第8回 Beyond generations

8月31日(土)
明日の午後にはニューヨークを発ってしまうため、土曜日であろうと朝いちから行動開始です。昨日、Hoylman上院議員の事務所にて、スタッフの方とお話をしたところ、9月10日に投票があるニューヨーク市長選予備選に出馬するレズビアン立候補者Christine Quinn氏のために、Greenwich Villageにてビラ配りをするとのこと。他にもたくさんの候補者が、いわゆる辻立ちをするから是非見に来たら?との誘いもあり、9時には地下鉄に飛び乗ります。14th Streetにて下車し、ChelseaからGreenwich Villageへと歩いて行きます。到着した先には、小さな公園を取り囲む形でグリーンマーケット。地元の方々が朝食の野菜とパンを調達しがてら、犬を連れてお散歩。その周りに、何人もの候補者たちがテントやブースを構えて、道行く人たちに声をかけ、お話し、握手をして、いっしょに写真を撮って、思い思いの意気込みを伝えています。「選挙活動って、どこの国も同じなのね」と井戸さんがぽそり。

9月10日はニューヨーク市長選だけでなく、ニューヨーク市議会議員の補選、マンハッタン区長選などの予備選が行われるようです。残念ながら、Quinn氏の姿はありませんでしたが、何人かの候補者と直接お話をし、思いを聞くことができました。興味深いのは、ちょうどニューヨーク市議会元議長のQuinn氏が出馬することに伴い、その議席を争うことになるマンハッタン3区の市議会議員選挙の構図。民主党の予備選には、Masconomet High Schoolのアメリカンフットボールチームのキャプテン時代に、アメリカで初めて高校生プレイヤーとしてゲイをカミングアウトしたCorey Johnson氏と、弁護士の資格をもちながら長年、LGBTや女性の権利保護の活動をしてきたレズビアン・アクティビストのYetta Kurland氏の一騎打ち。LGBT 候補者 vs LGBT候補者という状況。しかも、New York Timesからエンドースされた(公式推薦された)Johnson候補者に対して、レズビアンであるQuinn氏が後継として推薦を、Kurland候補者にはストーン・ウォール事件の舞台となったゲイバー「ストーンウォール・イン」の関係者やゲイコミュニティがついているなど、ゲイだからゲイを応援、レズビアンだからレズビアンを応援、という単純なものではないところが、日本より遥か先を歩いているような。。。将来、そんな日本になっているのかなあ。

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Johnson候補者と。気さくな兄ちゃん。結構好きです。

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Kurland候補者の選挙活動を、ちょこっとお手伝い

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Kurland候補者と。どちらも、頑張って!

Coreyさんも、Yettaさんも、どちらもカッコいいし決められない!とお二人ともに笑顔でGood Luck!の挨拶をして、グリーンマーケットをあとにしました。やはり選挙の現場に立つと興奮するのか、井戸さんも大悟さんも喉が渇いてしまったとのことで、スタバで一休みしたあと、アメリカ最大のLGBTコミュニティスペースThe Lesbian, Gay Bisexual & Transgender Community Center(通称The Center)へ。ワシントンD.C.にて訪れたThe DC Centerもこちらの施設を参考に立ち上げたとお聞きしましたが、比ではありません。3階建てのビル丸ごとがコミュニティセンターとなっています。土曜の朝にも関わらず、Centerには結構な人が集まっていて、1階の受付にてプログラムの問い合わせをする人、2階の掲示板(ゲイ向け、レズビアン向け、バイセクシュアル向け、トランスジェンダー向けに分かれているだけでなく、HIV関連、高齢者、住居、ヒスパニックなどなど、全部で20くらい存在)にて情報を探している人、3階のイベントスペースでは拒食症・過食症を含む摂食障害の人たちのワークショップも開催されていました。新宿のakta、横浜のSHIP、最近オープンしたばかりの愛媛の虹力スペースなど、日本にもいくつかLGBTセンターはありますが、ここThe Centerは多くのNGO/NPOの情報集約や相互連携のハブとしての機能、具体的なコンテンツを実施するための場所や人材を提供する機能にフォーカスを当て、コミュニティ全体の底上げを行っているように感じました。

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The Lesbian, Gay Bisexual & Transgender Community Centerへようこそ!

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2階には、All Genderトイレも。

その後、お昼の時間は3人とは別行動にて、歩いてMeatpacking Districtへ。Chelseaの南端とWest Villageとのちょうど境目あたりに位置するこの辺りは、ほんの15年くらい前までは、その名の通り食肉市場がありマンハッタンの飲食店が仕入れにきていたエリア。再開発により大箱のクラブやデザインホテル、ブティックなどが集まり、今ではファッションやカルチャーの発信地に。地区の目印にもなっているSpice Marketという大型施設内には、ロンドンが本店で世界の富裕層の人たちが10,000人以上、会員になりたくて順番待ちをしているという会員制レストランSOHO HOUSEが入っていて、Sex and the CityにてSamanthaがWaiting Listにも入れてもらえず、盗んだ会員証で忍び込もうとしたお店としても有名です。今回の渡米直前に仕事関係で知り合った、ニューヨークにて食関連のプロデューサーをしている妙子さんがこちらの会員ということで、ランチにご招待して頂くことに!(というか、おねだりしました。)屋上のプールサイドで昼間っからシャンパンを飲みながら、IVLPのこと、プライベートのこと、今後の仕事のことなどについて2時間ほどおしゃべり。ほんの束の間でしたが、ちょっとビッチなニューヨーカーライフを体験させて頂くことができました。

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昼シャン!

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撮影NGの屋上プールサイドを、こっそり。ごめんなさい!

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SOHO HOUSEの前で妙子さんと。

14時からは、3人と合流。彼らは彼らでSex and the City巡りをしてきたとのこと。Carrieラブ♡!のSATCフリーク小野ちゃんは、すっかり少女の目に戻っていました。そしてそして、昨日、奇跡的に購入することができた、ミュージカル「Kinky Boots」の劇場に。4席ともバラバラのPartial View(ちょっと端っこが切れて見えなかったりする席)ということでしたが、ここで事件発生。入り口で止められた井戸さんのチケットが何故か来年の5月31日の席になっています。そんなことって。。。汗。結果的には関西パワフルママの寄り切り、発券ミスということで、1席350ドルほどするど真ん中の席を確保されていました。作品自体は、ただただ素晴らしい、の一言。できればお友達とか家族の方とか仲の良い同僚の方とか、どなたかといっしょに観ることをオススメします。まだご覧になってない方にネタバレになってしまうといけないので詳細は控えますが、観終わった後も、ずーっと4人で作品を通して伝えたかったことや持ち帰ってもらいたかったことは何だったのかを語り合い、その時間さえもとても濃いものとなりました。単にドラァグクィーンが出てくるキラキラしたショーということではなく、自分らしく生きること、誰かが誰かに必ず支えられているということ、父と息子の確執と世代を超えて築く人間関係など、メッセージは何層にも重ねて込められています。マチネ公演ということで、会場内はご年配夫婦もたくさん。最後のスタンディングオベーションで、いっしょになって腰を振って踊っている人たちもいて、ほっこりした気分になりました。エンターテインメントを通したAllyづくり、LGBTもAllyもそして興行主も、みんながハッピーになる仕掛けっていいなあ。

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フィナーレの様子をこっそり。ごめんなさい!

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入り口でLaulaといっしょに。

夕方からは、Christopher Parkへ。ちょうど同時期に「LGBT Youth Japan」という団体によるLGBTスタディツアーにて、学生を含む20代のLGBT&Allyの若者たちがニューヨークに滞在中。アメリカにおけるLGBTの歴史を学ぼうと、ニューヨーク在住のジャーナリスト北丸雄二さんをゲストガイドに招いたミニツアーを組んでいるということで、合流させてもらいました。ストーン・ウォール事件の舞台となったゲイバー「Stonewall Inn」、数年前に閉店してしまった世界初のゲイブックストア、三島由紀夫がお忍びできて入店拒否をされたというアメリカで初めてできたゲイバー「Julius」などなど。色々なことを乗り越えられて、ひとまわりもふたまわりもしてきた大人の北丸さんからは、背景にあったストーリーと歴史といまをつなぐ視点を丁寧に教えてもらいます。目をキラキラさせて、必死にメモをとり、ガシガシいろんなことを貪欲に吸収していく若者たち。夕食は、ニューヨークのTOPレズビアンシェフJody Williamsのビストロ「Buvette」に、北丸さんが席を予約してくれていました。美味しい白ワインを飲みながら、二つの力あるジェネレーションに挟まれ、中途半端に大人になってしまっているところも多い自分に反省しつつ、こうやって世代を超えてつながることができるのがLGBTとして生きる一番の魅力なのかもなと感じました。

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北丸さんの説明を聞く若者に混じって、おじさん一人。

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Stonewall Innにて。

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Stonewall Innの店内に飾ってある、事件当時の新聞記事。

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ガチムチゲイカップルがオープンして大ヒットの「BIG GAY ICE CREAM」。スタディツアー主催者のナツコちゃんと、ツアー参加者の元Re:bit代表やっくん。

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街中にはアプリの大きな看板も。「Laptop or Mobile. We’re versatile.」という、ちょっとエッチなコピー。

ニューヨーク最後の夜のパトロールは、といっても二日しかなかったのですが、北丸さんと大悟さんと。「Stonewall Inn」の近くにある老舗のゲイバー「Duplex」、Chelseaにある20代30代が中心の「G-lounge」をはしごした後は、東京からUS Openを見に来ている友人カップルと合流し、大型クラブイベント「WE Party Airlines」へ。Hammerstein Ballroomというコンサートホールをクラブに変身させたこのイベントのテーマは、エアライン。「We fly higher!」を合い言葉に、入り口には金蔵探知機、ドラァグクィーンのフライトアテンダント、搭乗券型のチケット、エアライングッズ販売、機長ルックのGo-Go-Boyという凝りようで、ロンドンをベースにそれこそ世界各国を飛び回って開催しているとのこと。当日券はなんと120ドルということで失神しそうでしたが、現場主義の大悟さんは、「見られるものは、なんでも見ておいたほうが良いでしょう。あ、お金足りないので貸してください。」とのこと。お客さんにも、エアラインテーマのコスプレ軍団がちらほらいました。自称踊ることが好きという大悟さんは放っておき、僕は1時間ほど友人カップルとおしゃべり。「なんでも見る」というポリシーに従い、最後は大悟さんと最近ニューヨークにできたLGBTホテル「THE OUT NYC」で開催されているMixイベントに移動し、友人takuyaと二晩連続で夜遊び。ちなみにこのホテル、コンセプトは「ストレートフレンドリー」とのこと。LGBTフレンドリーなんて、ニューヨークでは過去の話のようです。

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WE Party Airlinesの受付。

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中に入るための金属探知機。前のイケメンのお客さんは、スタッフにボディチェックということで全裸にさせられてました。悲しいかな、僕らは見むきもされずスルーでした。

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ストレートフレンドリーなホテル「THE OUT NYC」。

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