な団体や企業の権力者がロビーに集まり直交渉が行われたことが、ロビイングという言葉の紀元とのこと。今でも米国政治においてロビイストの役割は大きく、LGBTの人権擁護や同性婚制度の推進には多くのNGO/NPOや個人が関わっているそうです。

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ハリウッドスターもよく泊まるThe Willard Hotel

続いて、連邦議会議事堂。建物のてっぺんにあるドームにはStatue of Freedomの像。ニューヨークのStatue of Libertyとよく勘違いされるそうですが、スーパーガイドAnnaさんから、Freedomの語源が人として平等にもっている「権利としての自由」であるのに対して、Libertyは他者の束縛からの「解放としての自由」ということを教えてもらいました。なるほどなるほど。市内観光といいつつ、しっかり国務省はアメリカの根幹である「自由の価値」について学ぶ機会をプログラムに組み込んでいるようです。恐るべし。

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大悟さん、次はこちらの議員を目指すそうです。ほんと?

最後は、リンカーン記念館へ。アメリカの公民権運動指導者のマーチン・ルーサー・キング牧師が「I have a dream.」と訴えた場所も逃さずチェック。今年は、演説からちょうど50年を向かえるということで、8月28日に記念堂の前で式典が開催され、オバマ大統領が演説、カーター、クリントン両元大統領も出席予定。特に、オバマ大統領は自由と平等を訴える演説の中で昨今のLGBTの人権についても言及するのでは?と言われていて、IVLP主催の国務省の力で何とか式典を近くで見られないか、と明日のオリエンテーション時に4人で懇願するつもり。ま、明らかに、厳しいでしょうが。汗。

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まだ50年しか経ってないんですね。

市内観光を終えた後は、小野ちゃんが朝のお散歩にて偶然見つけたというHuman Rights Campaign(HRC) という団体の路面アンテナショップに、大悟さんと3人で。HRCは、米国におけるLGBTの人権に関する最も大きなNGO/NPOのひとつで、LGBTフレンドリーな企業を指標化したBuyer’s Guideでも有名。ここ数年は、全米各州での同性婚制度導入のロビイングとキャンペーン実施に力を入れています。

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Human Rights Campaignのオリジナルショップ

店内にはオリジナルのTシャツや缶バッジ等のグッズからレインボーアイテムまで多くの商品が並び、NPOどころか一つのブランドとしても成立していて、僕たちの後にも観光客らしき人たちが次々に訪れてきます。さっそく、かわいいレインボーテディベアを発見。小さなベアがひとつ12ドルと結構なお値段なのに、6色6種類いて、6体いないとレインボーにならない仕掛け。本当に商売がお上手。迷ったら大人買い、ではないですが、まんまと6匹購入することに。研修内でもHRCの方に会うことになりそうとのことで、寄付や助成金だけでなく、こういう物販関連が団体の財政をどの程度支えているのか是非聞いてみたいところです。グッドもカラフルカフェのオリジナルグッズを3年前に作りましたが、まだ8割近く在庫を抱えております。。。汗

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かわいいレインボーのテディベア

夕食は、3週間、僕たちの通訳として米国行脚に同行していただけるマリエさんとFredさんと。Dupont Circle近くのレストラン、涼しい風が吹き込むテラス席で、楽しくおしゃべり。お二人とも過去に何十回もIVLPを担当しているとのことで、Fredさんはまさに日本からの別グループのIVLPを終えハワイから戻ったばかり。(ハワイ、いいなあ。)今回のIVLPには二人の母が参加しているということもあり、養子やステップファミリーのトピックから、家庭での性教育に関する日本と米国の違い、更には日本における同性婚制度の可能性まで、話はどんどん広がる広がる。井戸さん風に言うなら、どんな形であれ、「選択肢があり、選択できる自由があるのが豊かな社会!」ということなのかもしれません。

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通訳のお二人と

夜のパトロール2日目は、男子二人に小野ちゃんが加わり、みんなで楽しめる場所へ、と「Town Danceboutique」というクラブにタクシーで。事前リサーチが重要と昨晩学んだばかりなのに、何も調べず到着したら案の定、日曜日はお休み。。。代わりに偶然近くに見つけた入り口が大行列の「Nellie’s Sports Bar」というお店に入ることに。店内には壁打ちの大きなプロジェクションと、10台ほどの大きな液晶テレビ。メジャーリーグのダイジェスト番組を、メジャーリーグ球場にいるような、これぞアメリカ人という風貌のおじさんたちが右手にビールジョッキ、左手にナチョスをつまみながら観戦しています。

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Nellie’s Sports Barの1階にて。2階はテラスでビアガーデン風でした

僕よりも二倍ほど上腕二頭筋が発達しているヒスパニック系の短髪ビアン(多分)の店員さんに「本当にここってゲイバー?」と聞いてみると、「もちろんさ!ゲイも、レズビアンも、ドラァグクウィーンも、ストレートもみんないるのさ」(多分こんな話し方)と。ちょうど8月26日から31日まで、ワシントンD.C.でNorth American Gay Amateur Athletic Allianceが主催するGay Softball World Seriesが開催されていて、今週はどこのお店にも選手がたくさんいるそうです。よく見ると、女子同士の席もたくさん。日本では、LGBTと言ってもこれだけごちゃまぜで一緒に過ごせる空間はないですが、もしかしたら、スポーツはひとつのハブになるかもなあ、なんて思ったりもしました。ソフトボール?フィギュアスケート?サッカーあたりが落としどころ?あちこちで幸せそうなカップルを見ながら、「決して独身の自由を望んでいるわけではないんだけどなぁ。僕も恋人をつくらなくちゃなあ」と大悟さんがぽそり。なんだかいろんな自由について考えさせられる1日でした。

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