LGBT支援宣言!大阪・淀川区 榊正文区長インタビュー

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バブリーナ編集長(以下、バブ) それでは早速ですが「LGBT支援宣言」を出された経緯からお聞かせいただけますか?

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榊正文淀川区長(以下、榊) 以前から大阪の人権施策に対しては「このままでいいのか?」「今の時代に合ったものに変えていくべきなのではないか?」という問題意識を持っていまして、人権について開かれた街として淀川区を活性化させるという事を考えていた時に、とある方からアメリカでは同性婚について議論され、オバマ大統領が青少年LGBTの自殺防止に取り組むプロジェクト「It gets better」に動画メッセージを投稿していたりと、先進国ではLGBTは市民権を得ているのに、日本では相当遅れているから、LGBTについて勉強してはどうかとアドバイスを受けました。

その後に、ゲイであることを公表している、大阪駐在のパトリック・リネハン米国総領事をご紹介いただいたのですが、この問題はまず可視化することが大事だと仰っていました。電通総研がLGBTは総人口の5.2%という調査結果を出しているのも聞きまして、大変な人数の人権問題が隠れた問題になっている、これは由々しき事態なのだと認識しました。淀川区でもこの問題を可視化する事が出来ないかと、まずトークショーを行う事にしたのですが、4月を過ぎていたので既に区の予算は組まれていて、その為の予算が組めなかったんです。それでも何かインパクトのある事をやらなければと思いまして、淀川区にある大阪一の進学校・北野高校で高校生を招待し、リネハン総領事と元宝塚歌劇団の東小雪さんをお招きして今年6月に開催しました。

トークショーではLGBT当事者の方々ともお知り合いになりまして、そこからLGBTの皆さんに対して行政が出来ることを考える、定期的なミーティングを開催することになりました。その場で「LGBTを支援しています、私はあなたの仲間です、と宣言してくれるだけで有り難い。」というお話を伺ったので、淀川区として「LGBT支援宣言」を区の広報誌とホームページに掲載しました。

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榊区長のネームプレートには、LGBT支援の意思表示として淀川区のマスコットゆめちゃん&レインボーのイラストが。

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淀川区の広報誌の表紙にも大きなレインボーフラッグ!

バブ 具体的には、どの様な活動を行っているのでしょうか?

 「職員人権研修の実施」「正しい情報の発信」「当事者・団体の活動支援」「当事者の声・相談を聴く」の4本柱です。今年度は予算がない中で出来る事から始めています。役所の書類の中で、男女の記入欄が必要ない書類には記入欄を削除したり、区役所入口や区長室のレインボーフラッグの掲示、10月に開催された関西レインボーパレードには、大阪市都島区の田畑龍生区長ほか有志30名程で参加し、パレード会場へのテントの出展を行いました。来年度はLGBT支援の予算化を目指しています。

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LGBT研修を受けた区役所職員の研修感動ボード。

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こうして少しずつ理解者が増えると、嬉しいですね。

バブ 「LGBT支援宣言」を出されたことによって、区に対してどの様なリアクションがありましたか?

 LGBT当事者・賛同者の方からの応援や感謝のメッセージを全国から頂戴しました。区役所職員は基本クレーム対応が多いので(笑)、たくさんの「ありがとう」という声をいただいて、職員のモチベーションが大変上がっています。もちろん批判の声もありました。同じ有権者・区民からの反対・批判の声もひとつの声として受け止めていますが、その批判が人権的な誹謗中傷であれば、それは違いますよね?と対応しています。ひとつの価値観としてのお話でしたら、とりあえずお聞きしています。可視化すればするほど、反対のリアクションが出て来るのは予想していましたし、それでもLGBT支援を続けていかなければと思っています。

バブ 既に淀川区にお住まいのLGBT当事者からは、どの様な声がありましたか? また宣言後、LGBT人口は増えましたか?

 「私、淀川区でよかったです!」「淀川区、誇れる!」という嬉しい声を頂きました。区役所には区民プールが隣接されているのですが、そちらの利用者の方が、区役所入口のショーウインドウにレインボーフラッグが掲示されているのを見て「淀川区に住んでてよかった。」という声も頂きました。支援宣言後にLGBTの方の人口が増えたかはまだ把握できていないので、宣言を機に淀川区に引っ越してきた方がいらっしゃいましたら、是非教えて下さい。またふるさと寄付金に「LGBT項目」を立てました。年内に寄付いただくと、来年度のLGBT支援の予算になりますので、こちらもよろしくお願いします。

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こちらは区役所1階に掲示されている、トークイベント参加者の声。

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区役所入口のショーウインドウの、レインボーフラッグ。

バブ 榊区長はストレートでいらっしゃいますが、周囲にLGBTのご友人はいらっしゃいますか?またLGBT当事者の人々には、どの様な印象をお持ちですか?

 それがまだいないんですよ。LGBTの方の印象は、パッと見わからない方のほうが多いですよね。メディアなど目立つところに登場されている様な方が、LGBTの全ての人々ではないと、活動を通してあらためて気付かされました。

バブ 将来的に、淀川区としてどの様なLGBT支援プランをお考えでしょうか?

 淀川区として出来る事は限られていますが、しかし、国や大阪がやろうとしている行政と淀川区のやろうとしていることが別ベクトルではないと思うんです。現在、大阪は大阪市に世界から人を呼び込むという戦略を取ろうとしています。となると、まず大阪市が「LGBT支援宣言」を出すべきだと僕は思います。ロンドンやニューヨークもやっているわけですし、経済効果も見込める。ただ大阪市が動くにはまだまだ時間がかかるでしょうし、紆余曲折あると思うんです。そこで淀川区の役割は、先陣を切って一歩踏み出してLGBT支援活動をすること、行政の中に少しずつLGBTに対する理解を深めていくことではないかと思っています。

来年度としては、まだ予算要求の段階ですが、LGBT電話専門窓口の設立を予定しています。若年層の自殺、精神疾患を抱えている方の割合が高いなど、助けを求めているLGBTの方々が多いと当事者の方から伺いました。まずはその様な悩みを抱えている方とコンタクトを取る事が重要だなと。知識がある方にご協力いただいて、対応していきたいと考えています。また区民の方に対するLGBT啓発イベントの開催も検討中です。

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バブ 最後に2CHOPO読者の皆さんにメッセージをお願いします。

 全ての市民の方に理解を得るには時間がかかると思っています。行政としては、淀川区役所が火をつけました。僕が退任する時までには、何とか仕組みにしたいと考えています。この火を絶やさない様にバトンを繋いでいくこと、ここからの何年間かが僕の役目だとも思っていますので、一緒に頑張りましょう!

バブ 榊区長、ありがとうございました!

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PHOTO:GENKI

 2013/12/03 06:00    Comment  インタビュー   LGBT支援宣言              
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