第13回 Gaydar と Gay magnet

9月5日(木)
ワシントンD.C.、ボルチモア、ニューヨーク、シンシナティ&北ケンタッキーに続く、IVLPでの5つ目の都市タルサに向かうため、各地での資料とお土産により日に日に増えていく荷物を何とか詰め込み、8時にホテルをチェックアウト。空港での預け荷物もみなさん重量制限ギリギリ状態です。お土産ショップにて、シンシナティのお父さんたちが熱狂していたレッズグッズ、何故そこまで人気なのかいまだに謎のレストランSkyline Chiliのソースなどを物色しつつ、ベンチに座って予想以上に実りの多かったシンシナティでの思い出話で盛り上がっていると、通訳のFredさんが慌てて僕たちのところにやってきます。「10時19時発の、私たちが搭乗する予定のUnited Airlinesのシカゴ行きの機材が、9時40分の現時点でもまだシカゴを飛び立っておらず、シンシナティに到着までまだかかるそうです。このまま遅れてシンシナティを飛び立ったとしても、シカゴからタルサ行き便に乗り継ぐ時間がかなりタイトに。シカゴにて走って乗り継ぎになるかもしれないので、覚悟していてくださいね。」手荷物抱えて6人でシカゴ空港内をダッシュというのも、それはそれで旅の思い出としては楽しいかもなんて一人でワクワク期待しちゃってましたが、結局機材は間に合わず。12時のシンシナティ発、シカゴで乗り換えて18時にタルサに到着という便に振替となりました。

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あすなろ白書ごっこをした、我らが母校Northern Kentucky大学の広告の前で。

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Skyline Chiliのお土産。

出発まで時間ができたのですが特にやることもなく、シンシナティ空港の搭乗口そばの待合所にて、2CHOPOの原稿をシコシコ書きながらテレビから流れるCNNをぼんやり見ていると、ロシアでの同性愛宣伝禁止法に関するニュースが。そう言えば、もうすぐブエノスアイレスでの2020年オリンピックの開催地発表だなぁ、なんて思っていたら。。。あれ?何だろう?この人、どこかで見たことあるような。。。気になってこれまでの記憶を辿ろうとすると、女性キャスターから一言。「それでは、LGBT関連の世界的動向にも詳しい専門家の方からご意見を。Human Rights Campaign国際関係セクションの、Ty Cobbさん、これからのこの動き、どうなっていくのでしょうか?」ちょうど、ワシントンD.C.にて、現在進行中の対ロシアキャンペーンについて説明くださった、Human Rights Campaignの若きエース、Tyさんが映っているではありませんか!髪型もテレビ用にちょっぴりキリリとした印象に。しかも、ロシアの強硬な姿勢に対してアメリカとしての対応を検討するということで、オバマ大統領がNPOの人たちと近々で意見交換をするらしいです。もしかして、Tyさんたちと?さすが世界最大のLGBT関連NPOのHuman Rights Campaign、やることのスケールが違います。

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CNNニュースに登場した、若きエース(に勝手に認定。)のTyさん。

約2時間遅れにて、シンシナティを出発。乗り込んだ機材は、中央の通路を挟んで左に1席、右に2席しかない小型ジェット。たった一人のフライトアテンダントで機内を往復して、離陸準備を進めています。いよいよエンジンもかかり、緊急時に備えた案内が開始。小さな機材は、息苦しくて揺れも激しいので嫌いなのですが、実は、この時間だけは唯一の楽しみ。ビデオ上映ではなく、フライトアテンダントによるマニュアル対応。特に、アメリカ系のエアラインにて長年経験を積んで、それに比例してメイクと脂肪が分厚く積まれてしまったベテランのオバちゃんフライトアテンダントが、この上なく気怠そうに酸素マスクのゴムを引っ張る姿に、何だか見てはいけない人生の悲哀を感じてしまうのは僕だけではないはず!今回はおっさんフライトアテンダントかぁ、しかもイケメンでもないし、と機材に乗り込む際にガッカリしていましたが、前に立って説明している、このやる気のない態度。そして滑らかな手つきと首の動き。もしや。。。ゲイ?

シンシナティ空港を飛び立ち、ドリンクサービスが開始。予想的中です。日本でもここんとこ忙しくて磨く暇のなかった僕のGaydarは、まだまだ機能していました。頼んだオレンジジュースをなかなかグラスに入れてくれなかったり、ようやく注ぎ終わったら紙ナプキンでグラスに蓋をしたり、僕と大悟さんに、あれこれ絡んではイヂワルしてくる、おっさんフライトアテンダント。この期に及んで「男二人で、シンシナティで何してたんだい?」と遠回しの質問。「アメリカ国務省のプログラムで、LGBTの人権の現状について当事者として学んでいるところです。」と直球で返すと、一瞬ひるんだ後、「面白そうなプログラムだね。僕の彼氏もお母さんが日本人のハーフなんだよ。君たち、カップル?」と笑顔で嬉しそうに、そしてちょこっとオネェで、こそこそっと教えてくれました。「僕らはカップルではないですよ。隣の女性と後ろの席の女性を含め、ゲイとレズビアンとストレートの混合チームで、このプログラムに参加してるんです。」とプログラム資料をお見せし、あれこれ説明。おっさんフライトアテンダント改め、ちょいオネェフライトアテンダントのBrianさんは、同じくUnitedに勤務していた彼氏と職場恋愛で16年のお付合い。同性婚NGのミシガン州に住んでいて結婚はまだできないそうですが、来週の水曜日には養子縁組エージェントとの面接を控えているとのことでした。Brianさんよりお先に退職した彼氏は、現在は主夫業をしていて、Brianさんの休みに合わせてUnitedの福利厚生で世界各地を月に1回は二人旅!羨ましい限りです。

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United Airlinesの機上で出会った、フライトアテンダントのBrianさんと。

「ミシガンでは同性婚が認められてないのに、子どもをもらって養子縁組をすることはできるの?」と聞くと、Brianさんからは「養子縁組は、僕と子どもの二人の間でなら結ぶことができるんだよ。彼氏は同居人として一応記録される形。なんだか家族として認められないのは悔しいけど、あと5年待てば時代が追いついてくると思うよ。亡くなった彼氏の日本人のお母さんがここにいたら、良かったのになぁ。彼氏には前に結婚していた時の子どもが二人もいて、だけど僕とカップルになって。お母さん、日本人のゲイが周りにいなくて、相談する相手もいなくて苦しんでいたから。」とのお返事。ふと、日本にいる両親のことを思い出し、胸が苦しくなり、ちょこっと深呼吸。やばい、そう言えば二人に何にもお土産も買ってない。汗。。。ちなみに、GayとRadarの造語Gaydarは日本で使われているだけかと思いきや、アメリカのLGBTの間でも普通に通用しているとのこと。こちらが、ネット単語帳から引っ張ってきた説明文。そうそうそう、という感じじゃないですか?

Gaydar (a portmanteau of gay and radar) is a colloquialism referring to the intuitive ability of a person to assess others’ sexual orientations as gay, bisexual or heterosexual. Gaydar relies almost exclusively on non-verbal clues and LGBT stereotypes. These include (but are not limited to) the sensitivity to social behaviors and mannerisms; for instance, acknowledging flamboyant body language, the tone of voice used by a person when speaking, overtly rejecting traditional gender roles, a person’s occupation and grooming habits.

シカゴに到着し、日本からIVLP訪問先用に買ってきた抹茶ラスクのお土産をBrianさんにプレゼント。次回、日本に二人旅に来る際は、みんなでご飯を食べましょうということに。そんな機上での出来事を、井戸さんと小野ちゃんと4人で話をするなかで、これは、GaydarなのかGay magnetなのか、という議論に。僕の勘が鋭くゲイの人をかぎわけることができるのか、それとも周りにわかるくらい僕がバレバレなのか、たまたまゲイの人を近くに引き寄せてしまう謎の磁力があるのか。。。確かに、これまでの人生を振り返っても、学校や仕事や趣味や近所にまで、とても近い関係で、ひょんなことでゲイの人が登場したり、本当はゲイだということが発覚したりする人が多く、実はそれがゲイだけでなくLGBTに広げても同様だったりもします。もしかしたら、本当はそれくらい世の中にはたくさんLGBTが身近にいて、僕の場合は、カミングアウトしているから相手も明かしてくれているだけなのかもな、なんて考えてみたり。GaydarとGay magnet、まじめに研究とかすると面白いかもしれませんね。ちなみに、世の中には、30代・40代ストレート女性にGay magnetが存在するのは確かです。井戸ママが、その典型。今回の2CHOPOの記事に使っている写真の殆どは、井戸ママがところ構わずガシガシ撮影しているものを使わせてもらっているのですが、ゲイは彼女のような生きる力の強い、愛嬌あるオバさん(井戸さん、何度もオバさんって、ごめんなさい!)が大好き。何より、一緒にいて楽しく、学ばせてもらうことが多いからだと思っています。僕の中で見つけた、勝手なGay magnetオバさんの共通点は3つ。よく食べる!よくしゃべる!そして頼れる!

当初の予定から約5時間遅れでオクラホマ州のタルサに到着。空港にピックアップに来てくれたのは、今回のタルサでのプログラムを組んでくださっているTulsa Global Alliance(TGA)のボランティアスタッフのAngieさん。陽気な黒人ママで、森公美子と中尾ミエのちょうど中間地点くらい。とにかく、オーバーリアクションでお出迎えです。アメリカのちょうど真ん中に位置するタルサは、9月に入っているのに夕方でもまだまだ蒸し暑く、ホテルへ向かうバンの中から見える景色は、だだっ広い土地にポツリポツリと大きな住宅。ここがDowntownです、というAngieさんの案内を聞いて外を見てみても、さっきまでとそこまで変わらない気も。。。汗。「タルサ、大丈夫??」と、シンシナティ初日の時のような不安感を覚えつつ、なんだかんだシンシナティでも学ぶことが多かったので、あとは全てAngieに身を預けるしかない、と心を決めることにしました。

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オクラホマ州タルサに到着!

20時前にようやく到着したHoliday Innの1階レストランでは、同時期に「若者の貧困」をテーマに南米からタルサを訪れているIVLPグループが、TGAのスタッフと地元のボランティアの方々と懇親会を開いていて、ちょうどそろそろ終わりに近い状態。Angieさんは「もっとフライトが早くついてたら合流するつもりだったけど、どうする?あんたたちのお好きにどうぞ!」と放任主義の様子。「ちょっと疲れてるし、このタイミングで合流してもね。。。」なんて、4人で近くのレストランでも探そうかと話を始めようとして横を見ると、Fredさんは既に南米チームに混ざってみんなとお酒を飲んで、こっちこっちと僕たちを呼んでいます。さすがのマリエさんもグッタリの様子でしたが、仕方なく合流。何人かの方とおしゃべりしたところで、あっという間にお開きに。何となく流れで、日本チームを代表して何か一言ということで、前に出ることに。。。事前情報でかなり保守的な街と聞いていたこともあり、「LGBTはとても難しい問題。色々学ばせて頂きたいと思います。愛は世界を救うと信じて。」と、何となく無難な挨拶ですませてしまいました。

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IVLP南米チームの懇親会に合流。

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日本チームを代表して挨拶。「愛は世界を救う!」

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Tulsa Global Allianceのメンバーと。

夕食は懇親会に参加していた地元ボランティアの方に誘われて、タルサで一番美味しいとのピザ屋さんへ。中学生の時にメキシコから移住して来たという、地元ラジオ局をいくつも経営しているという金持ち風(メルセデスのCLクラスに乗ってたので)のAlexさんと、元アメフト選手もしていた現在自称アーティストのスペイン人Ricardoさんが、初対面の僕たちに何故ここまで親切にしてくれるのかは謎でしたが、それがタルサスタイルだと自分たちを納得させ、気にせず楽しむことに。気になったのは、Alexさんが「ゴンたちが、アメリカで学ぼうとしているそのトピックは…」とか「日本では、あなた達のそういう部分を伝えると…」と、絶対にテーブルでゲイとか、LGBTとかを口にしないこと。。。やはり、超保守のオクラホマ州タルサは、そういう土地なんだ。。。汗。

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ここのピザ、デカさがハンパない。iPhoneと比べてみてください。

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AlexさんとRicardoさんといっしょに。

そうこうしていると、隣の小野ちゃんが突然グラスを置いて一言。「あ、あたし、思い出した!今日、あたしの誕生日だった!」そんなことって、あるの?そして、ここからが小野ちゃんマジック。幸せと出会いを引き寄せる磁力をもっています。ハッピーバースデーの歌をAlexさんとRicardoさんと一緒に歌い終わるやいなや、なんと隣のテーブルからもハッピーバースデーの歌が。スイス人のビッグファミリーが、おじいちゃんのお誕生日をお祝いするため、ディナーに来ていたとのこと。すかさず、井戸ママの「Today is her birthday, too!Can we take a photo together?」攻撃。大騒ぎしている二つのテーブルに、お店から誕生日ケーキのプレゼントも登場。タルサでの研修も、大成功の予感がした夜でした。小野ちゃん、おめでとう〜。

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おじいちゃんの誕生日ディナー中と、スイス人ファミリー。

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小野ちゃんにも、お店からケーキのプレゼントが!

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