第19回 「豆腐食べるとゲイになる」!? 海外で広まる噂に迫る

 

633_1

和食はよござんすわね。

まきむらよ。

毎週月曜、こちらの連載、世界のニュースから性を考える「まきむぅの虹色ニュースサテライト」をお送りしております。

前回記事「PinkNews.comによれば、レストラン側はこの広告をもちろん使っていないとのことです。

★ 教訓A:似非科学より、歴史に学ぶ――同性愛者ホルモン治療の時代

633_9

さて、ここでこの「豆腐はゲイの肉」広告の事例から押さえておきたいのは、

・「大豆食品の女性ホルモン様成分が男性を女性化してゲイにする」説に根拠はない
・そもそも「女性化した男性=ゲイ」というのが誤解
・お豆腐はおいしい お肉もおいしい

以上の3点ですね。

確かに、大豆食品がイソフラボンという女性ホルモン様成分を含むというのは有名です。だからわたしのような貧乳は、夢を見て豆乳を飲んだりするわけですね。

ところが大豆食品に含まれる程度のイソフラボンには、男性を女性化する力はおろか、わたしのような貧乳を巨乳にする力すらありません(ソース:自分)。ただ、大豆はいい栄養源であり、おいしい。それ以上でもそれ以下でもないのです。

けれども人間は、時に早とちりをするもの。「イソフラボン入ってる食べ物だけですぐ女らしくなれる」と思ってしまった現代人のわたしのように、過去の欧米圏にも「性ホルモン打てば同性愛は治せる」という大きな誤解がはびこっていました。大きく分けて、以下の2つの言説です。

・ゲイに男性ホルモンを打てば、男らしくなって女に興味をもつはずだ。
→はい、「男は女を好きで当たり前」っていう異性愛規範と「ゲイは全員オネエ」っていうありがちな誤解のダブルパンチきましたー

・ゲイに女性ホルモンを打てば、男としての性欲がなくなって男への興味を失うはずだ。
→有名どころだと、数学者のチューリングが強制された治療法ですね。化学的去勢ともいわれました。でも、もう、同性愛を犯罪とか病気扱いする行為はWHOによっても国連によっても否定されてるからねー。

ということで、「豆腐はゲイの肉」広告、どっからどうみてもイケてなかったわねって話でした。

ところがこの「豆腐」と「ゲイ」を結びつける奇説、なんと2013年10月に繰り返されてしまったのです。社会における、また別の問題を映しながら。

★ 事例B:某ユダヤ教系男子校、生徒に大豆食品を禁止?
インディペンデント、ハフィントンポストUK、ゲイスターニュース、ピンクニュース……

つい先日、2013年10月末、イギリスを中心にあるニュースが複数メディアで報じられました。

それは

ユダヤ教系男子神学校『ハシディック・イェシーバー・オブ・グル』、大豆食品は男子生徒を女性化させ同性愛を誘発するとして禁止

とのニュース。

ちなみにハシディックとは、ユダヤ教の中でも「超正統派」とされるハシディズムという一派のこと。イェシーバーとは、ユダヤ教の教典であるタルムードを読み解くための学校のことです。

つまりこのニュースは、「ユダヤ教の中のユダヤ教!!って感じの学校が、大豆はゲイの原因だって言ってるよ~」的なニュアンスで報じられた、ということです。

そしてこれはtwitterやfacebookで瞬く間に広がり、

マジウケたwwww けどホモフォビアは笑えないな……

――twitterより

人をバカ呼ばわりしたくはないが、これ以外の言葉が見つからない。バカだ

――PinkNews.comコメント欄より

といったような反響を呼び起こしました。

ところが、ところがです。

10月30日に、ユダヤ系オンラインマガジン「前回記事で指摘したように、「LGBTフレンドリーなイスラエルが同性愛嫌悪のパレスチナを攻撃するのは正義だよね!」だとか「ユダヤ教学校が大豆食品を同性愛の原因だって言ってるって!」だとかそういう言説が簡単に広まってしまうのではないでしょうか。

教義として同性愛を禁じている(とされる)宗教があったとして、その信者たち全員を蔑視や批判の対象とするのは、あまりにも短絡的すぎます。

世の中には同性愛者を排除しないキリスト教の教会や、仏教の寺院や、イスラム教のモスクが実在しています(残念ながら、その逆もまた然りですが)。性的指向による差別・偏見があってはならないのと同じように、宗教による差別・偏見もあってはならないことです。

宗教つながりで付け加えますが、よくフランスの反同性婚デモについて「カトリックの国だからだよね?」と聞かれます。全然違います。まずフランスはもはやカトリックの国とは言いがたいですし(それは中世の話で、現代では無宗教や他宗教の国民もたくさんいます)、それにカトリック=反同性婚という図式も単純すぎます(もちろんカトリック系団体が反同性婚団体の大きな資金源であるという噂はありますが、一応公式には否定されています。それに同性婚賛成のカトリック信者だっています。)

「○○は××である」というようなレッテル貼りは、対象がなんであれ避けたいものですね。

いやあ、しかし、「豆腐」と「ゲイ」ってキーワードから、同性愛者への強制ホルモン治療とか宗教の話までいくと思わなかったわ。「同性愛=病気=ホルモン注射で治る」とか「宗教=同性愛嫌悪=遅れてる」とか、人間は時に、カテゴリに基づくイメージで、誤った判断をしてしまうものなのね。レッテル貼りはあぶないわ。けど、これだけは最後に言っておきます。

豆腐もお肉もおいしいよ☆

ということで、好きなもの食べて、好きな人を愛して、自分は自分ってことでいきましょ。読んでくださってありがとう。また来週月曜日にね! まきむぅでした◎

Top