第15回 【全米が泣いた】ゲイの孫を捨てた娘へ、おじいさんの手紙

 

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まきむらよ。

世界のニュースから性を考える「まきむぅの虹色ニュースサテライト」、今回は感動かつ考えさせられる話題をお届けします。

欧米では、我が子が同性愛者/バイセクシュアル/トランスジェンダーであると知った親が、そのことを理由に子どもを捨ててしまうケースが社会問題化しています。いわゆる「LGBT若年ホームレス」と呼ばれる問題ですね。

そんな中、とあるおじいさんから、ゲイの孫を捨てた娘に宛てられた手紙が英語圏で爆発的話題になっています。

発信元となったfacebookの記事は、10月5日現在18,000を超えるいいね!を獲得。9,000回以上シェアされ、1,200を超えるコメントが殺到しています。

今回はそちらの話題をきっかけに、

★ ゲイの孫を捨てた娘へ、おじいさんからの手紙
★ 全米が泣いた! 各メディアやfacebookでの反応
★ “ホモはうちの子じゃない”欧米におけるLGBT若年ホームレスの現状
★ 日本の現状は? わたしたちになにができるか?

という流れでご紹介していきたいと思います。

★ ゲイの孫を捨てた娘へ、おじいさんからの手紙

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画像:FCKH8.com公式facebookページスクリーンショット、2013年10月5日閲覧

ことのはじまりは、同性愛嫌悪に反対するメッセージTシャツのブランドこちら

ひねくれた見方をすれば、Tシャツブランドの宣伝記事かもしれません。しかし、「家族の恥」「自然に反する」といったような同性愛者に向けられる批判をそのまま同性愛嫌悪者に返す言葉遊びや、孫を捨てた娘を厳しく突き放しながらも「心を取り戻したなら、電話をするように」としめくくる優しさには、強く胸を打たれます。

★全米が泣いた! 各メディアやfacebookでの反応

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※ 画像はPinkNews

おじいさんの言葉は、「この親にしてこの子あり」だなんて言いきれないということを強く思い起こさせます

また、facebookの元記事や各メディアの紹介記事にも、恐らく総計数万件に及ぶであろう賛否両論のコメントが殺到しています。

▼ネットの反応:疑ってる系
「facebookにこの記事を投稿した会社は、コメント欄で19.99ドルのパーカーと9.99ドルのTシャツを宣伝している」

「なんだか、若い人が書いた偽物っぽく見えるんですけど……。この手紙って、捨てられたゲイの息子がTシャツブランドに送ったって設定だけど、いくら自分を捨てた人間とはいえ、自分の母親を全世界の批判にさらすようなことするなんてありえなくない?」

「最近の同性愛権利運動家どもは、どこから出たのかわからない匿名の手紙まで使って主張するようになりやがったのか……メディアってやつはなんたる茶番劇に成り下がったんだ。こんなもの、ジャーナリズムの風上にも置けない」

「フェイクだろ、フェイク。クソみたいなTシャツを売るための捏造記事だろ」

▼ネットの反応:おじいさんを批判してる系
「本当かな? 子どもを捨てた母親には賛成しないけど、それにしてもこのおじいさんの方だって彼女の言い分を聞く機会を持つべきなんじゃないか。この人は家族をさらに壊したにすぎない。とても素晴らしいとは思えないな」

「ちょwwwwおまwwwww『子どもを捨てるなんて自然に反してる』って言った2秒後に、自分の娘を捨てる宣言してる件についてwwwwwww」

「確かに良いおじいちゃんかもしれないけど、良い父親ではないな」

▼ネットの反応:ゲイへの誤解が浮き彫り系
「息子がゲイだってことは、つまりセックスしてるってことだろう? ゲイうんぬんはともあれ、子どもがセックスしてるならやめさせるってことはしつけの一環じゃないか」

「あんた何言ってんの? 世の中には童貞ゲイもいるし、童貞ヘテロもいるし、童貞バイもいるし、童貞アセクシャルもいるのよ。セックスの経験と性的指向は関係ないの。『息子がヘテロだってことは、つまりセックスしてるってことだろう?』だなんて言えないでしょ」

「この記事に書いてある内容だけじゃ判断できないなぁ。母親の年齢とか、この家族の住んでいる場所とかが書いてないから……たぶんこの母親は、自分も孫の顔が見たかったから、息子がゲイだってことを悲しんだんじゃない?」

「なんですか? じゃあ、記事に彼らの朝食の内容とか好きな色まで書いてほしいっていうの? 子どもを捨てても許されるような理由をあなたは探しているの? それに、子育てをしているゲイなんていくらでもいます。自分の息子がゲイだったからといって、孫の顔が見られないとは限りません」

▼ネットの反応:絶賛してる系
「感動した!! もっともっと広まるべき!!」

「ゴーゴー、おじいちゃん!! あなたが私のパパだったらいいのに。あなたの毎日が平和で、喜びにあふれたものでありますように!」

「上の世代は同性愛に理解がないし人種差別的だって言われるけど……この人はそういう偏見のバリアすらも壊したんだな」

「ワンダフル! ブリリアントよ! おじいちゃん!!」

※ 以上、TIME Newsfeed / PinkNews.com / The Huffington Post / MSN Nowのユーザーコメント欄より一部を翻訳引用

ということで、賛否両論の大きな反響を呼んでいます。

手紙を掲載したTシャツブランドFCKH8.comは、公式facebookページやメディア取材においてこう答えています。

「手紙の写真は、ミシガン州のあるお客様から送られた本物です。お客様には当ブランドのTシャツをプレゼントし、公式の場でお話をしていただける可能性があるかどうかお伺いしているところです」

ことの真偽は今の段階では判断できませんが、それにしてもこのおじいさんの手紙、大きな感動と活発な議論を呼び起こしたことは事実です。

また悲しいことに、この手紙のケース以外にも、「レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーである子どもを嫌悪して捨てる」いわゆるLGBT若年ホームレスの問題があることもまた事実です。続いてはこの問題の現状と、日本にいるわたしたちになにができるかを考えていきます。

★ “ホモはうちの子じゃない”欧米におけるLGBT若年ホームレスの現状

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上のグラフは、2012年にアメリカ・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のウィリアムス研究所で行われた、アメリカにおける若年ホームレスとセクシュアリティの関係の調査結果です。

この調査によれば、何かの理由で家に帰れない若年者の保護施設を利用した者のうち、40%がLGBT(※レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーをまとめていう総称)だったとされています(★2013年4月「まきむぅ&こゆたんのレズビアンチャンネル」放送アーカイブ:「10代でホームレス」

★ 日本の現状は? わたしたちになにができるか?

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若者ホームレス白書」が発行されています。

しかし当事者支援の現場でセクシュアリティを聞くことはないため、LGBT若年ホームレスについては、
「そもそもいるかどうか調査されていない」
「いても見た目でわからない、言えない、聞かれない」

というのが現状なのではないかと考えられます。

わたしの予想だけれど、日本ではそういう若者はすぐに児童養護施設に保護されるのではないでしょうか。心配なケースだと、出会いアプリや出会いサイトで、セックスと引き換えに宿泊場所を提供してもらういわゆる「神待ち」の未成年者もいると思っています。

そんな中、LGBT若年ホームレスをめぐる状況改善のために個人ができることは、

・同性愛や性別越境に抵抗感を持つ人とも、ゆっくり対話を試みる。
・未成年者買春をしない。未成年者売買春は匿名通報ダイヤルなどを利用して届け出る。
・ホームレス支援、貧困者支援活動へ募金やボランティアで協力する。
・保護施設に募金や物資の寄付をする。

といったことだと思います。

それから、家に居場所がないと感じる未成年者のみなさんにも、「世界は家と学校だけじゃない」ということを忘れないでいてほしいなと思います。カリフォルニア州のLGBT若年ホームレス保護施設には、各部屋に「パリ」「ローマ」といった都市の名前がついているんですよ。たとえ居場所を追いやられても、人はいつか自分の力で広い世界に居場所を探しにいけるのだ、ということを思い出してもらうために。

ということで、とっても長い記事になっちゃったけど、読んでくださってありがとう! また来週月曜日にね。まきむぅでした◎

 

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