第7回 LGBT Family & LGBT Fakes

8月30日(金)
本日も7時半にホテルを出発です。6泊滞在したワシントンD.C.から向かう先は、IVLPでの3つ目の都市、ニューヨーク!!実は、LGBTをテーマに学ぶプログラムということで、4人ともニューヨークとサンフランシスコは当然、というつもりでいたのですが、出発の2週間前にアメリカ大使館より送付いただいた訪問都市プランには、どちらの都市もスケジュールに予定されていませんでした。一瞬、心が折れてしまいそうでしたが、アメリカは主張する国、ここで折れてる場合ではないと決意し、何とか自腹でも良いので、週末だけでも良いので、どちらかの都市ひとつで良いので、予定に組み込んで欲しいと嘆願。その結果、今日からのニューヨークが実現したという裏話があります。2008年オバマ大統領が誕生した時に暮らしていた街ということもあり、9時20分発の高速鉄道AMTRAKニューヨーク行きの窓から外を眺めながら、なんだか感慨深い思いに浸っていました。

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荘厳な建物、Union Station

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Amtrakに乗って、いざニューヨークへ

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荷物がカバンに入りきらなかったから、とオバマファミリーお土産袋を活用する、関西おばちゃん井戸ママ。好きです。

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連日のパトロールでお疲れの様子。

13時過ぎにPenn Stationに到着した一行は迎えに来てくれていたIVLPバンに乗り込み、本日唯一のアポイントメント先であるニューヨーク州上院議員Brad Hoylman氏の事務所へ。Hoylman 議員は大学院生の時にカミングアウトし、以降ゲイであることを公言し選挙活動も行い、第27地区上院議員に選出された、47歳の清潔で優しい雰囲気のおじさん。今年の2月には、映画監督であり映画「フェアゲーム」のプロデューサーとしても有名なDavid Ivan Sigal氏との結婚のニュースがNew York Timesにて報道されるほど。Oxford大学で政治学修士を取り、Harvard大学Law Schoolも出身というパワーゲイで、住宅問題やLGBT問題に関するNPOの職員としてキャリアを積んできた人材。直前までは、グリニッジビレッジやSoHoあたりを含むManhattan Community Board 2の議長の職に就いていました。

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ニューヨーク到着!

「さて、今日は休日だから幾らでも時間があるよ。何の話からしようか?では、まずは私の家族について紹介させてもらおうかな。」と、iPhoneを取り出し見せてくれたのは、2才になる娘さん、Silviaちゃんの写真。Hoylmanさんと夫の二人で精子バンクに登録し、どちらの遺伝子かわからないように精子を混ぜて、卵子の提供を受けて体外受精を行い、代理母に出産してもらったとのこと。卵子提供者と代理母を別の方にお願いしたのは、出産後の母子の感情問題を考慮して二人で決めた結果。Silviaちゃんには二人の母に会う権利があるので、もちろん、大きくなったら彼女の意思を尊重したいと思っているとのこと。ちなみに体外受精のことをIn Vitro、その反対をIn Vivoというらしいです。ニューヨーク州では代理母が認められていないので、カリフォルニア州にて出産してきたそうですが、ストレートのカップルだけでなくLGBTファミリーのためにも、Hoylmanさんは現在、ニューヨーク州における代理出産を可能とする法案を進行中。ニューヨークの医療技術、特に生殖関連は優れているのに、ヨーロッパ、イスラエル、インドに人が流れている状態。今後のビジネスチャンスを広げるという視点も強調していました。

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愛娘Silviaちゃんの写真を見せるHoylmanさん

「ゲイカップルやシングルファザーなど、男性の親として子育てするのに、ニューヨークの街は優しいですか?」という小野ちゃんからの質問に対して、「いまは結婚ができるようになって、いろんな恩恵を受けることができるように。社会的なバリアはまだまだあるけど、少なくとも法的なバリアはなくなりました。僕たち二人は、いわゆるマンハッタンペアレンツ。仕事が忙しいのでベビーシッターに通常は預けています。マンハッタン在住という高所得層だからできる子育てのあり方かもしれません。託児所に預けるか、祖父母に預けるか、という選択肢しかない家庭もありますからね。いずれにしても、男性にせよ、女性にせよ、子育ては大変!!常に振り回されています。笑。でも、とても幸せです。」と語るHoylmanさんの笑顔は、Silviaちゃんにそっくりでした。

「ご自身がゲイであることを公言していたのは、選挙に有利に働いたと思いますか?」と、今後は井戸さんから鋭い質問。Hoylmanさんからは「答えはYESです。私の選挙区は特にLGBTが多く、彼らの票がある一定数集められることもわかっていました。他の選挙区では当事者であることをクローズにしている議員もいますが、ニューヨークにおいて、黒人、ヒスパニック、ユダヤ系と同様にLGBTが大きな発言力を手にし始めているのは確かです。」との回答がありました。アメリカの進化について1人の国民として驚いていて、彼自身も、同性結婚は実現するかと10年前に聞かれていたら、答えはNOだったと思うとのこと。もちろん、いまだ同性婚やLGBTファミリーの存在に強硬に反対している共和党支持者もいるが、実際は上院議員の4人のうち3人は議席を失い、現在、経済政策にて共和党を支持する有権者の多くは、LGBTに関する政策においては疑問視をしているそうで、社会の実態をいかに真摯に受け止めるかが今後のアメリカ政治に重要になると語るHoylmanさん。今後は、文化的かつ生産的というニューヨーカーらしいQuality of Lifeの向上を目指し、特に人口が増えつつあるLGBTの高齢者のサポート体制を連邦政府の動きと足並みを揃えて推進して行きたいとのことでした。

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レインボーフラッグはどこ?と聞くと、私が歩くフラッグだから要らないよ、とHoylmanさん

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みんなで記念撮影

事務所を出た後は、急ぎ、Times Squareへ。「LGBTについて学ぶ」「ニューヨークで」となれば、必ず体験しなければならないのは、ブロードウェイのミュージカル!4人のお目当ては、Penn Stationに降り立ってから、駅のプラットフォーム、街中の屋外広告を埋め尽くしている、2013年のトニー賞ベストミュージカル賞を獲得した「Kinky Boots」です。2005年にイギリスで公開されたコメディ映画がベースになっていて、田舎の紳士靴工場にドラァグクィーンが登場し色んな事件がおきる、というもの。音楽はCindy Lauper。ミュージカルオタクでもある、僕が姉としたう会社の先輩ゲイも絶賛していた作品なので、期待値大です。オンラインでは既に売り切れ、残念ながらTimes Squareのtktsにも当日券はなし、ということで、最後の望みをかけて劇場の窓口へ。そして、なんと奇跡的に、最後の4枚が、明日のマチネ公演に空席あり!とのこと。速攻チケットを購入し、MoMAのすぐそばにあるホテル「Club Quarters Rockefeller Center」にてチェックインを完了することができました。明日が待ち遠しい!

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街中にKinky Bootsの広告だらけ

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ホテルからMoMAは歩いて5分。久しぶりに行きたい!

夕食は、僕がニューヨークに住んでいる時に、必ず日本からの友達を連れていっていた、Hell’s Kitchenにある人気タイレストラン「Wondee Siam」へ。地元のタイ人がこぞって集まるカジュアルタイ料理で、コストパフォーマンスが抜群。酒類販売免許がないため、飲み物は向かいの酒屋で買ってチャージなしで持ち込めるというサービスも素晴らしい。生きることは食べること、というくらい食への思いが共通する4人が揃うとテーブルはいつも満杯。色んなメニューをシェアしながら、井戸さんが友人から聞いたという新しい人種についての話題に。それは、LGBT Fakes。偽装LGBTというもの。最近のLGBT、特にゲイのイメージが、オシャレで、スマートで、やさしくて、という具合に非常に良く、仕事や人間関係づくりにおいて、ゲイであることのメリットが多いため、本当はストレートなのに自分はゲイやバイセクシュアルなのかも、セックスの経験もなきにしもあらずだし、と語り出す人たちがチラホラ存在するという。尾木ママもびっくりですね。一時期、メトロセクシュアルとかクリエイティブクラスとかいう言葉も生まれましたが、そんな新しいカテゴリーとして育っていくのでしょうか。どちらも鳴かず飛ばずの人種でしたが。笑。いろんな人、面白いことを考える人がいるんだな、と単純に感心してしまいました。自分は100%LGBT、自分は100%ストレートとバチッと決められるものでなく、セクシュアリティはグラデーションのようなものだと思うので、自己申告制で良いとは思いますが、ノンケ好きの僕としては、紛らわしいことは反対です!

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Wondee Siamおすすめの空芯菜炒め

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チキンのパッタイ

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エビのトムヤムクン

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白身魚の甘辛揚げ

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定番のグリーンカレー

Hell’s Kitchenは、最近はLGBTフレンドリーな街としても有名。もともとストーンウォールの反乱の頃はGreenwich VillageあたりがLGBTタウンでしたが、家賃等があがり、若いLGBTたちはChelseaエリアに移り住み、2000年代はChelseaが新しいLGBTタウンに。そしてここ10年、Hell’s Kitchenとさらに上にあるHarlemあたりがLGBTタウンとして育って来ている状況。マンハッタンは、LGBTが民族大移動を繰り返しながら、オシャレな街を作ってきたというわけです。夕食後は、大悟さんと恒例の夜のパトロール in Hell’s Kitchen。ニューヨーク在住の15年来の友人takuyaも加わり、2フロアある大箱バーの「Therapy」、1フロアにバーカウンターとソファ席とミニダンススペースが詰まった「Industry」と探検。「ワシントンD.C.に比べて、圧倒的に人が多いんですね。どうせ現場を見るなら、もっと踊れる場所が良いかもしれません。私、踊るの好きですから。」と大悟さん。踊るのが好き!?「現場主義」と踊るのは関係ない気が。。。そんな大悟さんの勇気ある告白を無駄にしては行けないと、最後はtakuyaがおすすめする、良いDJがいつも回していてフロアも大きいという「Ritz」へ。LGBTだけでなく、夜遊び好きのニューヨーカーも集まる店。セクシュアリティも国籍も年齢層もバラバラの人たちが(大悟さんも含め)、楽しそうに踊っている姿をみながら思いました。やっぱり僕はニューヨークが好き!

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ニューヨークは空前のラーメンブーム。行列のできる店があちこちに。

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Hell’s Kitchenのクラブ&バー「Ritz」

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踊る!大悟さん

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