第16回 世界の同性愛診断法~画像から医学テストまで~

 

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まきむらよ。

世界のニュースから性を考える「まきむぅの虹色ニュースサテライト」、第16回となる今日の特集は「同性愛診断法」です。

「ゲイかも……」
「レズビアンかも……」

そんな想いから、同性愛診断法をお探しの方は多いのではないかと思います。あとで紹介しますけれど、この記事を書くためのリサーチでもものすごい大量の同性愛診断テストが見つかりました。

最初に申し上げますが、

同性愛はお医者さんや他人が診断するものじゃないのよ。

1993年、世界保健機関(WHO)は「同性愛って治療するもんでもできるもんでもないからねー」と宣言。以降、同性愛は病院で使われる言葉ではなく、社会の中でカテゴリ(他人を分類する)もしくはアイデンティティ(自分を説明する)して使われる言葉になりました。

もはや「同性愛」は、病名ではありません。だから同性愛を診断するための医学的診断基準も存在しないわけです。言い換えれば、同性愛かどうかということは、同性愛だと思うかどうかという基準でしか決まらない、というわけね。

にも関わらず、「同性愛を診断したい」という願いはつきません。それは「自分を分析したい」想いからであったり、あるいは「他人を区別したい」想いからであったりします。

そこで今日は、世界各国で今起こっている事例をピックアップ。

★ 英語圏のWEB上で定番化する「ゲイ診断」
★ 保護のための診断―イギリス、難民審査でハメ撮り提出!?
★ 診断のための演技―アメリカ、「君はゲイ度が足りないな」
★ 排除のための診断―クウェート、同性愛の医学的テストを開発

という流れで、現代の「同性愛診断法」に迫りたいと思います!

★ 英語圏のWEB上で定番化する「ゲイ診断」
まずは、次の画像を見てみてください。

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※quickmeme.com他より、日本語訳は筆者による

以上ご紹介したのは、英語圏のインターネット・ミーム(※ネットで流行る“ネタ”のようなもの。詳しくは第9回『「ホモォ…」SNSに潜む「インターネット・ミーム」と同性愛』を見てね)です。

ネタですから信用度は低いですが、人気は高いです。これら「ゲイ診断」は今や英語圏のインターネット上で一種の定番ネタ化し、今でも一般のユーザーによって新作が作られてはfacebookやtwitterで拡散されています(参考:BBCニュースに対し、「まったくバカげている」とバッサリ批判コメントを寄せています。

イギリス内務委員会によれば、同性愛者である証拠として、「たいへん個人的な性的行動」が記録された写真・映像が提出されていたケースもあるとか。「同性愛者であることの証明」なんて、そもそもプライバシーすぎるし無理な話です。保護されるべきは「同性愛者である証拠」を持つ人ではなく、「迫害された事実」を持つ人なのではないでしょうか。

★ 診断のための演技―アメリカ、「君はゲイ度が足りないな」

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ザ・ニューヨーク・タイムズによって報じられています。

記事中、人権活動家ローリ・アダムス氏はこんな指摘をしています。「入国審査官たちはどうやら、こんなふうに考えているようだ。『同性愛者であることを理由にアメリカへ避難したい者は、見た目ですぐ同性愛者だとわかる者であるべきだ。見た目がゲイゲイしくないならば、自分の国に帰り、ゲイであることを隠しながら暮らせばいい』と」

また避難者に対し、こんな指摘がなされたということも証言されています。「あなたは性転換をしていませんね。ゲイには見えません。なんのリスクがあるというのですか?」

ゲイ=性転換じゃないんですけど

中には弁護士によって、「あなたにはゲイ度が足りない。審査に通りたいならもっとゲイゲイしい格好をしたほうがいい」などとアドバイスされた例もあるのだとか。

何度も言いますけど、保護されるべきは「ゲイであるという証拠」ではなく「迫害されたという事実」を持つ人です。日本にだって、自分をゲイだと思っていないのに「お前ゲイだろ」などといじめを受ける例はありますから、ゲイではなくても同性愛者迫害から保護されるべき状況にある人はいるはずです。

こちらは2年前のニュースです。こういった「ゲイ診断」を求める流れが、現在では改善されていることを願ってやみません。

★ 排除のための診断―クウェート、同性愛の医学的テストを開発

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こちらは最新のニュースです。ペルシャ湾岸諸国(イラク/サウジアラビア/アラブ首長国連邦/バーレーン/クウェート/オマーン/カタール)は2013年10月、「我が国に入国する外国人全員へ、同性愛者を判別するための医療テストを実施する。テストの結果同性愛者だと判明した者には厳しい措置をとる」と声明。国際的な非難を浴びています。

動画:NMAワールドエディションによる風刺ビデオ(中国語音声/英語、中国語字幕)

それもそのはず。この記事の最初に書いた通り、

同性愛はお医者さんや他人が診断するものじゃないのよ。

医学において、同性愛は既にいかなる意味でも治療対象とされておらず、よって「同性愛とは何か」という医学的診断基準は存在しません。


具体的にどんなテストをするかは明らかにされておらず、開発中とのこと。またペルシャ湾岸諸国ではすでに入国するすべての外国人への医療テストが義務付けられており、その中に同性愛診断の項目も盛り込む予定であるとの声明のようです。

なんていうか……

どうせアナル調べればわかるとかなんとか誤解してそうよね

同性の裸を見せて興奮するか調べるとかそういうことやるつもりなら、デブ専・フケ専・オケ専・ジャニ専・外専その他すべての好みに対応するゲイポルノを取りそろえるくらいの気合いを見せてみなさいよね。ゲイが男性全員に、レズビアンが女性全員に興奮すると思ったら大間違いです。ぷんぷん。

なお、イギリスのインターナショナル・ビジネス・タイムスによれば、ロンドンのLGBT権利活動団体はこの同性愛テストに抗議し、2022年カタールW杯のボイコットを呼びかけているそうです。

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撮影:umaさん。写真左はわが愛しの妻よ。

愛を診断するって、どういうことかしらね。

わたしも、フランスの法律でフランス人の彼女と国際同性婚するとき、パリ市役所の人に呼ばれて個別面接されたわ。ビザ目的の偽装結婚を疑われたのだと思いますが、わたしがそこで質問されそこで答えたのは「どうやって出会ったの?」「彼女の趣味は何?」というような内容でした。「同性愛者である証明」ではなく、「愛の証明」だったということね。

ある場合はカテゴリ(他人を分類する)の言葉として、ある場合はアイデンティティ(自分を説明する)の言葉として。「同性愛」という言葉はそのように使われ、それが「同性愛を診断したい」という想いにつながります。だけれども、同性ってなんでしょうか。愛って、なんでしょうか。わたしが妻と生きることを選んだのは、「わたしが同性愛者だから」ではありません。

「同性愛診断」で人をばさばさ切り分けることは簡単です。だけれど、そうやって切り分けられ区別される前の個人個人が「どうしたいのか」「なぜしたいのか」を考えることが、診断なんかよりずっと重要なんじゃないかなって、一連のニュースを見て思うのでした。

ということで、読んでくださってありがとうございました! また来週月曜日にね。まきむぅでした◎

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