第24回 エイズだけじゃない、同性愛のせいにされたことリスト

 

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まきむらよ。

毎週月曜、こちらの連載「まきむぅの虹色ニュースサテライト」をお送りしております。

今回のテーマは、

「エイズだけじゃない、同性愛のせいにされたことリスト」

です。

もしかしたらタイトルをご覧になって、あなたは、

リブいねえwwww

って思われたかもしれません(※注:「リブ」とはゲイリべレーション、略してゲイリブ、つまりゲイ解放運動のこと。ちょうざっくり言えば「同性愛者の権利を認めろ! 差別反対!」みたいな感じ。スケープゴート、身代わりのヤギと言いますね。

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「ゲイ・キャンサー」、つまり、ゲイのガン。
エイズという感染症は、かつてそう呼ばれていました。

初めて人間への感染例が確認されたのは1981年。
患者はアメリカ・ロサンゼルスのゲイ男性でした。

以後、報告される患者の多くがゲイ男性だったため、当時原因不明だったエイズは「ゲイのガン」と呼ばれました。

恐怖に陥った人々は、「あれはゲイの病気。自分達と関係ない」と思い込むことによって不安の解消を試みたのでしょう。

現代では、原因となるウイルス・HIVが発見され、早く検査して薬を飲めば命を落とすこともありません。

また、
 ・エイズはゲイだけの感染症ではない、ということ。
・HIVは感染力の弱いウイルスであるということ。
・ひとりひとりが「自分だけは大丈夫」と思わずに、コンドームを使い、検査を受けて、正しい知識をつければ感染拡大を防げるということ。

こういったこともわかっています。

つまりゲイを避けても感染者を避けても仕方なくって、性生活がある人もない人も、とにかく正しい知識をつけることが先決だということです。

詳しくはこのあたりのページを見てみてね!

YouTube:SS22 荻上チキ×生島嗣×山中晃「HIV検査の現状とエイズ対策の課題」2013.11.28
素材提供:PAKUTASO
さて、そんな、エイズをゲイのガンと呼んだ30年前の過ちは、約700年前にも起こっていたことでした。

14世紀~19世紀ごろ、主にヨーロッパにおいて、ペストという感染症が大流行しました。

特に流行った地域では人口の半分ほどを死に追いやったこの病、感染すると肌が黒くなって死に至るため、「黒死病(ブラック・デス)」という別名がつきます。

原因不明の病を前に、人間はこの時も悪者探しをしました。そして悪者扱いされた対象のひとつが同性愛者です(出典:Homophobia : A History / Byrne Fone)。実際は誰が悪いとか悪くないっていうか、あえて誰のせいっていうなら

菌?

っていう感じなんですけど。
まぁ菌は目に見えないので、それよりは目に見える誰かを悪者にして戦いたかったんでしょうね。

ちなみにこの時は、ユダヤ人も悪者扱いされました。具体的には「ペスト流行ってるのにあんまりユダヤ人が死んでない! お前らが菌をばらまいたんだろ!」っていうムチャクチャな論理で、ろくな証拠もなしに、ユダヤ人に対する理不尽な処刑が行われました。

なんかこれ、素材提供:PAKUTASO
左傾化とはつまり超ざっくり言えば「伝統より平等! 社会変えてこーぜ!」って感じになることです。

そして親欧米化とは字の通り、「欧米(アメリカとかヨーロッパらへん)ステキ! 仲良く外交しましょ!」ってことです。つまり左傾化と新欧米化は、近いものもあるけど別の考えです。なのになんで同じ項目にまとめたかというと、これらが同性愛のせいにされるときによく同一視されるからです。

ピンとこないかもしれません。例を挙げましょう。

「同性愛!? アメリカでやれよ!! 同性愛とか欧米の影響だろ? うちの国でやるな!! 認めてほしけりゃ認めてくれる国に出ていけ!!」

こんなかんじ?

別に同性愛は欧米の影響じゃないし、っていうか「どの性別の人を恋愛対象にするか」と「どの政党を支持するか」は別問題なんだから例えばガチ右翼のゲイとか同性婚反対のレズビアンだっているし、そんなにものごと単純じゃないんですけど、なんか同性愛を「左寄りの欧米のもの」にしたいようなこの空気なんだろうふしぎ

順序としては
・「左傾化/親欧米化したせいで(ウチの国の伝統じゃない)同性愛者が増えた」ってなるパターン
・「同性愛者どもが(ウチの国の伝統を無視して)左傾化/親欧米化しようとしてる」ってパターン

両方あります。

最近の具体例としては、イシンバエワたんの素材提供:PAKUTASO
人類史上もっとも長い期間、同性愛のせいにされ続けていることかもしれません。
いろいろあるんだけど、主にこういう論理です。

・神は(自然は)同性愛を許さない。
・よって同性愛の存在は、神を(自然を)怒らせる。
・そして神が(自然が)怒ると、人間に自然災害という罰を与える。
・つまり自然災害は同性愛のせいである。

具体例はキリがないくらいあるんですけど、わりと最近だとロサンゼルスのLGBT雑誌「アドヴォケート」が空飛ぶスパゲッティ・モンスターを信じる人とかいろいろいるわけですね。

だからもう、今のところは、宗教が悪いとか科学が悪いとかそういうこと言うのやめて、信じるものが違うひと同士、お互いにこう言い合うしかないのかなって思ってます。

「お前がそう思うならそうなんだろう。お前の中ではな」

……ということで、4つご紹介してまいりました。

その他にも、「少子化」「性暴力」「家族崩壊」すごいときには「人類の滅亡」などなどいろんなことが同性愛のせいにされてる例を見かけます。

けれど、これ以上例を重ねることはしないことにします。なぜならば、この記事の狙いは「同性愛はこんなに差別されてきたんだよ! ひどいよね><」って訴えることじゃなくて、むしろ「誰か悪者にしたって叩いてる人の気持ちがすっきりするだけで根本解決しないよね」と言うことにあるからです。

悪者叩きばかりにエネルギーをとられてはもったいない。解決策を探しましょう。日常にある小さな例を挙げると、たとえば散らかった部屋を前に、妻とわたしは「どっちのせいでこうなったのか」ではなく「どうすればこれから散らかさないか」を話し合うよう心掛けています。

それにしたって人間、自分が正しいと思いたいので、なかなか簡単には悪者叩きをやめられないんだけどね。やめられないにしたって、ちょっと意識を向けるだけでも、結果は大違いのはずです。

実際、エイズもペストも国のなりゆきも自然災害も少子化ももちろん人類の存亡も、同性愛叩いてなんとかなることではないわけよね、明らかに。

単一の悪者より、複数の解決策。これを探してゆくことが、歴史に学べるひとつの態度なのかなあ、と、同性愛のせいにされたことリストを振り返って思うのでした。

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めぇー。

ということで、読んでくださってありがとうございました。また来週月曜日にね! まきむぅでした◎

 

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